写真を撮りに行ってマダニに噛まれた話

前回自己満足のためだけにヒッチレースのノートを書いたのですが、今回は割と人に伝えたいかもしれない話を書きます。

昨日、マダニに噛まれました。

まあそれがなんやねんとかだからどやねんとかなるんですが、聞いて欲しい。
無理やり引き抜いてはダメだとは知っているけれど、いざ噛まれると受診すべきなの?様子見する?と意外とよく分からず迷ってしまったので、自分の取った対応を纏めておこうと思いました。あくまでこれは一例で合っているとは限らないし、参考にするかどうかは自己責任で…となるのですが、考えうる対応の中ではほぼ最速だったので、もし噛まれた時にこういう選択肢があることもチラッと脳裏に浮かべばなぁと思います。そして逆に、もっとこうした方が良かった!というものがあれば、是非教えていただきたいと思います。


一昨日の16時〜21時すぎにかけて、私は趣味でホタルの写真を撮影するために某市を訪れていました。田んぼや畑が多く、広がっていたのは一本道が緑の中を突っ切っているようなのどかな風景。三脚をセットし、日が暮れたところでカメラを回し始めました。およそ2時間ほど、私と同行者は時折喋ったり立ち歩いたりもしましたが、基本的には地べたに敷物を敷きその上に座っていました。
21時半ごろにそこを発ち、夜ごはんの時間も合わせると家に帰るまではおよそ3時間半かかりました。私が日付を回ってから家に帰ると同行者からメッセージが届いていました。「ヒルにやられたっぽくてお腹大量に出血してたwww」
皆さんヒルにやられたことありますか? 私はあります。めっちゃキモい。全然痛くないのは良いんだけど、全然血が止まらないしほんと血だらけになるんですよね。
うわーやだなあと考えつつ一旦気持ちを落ち着かせてからえいと服を脱ぎます。予想に反して特に何もいませんでした。一応丁寧に見たけど何もいない。

ほっとしたのも束の間、座っていると足の付け根に奇妙な点が見えました。ホクロのようだけどなんか足が出てる。それがなんと、マダニだったのです。

皮膚についていたホクロのようなマダニ

大きさは3mmくらいか。調べて出てきたマダニの写真と同じだし、足の付け根や脇などに多いらしいし、まさかと思いつつとりあえず触らずにシャワーを浴びました。お湯を流しても取れない焦茶色の点。キモい。お風呂から上がってちょっと突いてみるけれど固くくっついているようです。

