見出し画像

泉谷しげるポリドール・イヤーズと「ミュージック・ステディ」と。

 泉谷しげるさんの1980年代の作品というと、加藤和彦さんプロデュースの『80のバラッド』と『都会のランナー』を思い浮かべる人が多いんじゃないかな?
実際、「翼なき野郎ども」や「デトロイト・ポーカー」、「裸の街」に「褐色のセールスマン」とかあの時代の代表曲はその2枚に入っているわけだからね。でも、実はその2作は1978年と1979年の発売なんだけど。

 この前、水道橋博士のツイキャスを見ていたら、「翼なき野郎ども」について話していて、しかも「ライヴ・アルバム『REAL TIME』のヴァージョンがいい」と言ってたんだから、黙っちゃられない。
早い話、割と評判がよくない(1980年代の)ポリドール時代の作品について、ここでよく引用する「ミュージック・ステディ」でのインタビューと泉谷さんの本「わが奔走」(ロッキング・オン)で振り返ってみようと思ってしまったわけだ。

・泉谷しげる「わが奔走」(ロッキング・オン)。

 で、実は2014年にポリドール時代のアルバム4枚はリマスター再発されたんですが、しっかり既に入手困難になっている模様。早すぎだよね。
ついでにいうと、ワーナーやビクター時代、ポリドールに戻ってからの作品が入手しやすいかというとそんなこともないんだな。

 それはともかく、ポリドール移籍第一弾のアルバムは1982年5月1日発売のアルバム『NEWS』。プロデュースは泉谷さん自身で、アレンジャーとしてムーンライダーズの岡田徹さんと白井良明さんにエキゾティックスでも活動していた吉田建さんが参加してますね。
吉田さんはライヴにも当然参加してたわけです。当時のメンバーはベースが吉田さん、ギターがエキゾティックスの柴山和彦さん、そのお兄さんの柴山好正さん。キーボードはまだ中西康晴さんだったかな?小滝満さんがやったことがあったような。ドラムスは正木五郎さんにサックスは小林勇司さん。
この時期からあまりにアバンギャルドな演奏を要求されるようになって、柴山兄弟と吉田さん以外の半分のメンバーが離脱してしまいます。
それもあって、キーボード・プレイヤーの岡田さんがレコーディングに参加したというわけですよ。
ちなみに正木さんはボイス&リズムの活動に力を入れることになりまして、翌年レコード(徳間ジャパンから、この時点ではまだメンバー7人編成)を発売します。
そして、トリオになったボイス&リズムは80年代半ば(ポリドールを離れてから)にまた泉谷さんのサポートをすることになるというのもすごい話だよね。

・「ミュージック・ステディ 4号」(ステディ出版)
アルバム『NEWS』インタビュー掲載。

 『NEWS』はアルバム・タイトル通りに時事問題を取り上げてます。
「FRONT」、「オンラインの女」、「裕福の飢餓」に「超大国乃危機」というのがA面収録曲なんですが、よくレコ倫(レコード制作基準倫理委員会)を通ったな、と思いますわ。
特に「裕福の飢餓」と「超大国乃危機」の歌詞は現在を予言するような内容ですよ。あ、ソ連なんて、とっくにないけどな。
詳しくは調べてね。(前述の「わが奔走」には「裕福の飢餓」と「超大国乃危機」の歌詞が掲載されてます)

・「ミュージック・ステディ 1984年10月号」(ステディ出版)アルバム『39º8″』インタビュー掲載。

 1984年9月1日発売のアルバム『39º8″』ではこの時期のライヴのメンバーがレコーディングにも参加したのです。
キーボードが福原マリさん、サックスが矢口博康さんにドラムスが鈴木さえ子さんという顔ぶれになりました。
このアルバムにも白井さんや岡田さんが参加していますね。
このアルバムでは仲井戸麗市さんが書いて、ゲスト出演した「しゃ・か・り・き」やタイトル曲の「39º8″」が印象的ですね。タイトル曲では吉田さんがサイド・ヴォーカルをとってます。
次のライヴ・アルバム『REAL TIME』はこのアルバムの発売記念ライヴを収録したものなので、このアルバムからの曲が多いのでした。

