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カシミアのセーターに合う香り #1

以前から探している香りがある。
それは「カシミアのセーターに合う香り」である。

個人的にはSMNの「ラーナ」がカシミアのセーターに合うと思っており、以前から愛用している。ラーナの、ローズとサンダルウッドの若干ダスティーな香りがざっくりと編まれたセーターやイタリアの片田舎の毛糸屋の店内を思わせるのだが最近になってきて、カシミアにしては幾分固さがあるように思えてきた。
それもそのはず、「ラーナ」はイタリア語で「羊毛」、しかもアウトドアスポーツの愛好家に向けた香りだそうである(一応、バランタインの「カシミアの」スポーツラインをイメージして、とはなっているが)。もちろん大好きな香りではあるけれどちょっと違うものがないかと思い探し始めた。もう少し柔らかく、もう少し華やかな物を。

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「カシミア」とついた香りは多く発売されていて、特にMCDの「The Cashmere」が有名なのだろうがもう少し、できたら廃番のものをということで色々探していると、マックスマーラの「Kashimina Touch」という香水があることを知った。そもそもマックスマーラが香水を作っているとは全然知らなかった上、アマレットとカシミアの組み合わせが想像できなかった香ため、試しに状態の良いものを買ってみることにした。

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この「Kashimina Touch」、広告によるとカシミールとバシュミナを掛け合わした造語とのことで、いわゆるマックスマーラのベージュのコートを思わせるような香りとのこと。トップのレモン等の柑橘系からネロリ等のホワイトフローラル、そしてにカシミアウッドのウッディへと変化するそうで、面白いのがトップに先にも触れたアマレットが使われているとのこと。アマレットは好きなお酒であるし、そのレモンとアマレット、それからのウッディな香りというのが想像ができなかった。調香師はミュグレーの名香「エンジェル」の製作したオリヴィエ・クレスプである。ネットでの評価はまあまあ、前回の「Life Essence」に比べて良くも悪くもないといったところである。

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〈ボトル〉
形態はまあまあ変わっているものの正直、チープな印象である。それは多分、フタのプラスチックが占める割合がボトルの4割ほどを占めるから。単純な形態でも良いのでプラスチックの蓋を小さめに作ったらまた違ったように見えたかもしれない。

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倒れそうだが案外倒れない(といっても押したらすぐに倒れるが)

〈香り〉
トップにレモンとのことだが、最初からシダー系統のウッディな香りが強く出る。だが、想像していたよりかは甘さはそこまで感じられず、ウッドベースの辛口な印象。「あまり使っていないとのことだけど使用済みだから、トップはやっぱり飛んだのかな…」と思っていると、数時間後に忘れていたかのように砂糖を纏ったレモンピールを思わせる香りが漂ってくる。シダーと甘いレモンピールの組み合わせがなかなか面白い。とはいえたしか、アマレットは杏仁のような甘い香りのするお酒だったと思っていたが、そういった香りはあまり感じず。広告曰く「オリエンタル・フローラル」とのことだが、僕の肌の上ではアロマティック・ウッディーという印象だった。
と、ここまで書くと結構濃厚そうに思えるが、実際は恐ろしく薄い。だからと言って夏場に纏うかといったら否だけど、本当にEDPなのかと疑うくらいである。たぶん、マックスマーラはどちらかというとビジネスでも着られるようなシャープなデザインの服が多く、香水ももしかしたら仕事時でも付けられるような甘い香りを目指した可能性もある。辛口だけど若干甘い、例えばマルやルタンスの甘くウッディーな香りを平日でも付けたいが我慢している方にはもってこいかもしれない(Fregranticaのレビュー曰く、6プッシュかすると香りが強くなるそうなので場面に応じてプッシュ数を変えるのもアリかと)
僕自身は付けたての時からLaliqueの「Encre Noire」と瓜二つと思わせたが、マックスマーラは若干の甘い分、柔らかで温かみのある印象。ラリックの方が春夏向けならこちらは秋冬、ラリックがパリッとしたシンプルな白のコットン仕立てのブラウスなら、マックスマーラは同じくシンプルだが生成りの白のシルクのブラウスとでも言えるかと。なので、アンクルノワールは好きだけど若干の甘さが欲しい人はおすすめ。また甘さのあるレモンということでキリアンの「レモンインゼスト」を思い出したが、キリアンはホテルの高級なバーに対しマックスマーラは街中のバール、キリアンのように華やかで妖艶な香りではない。いい意味で日常的な香りである。画像3

カシミアのセーターに合う...?
さて本題の「カシミアのセーター」に合うか、ということだが、個人的にはもちろんカシミアにも合うとは思うけれど(「ピンク色の雲をつむいでつくったような、ローズカラーのカシミアのセーター」とか)、どちらかというとハイゲージよりローゲージのもの、またはモヘアのセーターのような起毛感のあるセーターに合いそうな香りに感じている。

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イメージしていたものまんまのマックスマーラのニット

香りとしてはもちろん好みではあるものの、良くも悪くも「中途半端」、シトラスもウッディも何か物足りない印象である。価格からしたら仕方がないかもしれないが、若干の苦味や固さという意味でスモークとお茶(ラプサンスーチョンか)やパチョリが欲しいところ。まあ、何かしら重ねればいい(逆に薄いのでベースとして使いやすいかも)のでカバーはできるが…
ラーナかカシミナタッチか…今のところはやっぱりラーナかな。ということで「カシミアのセーターに合う香り」、まだまだ続きそうである。はぁ…

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この雰囲気に似合う香り...やっぱりSMNなのかな...

(先の白黒写真と共にブルネロクチネリより)



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