死んだ方がマシな日々
一縷の望みは潰えて、入社した派遣会社は私の高いプライド人生で大きく妥協した点だった。
ここは私の居場所では無い。足がけだから。内定を受けると決めた時点でそう言い聞かせていた。
必ず、3年以内に辞めると心に誓った。
入社して初めての派遣された先は、どんな運が回ったのか、私が決別した会社が真隣に位置していた。もちろん派遣先は私では選べないから、初めて派遣先へ至った際の絶望は想像を絶する。
それでも気持ちは前を向いていたから、この眺めをバネに頑張っていこう!と思えた。
私が見事お祈りを受けた会社は、施設見学が有名で、よく一度は行ってみたいと云われるような場所だった。
当然、ここで名前が出てくるのである。
「今日午後休をとって、行ってきたんですよ!」
と社員の1人が自慢げいうと、ここぞとばかりに体験の1部を話しだした。
中身を誰よりも知っている私は、なにもなかったフリをして聞き役に徹し、「死んだ方がマシなだな…」と思った。
これまで何度も心が折れる音を聞いてきたが、今度は明確にボキッと逝ってしまった。感覚的にはバキッと。
悔しい。
もしあの時受かっていたら、今日ここの社員を受け入れていたのは私だったかもしれない。そういう、ありもしないことが脳を占拠して鬱々とした気持ちになってしまうのだ。
しかしながら、私は決してその第1志望に心から行きたかった訳では無い。
こうして、本来の目的を思い出すのだ。
ああ、
私は漫画家になりたくて、好きなことを仕事にしたくて、その準備段階に身を置いているだけなんだと。
会社の人はもちろん、親しい友人や家族にさえもこの気持ちを言えたことは無い。
言わないでおいて名前が売れてなら言えばかっこいいとかそんな理由。
だけど、1人で頑張るって苦しい。会社に入った時、人生という大地があまりにも広くて、先が見えなくて目の前が真っ白になった。一人で頑張っていくとは、1人で目標を抱えて生きることとは、
終わりの見えない道であり、不安が尽きない。
「正社員になろうとは思わなかったの?」
「今から正社員になろうと思わないの?」
「今はいいけど…もっと先のことも考えておいた方がいいですよ」
この3ヶ月強の間にもう十分に浴びた言葉たち。
年長からの心配に表面的に耳を傾けながら、私は道をしっかり見据えたいと思っている。私が本当に考えていることなんて、誰にも分からないでしょう? そんなに何も考えていないように見えますか?
この毎日は死んだ方がマシな日々だが、その先の綺麗な景色を私は決して諦められない。
夢を叶えたところで、その先々で死にたいほど苦しむことは変わらないんだろう。私が私である限り。
でも、頑張りたい。
猛烈死んでしまいたくなっても、こんな中途半端に、何も叶えないまま死にたくない。
この決意表明が、私の新たなスタートになると信じて。
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