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さんぽ神のお告げのままにフラヌールしたはなし03/終【永久に孤独ではない】

前回からの続きです!

シャレオツな街、自由が丘のやや敷居の高いカフェでお茶をしてHP・MPともに回復した私達は、次なる神からの掲示を得るべくさんぽ神を開いたのでした。

「南へ向かって歩いて10分間スケッチをしてみよう」、ですか。なるほど。ちなみに、私は何も情報がないときに方角を知るすべを持っていません。サバイバル術では、腕時計の影の方向を見たり?するんでしたっけ?最近読み返した貴志祐介の「クリムゾンの迷宮」の冒頭で読みました。しかし我々にはスマートフォンという文明の利器があります。
お店を出たわたし達はGoogle Mapを開き、まずは南へと歩き出したのです。

考えなければいけないことは
・どこでスケッチをするか。
・なにでスケッチをするか。
です。前者については、もう神の気分次第なので、歩きながら「いい年をした女が2人絵を書いていても不審ではなさそうな場所」を探すしかありません。公園か、最悪なんかベンチとかあればいいな。後者については、ノートと筆箱を常備していたなんて遠い昔、鞄の中はすっからかんです。ペンは持っていたので、コンビニ的なサムウェアで紙なものを手に入れなければなりません。

そんな作戦会議をしながら歩くことしばし。目の前にLAWSONがありました。LAWSONはいいね、無印良品が入ってるから、なんて主張を聞きながら店内へ入ります。(私は紙もペンもたまたま持っていたので)友人がノートを見繕っている間、店内をうろちょろする私。
……お?これは……?

食べたことのないものやんけ!!!!!!!!!!
ついでにカップ麺の棚には、名前だけは有名、世界一画数の多い漢字のれいのたべもの「ビャンビャン麺」もありました。
食べたことがないはLAWSONにあったんや……。ていうかポメロってほんとなに?

そんな衝撃的な出会いをしつつ、わたし達は南へ進みます。南へ進んでいくと、道端にこんな標識が立っていました。

「ねこじゃらし公園!?」
「ねこじゃらし公園!!」

あまりに気になる名前の公園です。公園ということは、ベンチ的なものもあり、写生的なことをしてもそこまでおかしくはないでしょう。わたし達は一路、ねこじゃらし公園へと向かうのでした。
完全に横に曲がったので、もう南とか関係なくなったな。それもおさんぽの神様の心意気ってものでしょう。

ねこじゃらし公園へ続く道は、住宅街を抜ける遊歩道でした。左右に車道があり、中央を歩行者が歩く、なんだこのおしゃれ感は!これは自由が丘、これが世田谷のやり方か!あいにくまだ寒い時期でしたが、暖かい時期に歩けばさぞ楽しい散歩でしょう。
途中、世田谷区の看板にはちょうどセタブン(世田谷文学館)で開かれている(いた)「月に吠えよ、萩原朔太郎展」の案内がありました。猫ですねえ、おぎゃあああ、われわれは狂っています。いません。

ちょうど「詩歌探偵フラヌール」でも、萩原朔太郎の詩が取り上げられていました。こういうのが、シンクロニシティというのでしょうか。そんなことと、猫のことを考えながら進むと、目指すねこじゃらし公園に到着しました。

ねこじゃらし公園という名前から、ねこじゃらしが一面にあふれるふかふか公園を想像していました。しかし実際は緑もない寂しい公園で……って、

メジロだ!!!
私はメジロが大好きなんだ!あの一般的に鶯色と言われているかわゆい緑色のメジロが大好きなんだ!!!!(鶯は茶色です)
地域の方の手によるものでしょうか、小鳥用に輪切りにしたフルーツが枝に刺されており、それをちょこちょこかわゆくついばんでいるメジロ。かわいい〜……。小鳥はいいね、よく見ると都会にもいろんな鳥がいるんだよ。これはまんま、某動物園のボランティアの日本の鳥の日本の鳥の人たちの受け売りですが。

少し見ていると、メジロも飛び去ってしまいました。さて、このあたり気を取り直して本来の目的の「スケッチ」へうつりましょう。
私と友人は別れ、思い思いの場所で10分間スケッチをはじめました。寒い季節、そろそろ夕方も近く震える手でノートに描きつけていきます。

……スケッチ、むずいな。絵なんてどれくらい描いてないんだ。立体を平面で表現できない。というかなんだ、この、これは、どうなっているんだ!

