減資に係る発行会社の会計・税務処理(無償減資編)
今回は減資に係る会計・税務処理について書いていこうと思います。
自己株式の取得と減資で似たところもあるので下記記事も良ければ見てみてください。
自己株式取得に係る取得会社の会計・税務処理
自己株式取得に係る各株主の会計・税務処理
まずは減資について簡単にご説明しようと思います。
減資というワードを聞いたときには剰余金の配当を伴うものをイメージするのではないかと思います。これはいわゆる有償減資と言われるもので、資本金を減少させてから剰余金の配当を行うという行為です。
一方、無償減資と言われるものは資本金を減少させるのみでお金が動きません。なので無償減資と言われています。
まとめると、
有償減資=資本金減少→剰余金配当
無償減資=資本金減少
ということです。
減資についてパターン別に見ていきたいと思います。
①資本金減少のみ
②資本金減少→欠損填補
③資本金減少→剰余金配当
長くなりそうなので、今回は①資本金減少のみと②資本金減少→欠損填補を確認しようと思います。
①資本金の減少のみの場合には会計上も税務上も取り扱いは一緒になりますので簡単です。
資本金を減少した場合には資本金及び資本準備金減少差益(その他資本剰余金)に振り替わるのみとなり、下記仕訳となります。なので、税務上の別表5(1)でも会計上の数字の動きと同じになりますので、税務上のみで特段調整は不要となります。
例えば、資本金が1,000の会社が200の無償減資をしたとなったら別表5(1)は下記の通りとなります。資本金等の合計も変わりません。(決算書の数字と一致していることを確認してください)
次に②資本金減少→欠損填補を確認してみます。こちらのパターンは会計上と税務上に差が生じますので注意が必要です。
これも数字を使って見てみましょう。
資本金が1,000の会社が200の無償減資をして、そのうち100を欠損填補に充てたとします。(その会社の繰越利益剰余金はマイナス100だったとします)
この場合の会計上の仕訳は下記となります。
次に税務上の取扱いですが、税務上は資本金が減少しても資本金等の額に変動は生じさせません。資本金等の額と利益積立金額の区分がしっかりしているイメージでその区分を乗り越えて変動させてはくれません。
仕訳にすると下記になります。
会計上と税務上の調整仕訳は下記になります。
この場合の別表5(1)は下記の通りとなります。
税務上は資本金減少→欠損填補については先ほども書いた通り資本金等の額に変動を及ぼさないので、期首1,000で期末も1,000になっています。資本金等の増加列の1行目2行目と利益積立金の増加列の上段は会計上の動きをそのまま記載しています。それだけだと資本金等の額が900になってしまうので、資本金等と利益積立金の調整として資本金等の増加列の3行目と利益積立金の増加列の下段に記載することにより調整を行っています。
地方税である均等割りや資本割の計算をする際には、税務上の資本金等の額(法人税の別表5(1)の金額)を確認して使用していると思いますが、今回の②資本金減少→欠損填補をしている場合には法人税の別表5(1)の数字をそのまま使えないので注意が必要です。
その記事は次回以降に書いてみようと思います。
次の記事では③資本金減少→剰余金配当について書いていこうと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
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