役員給与の未払計上について

今回は役員給与の未払計上について書いていこうと思います。

本題に入る前に少しだけ役員給与の概要について触れておこうと思います。
役員給与は無条件に損金算入されるわけではなく、定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のいずれかに該当しない限り損金不算入となってしまいます。(詳しくは国税庁の「役員に対する給与」をご覧ください)

実務的に一番多いのは毎月定額の役員給与とする「定期同額給与」に該当させて損金算入するというものだと思います。
今回のテーマはこの毎月定額というのは支給ベースなのか支給時期ベース(債務確定)なのかという疑問が生じてきます。すなわち未払計上でもOKなのかということです。

早速ですが、結論から書いてしまうと基本的には支給ベースではなく支給時期ベースで判断することになります。支給時期が到来していて未払計上していれば実際に支払いがされていなくてもOKということになります。

ただ、税務調査で否認される可能性もゼロではありません。下記裁決事例にあるように、定期給与の一部を未払金に積み立てておいて従業員の賞与と同じタイミングで支払いしているようなケースでは、定期給与ではなく役員賞与でしょということで損金不算入とされてしまったケースもあります。

【裁決事例一部】
役員給与の一部の金額を未払金に計上した上、従業員に対する賞与の支給時期に支払った場合、当該金員は役員賞与に該当するとした事例

「役員に支給された給与が報酬となるか、賞与となるかは、実際に支給された給与が定期的な給与か、臨時的な給与かという支給形態ないし外形によって判断すべきところ、[1]本件役員報酬について、あらかじめ定められた支給基準に基づいて定時にその全額を支払うことができないとする特段の事情もないこと、[2]毎月の役員報酬の一部を未払金とし、その額をおおむね盆、暮れの従業員に対する賞与の支給期に支払っていること、[3]賞与の支給期に支払った金額は、未払金残高を超える金額であることから、未払金勘定に赤字が生じているが、当該赤字の金額を各事業年度の期末においては、その残高がちょうど零円となるように、その後の当該役員報酬の未払金で補てんしていること等から判断すると、当該未払金は、当初から役員賞与
として支給すべきものを形式的に定期の給与にしたものにすぎない。」

なので、資金繰りが悪化などして支払いが滞ってしまうようなケースなど仕方がない事情がなければ毎月支払いをしておいた方が無難かなと思います。

今回も最後までお読みいただきありがとうございます!

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