さてどうする?と考えてみて、3つの方法が浮かびました。夜間外来の受診、朝まで様子を見て受診、自分でなんとかする。
ダニの顎が残るとマダニ感染症にかかってしまうかもしれないから、3つ目の選択肢はすぐに消えました。救急受診までして取ってもらうべきなのか。受診するとすればどこならば行けるのか。
初めに思いついたのは、家から車で15分くらいの場所にあるA病院の救急です。災害拠点病院で祖父母も昔お世話になったことがあります。電話をかけてみます。出たのはややぶっきらぼうな男性でした。
マダニに噛まれたぽくて……これは受診すべきですか?と尋ねますが、呆れたような苦笑の後に「それはねえ、最終的にはご自身の判断になるんですよー」と言われました。後うちは選定療養費がかかるので7700円を払って良いならばお越しください、とのこと。今受診できて選定療養費がかからない病院もあるんですか?と聞くと、ありますけどここではお調べできないので各病院に電話で問い合わせてくださいね、と面倒そうに言われました。まあ夜勤しんどいよね、でももっと重症な患者さんにもあの対応だったら萎縮してしまうんじゃないか?と思いつつ、首を捻ります。
結局救急に行くべきか、行くならばどこの病院にかかるべきか、何も解決していません。でも7700円かけて取ってもらうほどなのか…?という気持ちにもなります。
でも夜を一緒に過ごすには気になるんだよな。Twitter(現自称X)を検索すると、夜間救急で取ってもらいましたー、という投稿もそこそこあるようです。放置すればするほど取りにくくなる上、このような記述まで見つけました。「感染症を媒介する病原体は、当然ながら時間が経てば経つほど、体の中に注入されてしいます。取り除くのは、できるだけ急ぐべきだと思います」(原文ママ※1)
というわけで病院探しを続けます。急病診療所に電話をかけるも自動音声にて撃沈。途方に暮れてとある病院のHPをぼーっと見ているとあるページが目に入りました。
「救急安心センターきょうと(#7119) 看護師から受診の必要性や対処方法等の適切な助言、医療機関案内を受けることができます。急な病気やけがをした際、お気軽にご相談ください」(※2)
これだ! お気軽にご相談ください、という言葉のありがたいこと。
かけてみますが中々繋がりません。3度目でようやく繋がり、優しそうな女性の声が出ました。事情を説明すると、念のため受診を勧めると言われ、今から受診可能でマダニの対応をしてくれる可能性の高い区内の病院を2つと、無理だった場合の相談先を教えてくれました。落ち着いていながら優しく話してくれてとても安心できました。
教えてもらった病院は車で10分ほどの場所にありました。早速電話をかけると対応可能とのことです。夜中の3時頃でした。
来院すると事務の方と看護師さんが対応してくれて、バイタルの測定と問診票の記入を行いました。しばらく待っていると先生が来て診察してくれます。
「こんな小さいの初めて見たわ、大抵血吸ってぷくーって膨れてるから。よく気付いたねぇ」
とは鼠径部にいるそいつを見た先生の言葉。吸血後はなんと1,2cmにもなるようです。キモっ。
診察台に横になると、ピンセットを持ってごそごそ……ほんの数秒で抜けたー!と言われました。まだ動いていたけれど、そいつはスピッツに入れられてどこかへ消えていきした。
気付いたのも受診するのも早かったためか、特別な処置や薬はこれ以上必要ないそうでした。数日は発熱などに気をつけて、局所の腫れなどであれば皮膚科、全身症状があれば総合内科を受診するように言われました。病院実習にも出て大丈夫か聞いたことから、先生が大学の大先輩であることが判明しました。
ともかくあっさりとマダニは消えというか消してもらい(ピンセットでは取れず皮膚を切開して除去する例もあるようです)、料金をお支払いして帰ることになりました。拍子抜けするほどだったので一応事務の人に尋ねてみました。
「さっき先生に聞き忘れたんですけど、こういう場合って救急来て良かったんですかね……?」
「そうですね、やっぱり自分で抜くとダニの身体が皮膚の中に残ってしまうこともあるので、専門の医療機関などで取ってもらった方が良いですね」
お礼を言って、ほっとした気持ちで病院を出ました。
東の方から夜が明け始めていました。


私は登山も好きでよく山にも登りますが、山でもない場所で、しかも長袖長ズボンを身につけていたのに、こうあっさりとマダニに噛まれるとは思ってもいませんでした。山に登った時、特に何泊かして山に入るような場合に、このようなことがないとも限りませんし、そのような場合どうするのが正解か悩みます。街でも対応に困ったと言うのに。
だからこそ首元を覆うこともだし、虫除けスプレーをするなどしてマダニに噛まれないことが大切なのだろうと考えさせられました。マダニ除去のための専用のピンセットのようなものを購入するのも良いのかもしれません。
私は全くマダニについて素人なので、上に書いてあることも私が取った対応というだけで、何がベストだったかはわかりません。むしろ読んだ方に教えて欲しいくらいです。ですが迷うくらいなら救急を受診して良いと思いますし、自分の取った行動は自分の身を守るために最良だったのではないかと考えています。マダニにビビったと言えばそれまでですがビビって良かったとも思います。
これがいつか、誰かの何かの参考となることを願って筆を置きます。

※1
https://www.yamakei-online.com/yama-ya/detail.php?id=1642
※2
https://www.pref.kyoto.jp/iryo/7119.html

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