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朝起きて、夜寝るまでの「最高の1日」を考える vol.2

すこし寝苦しさを感じ起き上がると相棒である白い彼がすぐ隣に横になっているのがわかった。犬種はスピッツだ。

昨日ちょうどお風呂に入ってもらった彼の後頭部に顔を埋めて思いっきり息を吸い込み、じんわりと幸福を感じる。鼻先を擦り付けるようにしていると彼がこちらに気づきじっと見つめてきた。用事があるのを思い出した私は、彼をひとなでしてから布団から起き上がった。

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朝ごはんはトーストにハチミツとバターを塗ったもの、庭から適当にちぎってきたレタスと、昨日収穫したきゅうりをスライスしたものを混ぜたシンプルなサラダに、オレンジジュース、コーヒーだ。
彼は自分のご飯を作る前に彼にはご飯をあげていたので、すっかり満足したのか足元でまたうたた寝をしているようだ。

なんとなくテレビを見る気も起きず、YouTubeで朝にぴったりなカフェのプレイリストをタップしてかけてみたけれど、これはあたりかもしれないなぁとマイリストにそっと保存をした。

家は風通しがよく、すこし古くて小さいながらも人間1人と犬1匹には十分な広さがあった。私はこの家の大きな窓と高めの天井が気に入っている。
朝の光がまもなくくる夏を感じさせた。

朝の支度を済ませ、昨日データを送ったデザインのメールをチェックすると、お礼のメールが来ていたので、そっと返信をして、私は自転車の鍵を持って外に出た。

自転車で20分ほど走ったところにある果樹園で私は時折お手伝いに呼ばれる。今日は雑草を抜いたり、剪定をすこし手伝うことになっていたので、動きやすい服でしっかりと軍手などもリュックにつめた。
この道は春になるとたくさんの果物の花が咲き乱れるのがお気に入りだ。

午前中はこの果樹園で仕事をし、午後は家の庭に作った簡易型の青空映画館で「グーニーズ」を上映する予定となっている。果樹園のバイトの子達も見に来てくれるらしい。

家に帰ったら、ポップコーンを作って、家で漬けたレモンスカッシュを用意して、お客さんを出迎えなければ。と先日作ったフライヤーの貼り紙を思い出しながら考えていた。

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午前の仕事も終わり、映画館の準備も終わったので、相棒の彼と散歩に出かけることにした。ちょうちょを追いかけてゆく彼に私は引っ張られながらも二人ですこし小高い丘まで登った。夏に近づきすこし毛が抜けた彼だったが、撫でるともふもふとしている。彼におやつをあげながら、私も家から持ってきたおやつを食べ、タンブラーに入れたお茶を飲みながら、写真を撮った。

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夕方。暗くなり始めたのでそろそろ映画館を開けることにした。
今日の演目は「グーニーズ」だ。家の軒先には大きなプロジェクター、ポップコーンの機械、レジャーシートや簡易的な椅子などを並べた。

しばらくすると近所の人がちらほらと訪れたり、今日泊まる予定の友人が車で来たりして、賑やかになった。彼はすこし落ち着かない様子で私の足元をうろうろしていたので、よしよしと両手で撫で「今日は賑やかだねぇ」と話しかけながら、準備を進めた。

「皆様、それでは上映を開始いたします。」
声をかけて、あたりを暗くする。私はプロジェクターのボタンをそっと押した。

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「今日はおつかれさま」
友人がお風呂に入っている間、私は彼の背中をマッサージして、また好きな曲を流しながら窓際で夜風に当たっている。
お風呂上がりにここでアイスを食べるのはとても贅沢で好きな時間だ。
彼は私を一瞥すると私の太ももに頭を乗せて目を瞑っている。

もうすぐ友人がお風呂から上がってきて、お互い最近どうしているのかなんて話をしながら夜更かしするのだ。それだったらコーヒーでも淹れようかな、でももう少しだけと、私は彼の頭をそっと撫でた。

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