last 1 sail

よおく目を凝らせ。よおく感じたものを描け。頭で書いているからうだつがあがらない。とぐろまくイヤホンも、ペンの羅列も、よおく目を凝らせば大事件。大事件か?言葉が出ないとは、体験が少ないからだと慢心している。知識がなくてもいい。普段使いのセンスがないから、発信が貧困なのだ。感銘を受けた文をなぞれ。血が通っているだろう。頭で書いているから、バラバラなのだ。血管で描くといい。

 少女はとうとう脂汗の滲み出た恐ろしい母親の顔へ水を掛け始めた。そのたびに、母親はまるで自ら上がった犬の様に首をぶるぶる振るのであった。………母親の苦悶と少女の驚愕の中に、嬰児の産声が聞える。
 ――おっ母は赤ちゃんを産んだ。――

書けるか。書けない。同じ場面に居合わせたら、脂汗、首振り。できない。そんなやつが。

 戦時、露西亜はこのコルサーコフスクの街を焼き払って北へ闘争した。その焼跡の街へやって来た日本人達が、やっと個人的な野心と生活のために移民小屋の建設をして、新しい投資を手を合わす蠅のようにじっと待っている瞬間なのであった。

分かるか。分かるか。いや、分からないかもしれない。過ぎゆく事柄に敬意が足りていない。いつから驕っているのだろう。

何に興味があるのだろう。自分にしか興味ないだろう。それも飽くなきものではない。できものが皮膚に出来るたびに、異性から蔑視されるたびに、残高の桁が下がるたびに萎れる。そして対の向きを見て興る。
頽廃、到らない。でも、辞めない。死なない人生と同じかよ。

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