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インド医薬メーカーCipla

さて、先日2年ぶりにインドへ行ってきました。帰りに乗った国内線の飛行機で気分が悪くなってしまい、デリー空港内薬局でミントのガムと酔い止めを買ったときの話です。

6個入りのガムが320ルピー(≒480円)して高っ!と恐れ慄いた一方で、酔い止めの薬10錠が27ルピー(≒41円)で処方されました。めっちゃ安い。耳を疑って思わず店員さんに何回も聞き直してしまいました。

デリーの空港内薬局で処方された酔い止め

最後の最後までインドってなんて面白い国なんだ…と思いました。

さて無事酔い止めの薬、箱にも入っていなければ注意書きもなかったので、いくら空港内の薬局とは言え、ちょっと怖くなってうっすら印字された文字をGoogleでサーチしてみたところ、Ciplaという1935年設立のインド国内3位で大きな製薬会社の薬だったことがわかりました。

さて、そんなきっかけで会社について興味を持って、IR情報を覗いてみました。個人的には、かなり優良だと思うんです。

1ルピー 1.5円で計算すると、FY20-21年売上2874億, EBITDA 646億でどちらも5年間安定した成長。2021年もこの調子で売上14% YoY成長のよう。EBITDA margin って20%超って高いですよね。

Cipla IR 2020-21 Annual report より

売上の地域別構成も、インド国内40%で、国内市場でも前途有望な巨大市場だけど、そこに一局に集中しすぎることもなく、北米に21%、さらにアフリカ18%と適度に分散されているのも良いと個人的には思う。

Cipla IR 2020-21 Annual report より

ただの素人分析ですが、Ciplaは、インド国内でのジェネリック医薬品と北米でのニッチ市場輸出で効率よく儲け、アフリカをはじめ新興市場への輸出で次のプロフィットプールを開拓できていると思います。一方、今後、最終的にはいかにオリジナル新薬の開発に繋げられるかが鍵ではないかと思います。

インドの製薬業界は世界第3位の生産量を誇り、ワクチンや新興国向け低価格薬品において大きな貢献をしています。国内巨大市場と政府の積極的な後押しもあり、今後さらなる成長が見込まれます。

一方で、ジェネリック薬品製造の発展の裏側には、知的財産に対する異例な制度という歴史があったようです。このインドの態度はイノベーション創出という観点からは、米をはじめとする先進諸国と大きく対立しており、とても興味深いトピックですので、別途掘り下げたいと思います。

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