…………………………
およそ10分後。
大人たちの何年かぶりのお絵描きです。

左がともだち作、右が私作

まあ、こんなもんですよ。普段絵を描かない大人のお絵描きなんて。と思っていると、
「あのね!ファミチキの袋がね!」
「ファミチキ??」
友人が指した先には、柱に挟まり風に漂うファミチキの袋が――

あ、なるほど、謎の揺れるストライプ四角形は、ファミチキの袋だったのね。なんでそこ選んだんよ、君!?

私がお絵描きの題材に選んだのは、小さく咲いている白い花でした。ところで、これはなんていう名前の花なんでしょう。いつも花の名前を調べるアプリを入れようと思って忘れてしまうのです。

ねこじゃらし公園、ロゴ?がいい。往年のジブリっぽい

さて、次の神のお告げを聞きましょう。寒さ的にそろそろ限界を感じる夕刻。これが最後の神のお告げとなる予感がします。

「カタカナの入ってる地名のところで、かっこいいネーミングのものを探そう」……?カタカナのは言ってる地名!? そんなもん、ないわ!
カタカナが入ってる地名って何よ、高輪ゲートウェイしか思いつかないわ。と、路線図を開けば、「たまプラーザ」が光り輝いて我々を誘います。たまプラーザ。う〜ん、この時間から行くには、ちょっと遠いのよね。そんな事を言いながらGoogle Mapを開きます。
すると、ねこじゃらし公園から北に20分ほど歩いたところに、駒沢オリンピック公園があるじゃないですか!
公園の名前は地名じゃない? いやいや、そんな事言われても、高輪ゲートウェイかたまプラーザか駒沢オリンピック公園なら、駒沢オリンピック公園に行くでしょ(?)

ということで、我々はすっかり寒くなった世田谷を数十分テクテクと歩き出しました。

進む道は、基本的に住宅街です。住宅街といっても、さすが世田谷です。閑静さとセンスが溢れています。デカい家、シャレた家、カッコいい名前の保育園、陶芸屋さん、レンタル農園(?)と、なんか、うちの近所とは違うわね……をひしひしと感じます。
ていうか、レンタル農園ってなんだ!?

うわ〜〜……ちょっと楽しそう。実家にいた頃は、庭でプチトマトやらキュウリやら茄子やらを育てたものです。家の近くにあったら、ちょっといいなレンタル畑。どんな野菜を育てたいかをキャイキャイ話しながら進みます。

道行きながら、かっこいいネーミングもの候補を見つけていきます。

モンテッソーリファーム(かっこいい)
エーダンモール深沢(かっこいい)

かっこいいの概念がわからなくなってきますね。

これは道行く途中で見つけた可愛い花です。冬に咲く小さな花はぜんぶかわいいです。ところで、この花の名前は(さっきもこの流れ書いたな)。

そんなことをしていると、駒沢オリンピック公園が見えてきました。

駒沢オリンピック公園といえば、わたしはつけ麺博で行ったのと、最近よくYoutubeで見ているポメラニアンがお出かけしたことくらいしか知らないですが、デカい公園です。公園の中に入らずとも、楽しそうにバスケをする子どもたちや、サックスを吹きながら配信しているお兄さんなど、様々な人種を見かけることが出来ました。

そしてなにより、ありましたよドッグラン!(???)

満足するまで遊ぶ犬を眺めたわたし達は、地図を見て気になった「りす公園」をひやかし、散歩を終了することに決めたのでした。

もう夜だからね!

寒さに会話も少なくなりながら、適当に近そうな駅へと向かいます。駅が近づくに連れ、少しずつ店が増え、喧騒が増えていきます。あ!桜咲いてる!

狂い咲いてるねえ、桜だねえ。今年はお花見がしたいねえ。
一月に咲く桜もあるわけで、一月にさんぽ神をする私達もいるわけです。

おしまいに

いやあ、ちょっとさんぽするには冬だったね。
また今度、ちょっと暖かくなったら散歩をしたいですね。

このふわふわの山芋鉄板焼、酒のアテに最高なのよ。あ〜、こうして打ち上げ的に酒を飲むの、たのし〜〜〜!!!

……なんか忘れてる気がする。
あ!!! 写ルンです、意外と使い切ってない!!!!

スマホでも写真を取りながらだったり、枚数を気にして意外と撮らなかったりで、ふたりともさっぱり写ルンですを使い切ることが出来なかったことに気づいたのでした。

酒を飲みながらパシャパシャ取っても、まだ余る残枚数。
ままま、これは、なんか、またどこかでエモい写真でも撮ろう。

こうして、フラヌールの末に私達はなにか楽しいことに出会ったのでした。

詩情のことはさっぱりわからないし、すごい冒険が始まったわけではないけれど、これは遊歩でした。

面白い本の購入費用になります。