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漫画感想

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2021年3月の記事一覧

山本英夫 『殺し屋1』 ☆9 その統一的理解のために

(『殺し屋1』1巻より) 『殺し屋1』はイチの涙にはじまり,涙に終わる。一撃で安生の脳みそを撒き散らした自慢の蹴りは失われ,空き缶を蹴り飛ばす陳腐な行為にとってかわられる。苛烈なトラウマと暴力衝動を捨てて笑顔と思いやりを獲得したイチは,きわめて平凡な大人に,すなわち,豚になる。登場人物のほとんどは死んだ。あとに残るのは,街の凡庸な欲望に射精を管理されたイチと,傍観者ゆえ永遠にまともな射精ができない哀れなジジイのみである。 わたしは山本英夫という作家が好きで,どの作品も