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データでみるガンバ大阪 2023シーズン

2023シーズンを16位で終えたガンバ。
今シーズンの傾向を数字から見ていきたいと思います。
X(旧Twitter)には投稿できない量なので、noteにアカウントを作ってみました。


チーム成績と傾向

全43ゲーム。12勝8分23敗。勝率が28%です。

2023シーズン成績

この成績ですが、勝利はシーズン中盤に集中しています。
序盤と終盤は負けが込んでおり、特にシーズン終盤はひどいものでした。
自分は25年ほどガンバを見ていますがここまで極端なシーズンは記憶にありません。

ともあれ、チームの成績を見ていきましょう。

勝敗と得失点

年間の得点は47。失点は71。失点の多かったシーズンといえますが、ここでは勝敗と得失点の関係について見ていきます。

複数得点と勝敗


先ず、複数得点したゲームは12ありますが、勝敗内訳をみると10勝2分0敗。勝率83%で負けがありません。しかし複数得点率は全ゲーム数の28%に留まっています。

複数失点と勝敗

逆に、複数失点したゲームは18ゲーム。勝敗内訳は1勝2分15敗。
負け率83%。全体の42%で複数失点しています。

このことから言えるのは
・複数得点できれば勝ち点を取れる
・複数失点すれば高確率で負ける
です。

勝利ゲームでの得失点傾向

では勝利ゲームでの得失点傾向を見ていきましょう。

勝利と得失点

上述したように勝利ゲームの83%で複数得点をしていますが、クリーンシートは33%。点差としては1点差、2点差での勝利のみで大差がありません。
つまり、複数得点をしても失点をしがちな傾向が伺えます。

このことから言えるのは
・毎試合1失点は仕様として諦める
です。

負けゲームでの得失点傾向

次に負けゲームにおける得失点傾向を見ていきましょう。

敗北と得失点

負け試合での得失点傾向で目に付くのは無得点の多さ。
先制されると実に65%の確率でそのまま負けています。
また、3失点以上のゲームが40%を占めており、失点が多いだけでなくズルズルと失点を重ねる傾向があることも伺えます。

このことから言えるのは
・先制されると高確率で負ける
です。

状況別勝敗傾向

先制された時の傾向

「先制されると高確率で負ける」と前段で分かりました。では具体的な勝敗はどうなっているのでしょうか。

先制されたときの勝敗内訳

43試合のうち25試合で58%で先制されています。自分の感覚としては70%くらい先制されている感じだったので、意外に低いと思いました。

そして先制されたときの勝敗は1勝3分21敗。「先制されると高確率で負ける」とは前節で示された通りですが、実に84%で負け。
特にシーズン終盤はまったく反発できずストレートに負ける展開が続きました。

では、先制されたときに同点に追いつくなど反発できたケースはどうなのか。

先制されたときの得点数と勝敗内訳

面白いことに得点を返せたゲームでは45%の確率で勝ち点を得られています。
先制されて2点以上得点できたゲームは3試合しかありませんが、すべてで勝ち点を取れています。

そう考えると、ビハインドの状態でいかに得点を挙げるかが課題なのかもしれません。
シーズン終盤、試合中継の解説者に"失点をすると気落ちする"と指摘されていましたが、メンタルに問題があるのかもしれません。

ともあれ、このことから言えるのは
・反発できた場合は半分くらいの確率で勝ち点を得られる
です。

先制した時の傾向

先制された時を見てきましたので今度は先制した時です。

先制した時の勝敗内訳

先制した時の勝敗は11勝3分3敗で勝率65%。そんなに悪くない成績です。
ちなみに宮本監督で7位フィニッシュの2019シーズンは17勝7分5敗で勝率55%。このシーズンは先制できるものの追いつかれるゲームが多かったので先制時の勝率が悪いのですが、今シーズンはそれ以上を取れています。

次に先制した時の得点数と勝敗内訳を見てみましょう。

先制した時の得点数と勝敗内訳

特筆すべきは複数得点を挙げたゲームでは全勝というところです。
つまり、ガンバの勝利の方程式は「先制し複数得点を挙げること」といえます。そのためには如何にして先制するかが大きな課題となります。

2023シーズンでの先制率は40%でしたが、先述した2019シーズンは65%でした。2位となった翌年の2020シーズンの先制率も同程度でした。そう考えると40%は低すぎると言えます。

上記から言えるのは
・勝利の方程式は「先制&複数得点」
・先制率が低すぎる
です。

リード時とビハインド時の傾向

ついでなので、先制の状況だけでなく、ゲーム中一時でもリードした時とリードされた時の勝敗も見ていきます。

リードを奪ったゲームの勝敗内訳
リードされたゲームの勝敗内訳

全体的な傾向としては先制したとき、先制されたときと変わりありません。

ただ、先制した試合数が17でリードを得た試合数が19。
先制された試合数が25でビハインドの試合数が28。
これは、シーソーゲームが少なく一直線の試合展開が多かったことを意味します。
先制するとゲームを上手くコントロールし、先制されてコントロールを失うと取り戻せない傾向があると言えるでしょう。

このことから言えるのは
・シーソーゲームが少なく一直線の展開が多い
です。
アウェー川崎戦は例外中の例外だったんですね。

まとめ

上記に挙げたポイントを表にするとこうなります。

ポイントまとめ

こうして見ていくと、守備よりも攻撃に課題があることが分かります。
課題としては以下となります。

① 如何にして先制点を奪うか
② どうやって得点を奪うか
③ ビハインドの状況における試合運びの仕方

で、これらの課題を克服するためにはどうするか。
そこがポヤトス監督に問われている部分だと思います。

ただ、何となく感じるところとしては、ポヤトス監督は上記のような具体的な課題は当然認識しているものの、対処療法的な手段は採らず体質改善を目指してプレーモデルの浸透に時間をかけているのだろうなと思います。

具体的には、勝手な憶測ではあるのですが「チーム全体でいかにゲームをコントロールするか」という部分にフォーカスを当てている気がします。

ガンバは稀代のゲームメーカーである遠藤選手に長年ゲームコントロールを一任してきました。しかし属人性が強すぎたため、彼のパフォーマンス低下、そしてチームを去ってからは苦しんでいます。その部分をガンバ大阪というチーム共有のDNAとして確立しようとしているのが、現在のガンバのミッションであり、そのためのポヤトス監督なのでしょう。

ただ、これには時間がかかりますから2024シーズンも大きな飛躍は見られないかもしれません。横浜Fマリノスにおけるモンバエルツ時代を過ごしていると思って、降格だけは回避しつつチームの発展を見守るくらいがいいのかもしれません。

2023シーズンのガンバ大阪のまとめとしては、ひとまず以上です。


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