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「笑芸人」VOL.4&VOL.5(白夜書房)。

 雑誌「笑芸人」の版が大きい時代、つまりVOL.1~5がようやく揃って(版が小さくなってから=VOL.6~17までのも残り1号となりましたが)、ひとつこの機会に版が大きい時期のことを、それも以前から持っていたVOL.4とVOL.5について書いてみたいと思います。

 最初に購入した「笑芸人」はVOL.4でした。ほぼリアルタイムで購入してますね。
表紙を今見ると、非常に感慨深いです。

・「笑芸人VOL.4 2001年春号」(白夜書房)

 間違いなく、高田文夫さんと大瀧詠一さんの対談が目当てで、鈴木啓之さんと吉田明裕さんによる「コミックソング大全」も夢中になって読みました。
ちなみに鈴木啓之さんはアーカイバーを名乗り活動されている中、現在Music Gardenというレコード屋さんを営んでいます。
吉田明裕さんは(CD再発やイベントでの日本のポップスについての功績はすごいものがある)土龍団のメンバーだった方で、土龍団選曲のCDなどで圧倒的知識と膨大な資料を持っていて活躍した方だったという印象があります。
この記事が発展して、翌2002年には高田文夫さん監修・笑芸人叢書「コミックソングレコード大全」(白夜書房)として発売されます(現在、品切れで中古市場ではプレミアが付いている模様)。 
 
 これだけでも相当すごい内容ですが、巻頭特集は「満開!東京漫才」というものです。
高田文夫さんと爆笑問題の太田光さんの対談に始まって、「爆笑問題VS浅草キッド」、水道橋博士による「THE MAKING OF 浅草キッド/あるいは、笑いのヴァーリ・トゥーダーへの道」、さらに東京漫才についての解説などが古今亭志ん朝さんや玉置宏さん達によって語られています。
他にも青空球児好児さん、コロムビアトップさんインタビューに、ベン村さ来さんによる東京漫才師名鑑(若き日の米粒写経やアンタッチャブルの姿も!)と入力していて頭が痛くなるくらいの充実した内容です。

 個人的に印象に残っていたのは、やはり「爆笑問題VS浅草キッド」と「THE MAKING OF 浅草キッド」です。
爆笑問題と浅草キッドの因縁(そもそも何があったのかご存知ではない方が多いかもしれないですね)はこの雑誌が出た2001年春にはこうして語られていたのかいうのと、水道橋博士が自ら語る浅草キッドのエピソード(例えが非常に当時の流れを感じさせます)は今だからこそ深い意味があるのでは?と思います。

・水道橋博士「藝人春秋2」「藝人春秋3」(文春文庫)

 浅草キッドと大瀧詠一さんのエピソードは数々ありまして、高田文夫さんに連れられて大瀧さん宅を訪問したことは「藝人春秋2」に掲載されています(博士が連載していた雑誌「熱烈投稿」が初出かも?)し、浅草キッドのラジオ番組に出演した際には「君たちはオールナイト2部の頃の方が面白かったんじゃない?」と切り出されたり、ラジオ番組「誠のサイキック青年団」と「アサヒ芸能」でしか取り上げられなかった某女性歌手のビデオ(なんのこっちゃ?)の話題を切り出し、苦笑されている(ちなみに大瀧さんの答えは「プロモーションなんじゃない」ということでした)等々、それだけで文字数が尽きてしまうくらいあるのですよ。
 
 で、長々と書いてますが、今「浅草キッド」が話題になっているなら、もうひとつの「浅草キッド」について検証すれば、また違った「浅草キッド」の見方ができると思っているのです。

 この号、ミニ特集というべきなのかな?林家彦六(先代正蔵)さんのエピソードも間違いなく面白いんだけど、それまで書いたら延々と終わらないんで、また別の機会に。

・「笑芸人 VOL.5 2001年夏号」(白夜書房)

 ようやくVOL.5ですか。これは近場の某大手新古書店で安く見つけた、10年くらい前だったかな。エナジードリンク1本程度でした。
巻頭特集は「世界の北野より、足立区のたけしが好き!」というビートたけしさん特集です。
幼少期~ツービートの初期くらいまでのビートたけしさんを深く掘り下げて、ビートきよしさん、前田隣さん、石倉三郎さん、北野大さんインタビューがあったり、深見千三郎さん研究、かなり身近にいた井上雅義さん(!)による浅草時代のたけしさんのコントの検証とか、これまた濃厚な特集です。(そういえば「平凡パンチ」に井上雅義さん視点のマンガが連載されていた記憶があります。井上さんらしき人の呼び名はラッカサン、たけしさんらしき人はベーターだったか?)
そして、VOL.4に続いて登場の鈴木啓之さんによるビートたけしさんのディスコグラフィーがあって、締めは高田文夫さんとの対談が実現した「銀幕同窓会」の再録ですからね。

 「浅草キッド」抜きにしても、たけしさん関連の資料として超一級だと思いますので、ネット通販や古本屋さんなどで高騰する前に是非。
でも、そういった方面の方々には適正価格でお願いしたいものです。一時的な価格高騰にのっかると長い眼で見たら、マーケット自体が縮小もしくは消滅してしまう可能性があると心配してしまうのです。

 この号、他にも桂枝雀さんの追悼特集もあるんですが、面白いから探してでも是非読んでくださいね、これまた別の機会にでも。

 と、既に相当文字入力してますが、大事なのはこれからなんですよね。延々と引っ張ったので、途中で飽きてしまった方々にはすみません&残念でした。
ここまで読んでくださった方々、もうちょっとしたら、いい話出てくるかもしれないんで、もう少し待ってくださいね。

 つまり、若き日の爆笑問題、浅草キッド、ツービートなど出てくるすべてがまた別の「浅草キッド」だと思うのですよ。
Netflixで「浅草キッド」を見たり、水道橋博士のツイキャスを見たり、もしかしたら「浅草キッド」を読んだりした方々が、より深く掘り下げるには「笑芸人」VOL.4やVOL.5がかなり役に立つと思うのです。
 爆笑問題の苦闘の記録や水道橋博士が漫才で何を目指していて、現在があるのか。読み返していて、私は何度も唸り続けたり感動したりしていました。

 この感動は一人占めしてはいけないと判断して、ひたすら長く文章を書いてしまったわけです。
 そして、最後まで読んでくださった方々に深く感謝します。サンキューな。

・「笑芸人VOL.4」「笑芸人VOL.5」(白夜書房)


ではまたー。

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