 ライヴ・アルバム『REAL TIME』は1984年3月1日に発売されました。1983年11月6日、渋谷公会堂でのコンサートを2枚組で発売してます。
初期からの代表曲、「春夏秋冬」、「眠れない夜」、「裸の街」、「デトロイト・ポーカー」に「翼なき野郎ども」が収録されているのと、ポリドール移籍後の「メディア」、「クラブ」、「39º8″」に『NEWS』からの「FRONT」、「超大国乃危機」など、この時点でのベスト選曲のライヴでした。
このアルバムにはMCが残されていて、それがまたいいんですよねー。
「裸の街」や「翼なき野郎ども」ではオリジナルとはまた違った泉谷さんのヴォーカルが堪能できます。
このアルバム、初CD化の時はダイジェスト盤となってしまい、1枚目の大部分と「しゃ・か・り・き」がカットされてしまいました。その後、2枚組でオリジナルの歌詞ブックレットを再現して、2014年の再発はリマスター再発で1枚だけど完全収録という形でしたね。
あと、仲井戸麗市さんが2枚目の冒頭
「39º8″」からゲスト参加してます。
「ミュージック・ステディ」では広告は掲載されましたが、インタビューはなしでした。残念。

 1984年12月21日にはポリドール時代最後のアルバム『エレベータ』が発売されました。
このアルバムにはカセットテープのみA面5曲目に「Private」が収録されました。2014年再発のCDには最後の10曲目に収録されています(ボーナス・トラック扱いで最後に入れたのでは?個人的には5曲目の方がいいと思うけどね)
このアルバムのレコーディングには白井さんと岡田さんは参加せず、さえ子さんもほとんど参加していません。
ドラムスには(矢口さんとマリさんがメンバーの)リアル・フィッシュから友田真吾さんが参加しています。
このアルバムは吉田建さんが実質的プロデューサーで、ヴォーカルを下げられたり、バッキング・トラックにも満足していなかったと後に泉谷さんが語っています。
ファンの間でもあまり人気がない。とされてますが、CDはなぜか入手困難になってます。

・「ミュージック・ステディ 1985年2月号」(ステディ出版)。
アルバム『エレベータ』インタビュー掲載。

 ポリドールから発売されたのはこの4枚のアルバムですが、アルバム『エレベータ』の発売記念ライヴ「エレベータ・ショック」と横浜国立大学学園祭のライヴを収録したビデオのみの発売作品が『EVIL LIVE』(東宝ビデオ)です。
 前者の参加ミュージシャンはドラムスが鈴木さえ子さんと友田真吾さん、キーボードが福原マリさんと小滝満さん、サックスが矢口博康さん、ギターが柴山和彦さんと柴山好正さんにベースが吉田建さん、ゲストに忌野清志郎さんという顔ぶれです。
この日のライヴが集大成で、同じ顔ぶれではライヴをやっていないのでした。
 後者は吉田建さんと友田さんのリズム・セクションに布袋寅泰さんがギターで加わったタワーズでのライヴですね。
ちなみに花火を使った演出の評判がよくて、前者の演奏に後者の映像が被さっている場面が多々見られます。
ちなみにビデオとレーザー・ディスクで発売されたのみの、この作品の定価が10000円だったというのも時代を感じさせますねぇ。
豪華メンバーですし、アルバム『エレベータ』で物足りなかった部分を補足する意味でも再発してもらいたいのですが。難しいんでしょうね。

・「ミュージック・ステディ 1985年9月号」(ステディ出版)。
『EVIL LIVE』(東宝ビデオ)の広告とレビューを掲載。

 水道橋博士のツイキャスで泉谷しげるさんの「翼なき野郎ども」、その上『EVIL LIVE』のタイトルが博士の口から出るとは!
ビックリしたな、もう。

 泉谷さんとビートたけしさんのエピソードが「わが奔走」に掲載されてまして、あまりにも感動的なものなので、興味ある方は自分で探してほしいですね。
ちなみに博士のツイキャスに私が参加するようになった頃、その内容を知っていたことにビックリしたことも付け加えておきますね。

 泉谷さんの音楽はスタジオ録音の楽曲をライヴで披露することで、ブラッシュ・アップしていくのでしょう。
ライヴを重ねる中で演奏しなくなる曲、成長していく曲と色々あるはずですが、ライヴありきのミュージシャンなのだな、と。 
まとめていてそう思いました。


 泉谷しげるさん、ビートたけしさん、水道橋博士のつながりに感激しつつ、水道橋博士に感謝します。そして、博士のツイキャスに参加した皆さま&この記事を読んでくださった皆さまにも。

 フォロー&スキお願いします。ちなみにスキはnoteのアカウントなしでも可能な模様です。

ではまたー。





 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?