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証券外務員 試験対策:金融商品取引法

こんにちは弁護士のスガオです。

証券外務員の試験対策用に金融商品取引法について解説する動画を作成しました。

証券外務員の試験対策としては問題演習を繰り返すことが重要となりますが、 1回目の問題演習は分からない言葉が多く、ハードルが高いです。
まずは、この動画をみて、問題演習にチャレンジしてみください。



この動画の音声はVOICEVOXで作成しました。
以下の内容は動画の内容を文字お越ししたものとなります。



金商法の分野のポイント

金融商品取引法の分野について説明します。
金融商品取引法のことについては以下では金商法といいます。
この分野のポイントは、金商法で決められた様々な制度について、大まかな内容を押さえることです。
試験におけるこの分野の配点は高くなっておりますので、各制度について浅く広く押さえることが重要です。

外務員試験で金商法が重要となる理由

まずは、そもそもなぜ金商法が外務員試験で重要であるかについて、お話しします。
金商法では、証券会社が事業を始めるために必要な手続きや、証券会社行ってはいけない行為などを定めています。
また、証券外務員制度についても金商法に定められています。
業種ごとの基本的な事業要件を定める法律を業法といますが、証券会社にとっての業法が金商法となります。
そのため、外務員試験との関係でも金商法は重要な法律となります。

金商法の目的

次に金商法の目的についてお話します。
金商法の最終的な目的は二つあります。
一つは「国民経済の健全な発達」、もう一つは「投資者の保護」です。特に投資者の保護という観点が重要です。
投資者の保護といっても、投資者を損させないようにするという意味ではありません。
投資はあくまで自己責任であり、投資によるリスクもリターンも投資者が引き受けるべきものであるからです。
金商法の目的は投資者の保護ではあるが、投資はあくまで自己責任であるということを押さえましょう。

金商法の適用範囲

次に金商法の適用範囲についてお話します。
一口に投資といっても、株式への投資のほかに、金への投資や、最近ではワインの投資など、様々な投資対象があります。

金商法はありとあらゆる投資について適用されるものではありません。
金商法が適用されるかの分かれ目となる重要な概念が2つあります。

1つは「有価証券」です。
もう1つは「デリバティブ取引」となります。

有価証券には、株式、債券、投資信託などが含まれますが、
試験との関係では、有価証券に含まれないものを押さえておきましょう。
具体的には、小切手は有価証券には含まれません。

金商法の目的と各規制との関係

それでは、金商法で定められた具体的な規制について説明します。
具体的には、

  • 証券市場の担い手に関する規制、

  • 不公正取引に関する規制、

  • 情報開示に関する規制

の3つについて説明します。

先ほど、金商法の目的は投資者の保護であると述べましたが、
これらの規制はいずれも投資者を保護するための手段として定められたものであることを押さえてください。

証券市場の担い手に関する規制について

まず、証券市場の担い手に関する規制について説明します。
証券市場においては、投資者と発行者のほかに様々な担い手が存在します。

その代表的な存在が、金融商品取引業者、金融商品仲介業者、金融商品取引所、金融商品取引業協会となります。

証券市場の担い手に関する規制とは、これらの証券市場の担い手について、きちんとした業者だけに業務をしてもらうための参入規制や、やってはいけない行為などを定めた行為規制を定めたものとなります。

金融商品取引業者について

まず、金商品取引業者について説明します。

定義

金融商品取引業者とは、内閣総理大臣の登録を受けて、金融商品取引業を行うものをいいます。
この定義は押さえておきましょう。

参入規制

参入規制で最も重要なものが金融商品取引業を行うには内閣総理大臣の登録が必要であるというものです。
まずはこの大原則を押さえましょう。

そして試験との関係では、この大原則に対する1つの重要な例外をおさえましょう。

その例外とは、PTS、すなわち私設取引所を行うためには、登録ではなく、内閣総理大臣の認可が必要になるということです。

認可は登録よりも厳しい参入規制となります。

金融商品取引業の具体例

また、金商法では、どのような行為が金融商品取引業に該当するのかを定めております。

ここでは、金融商品取引業のうち、「有価証券の売買の取次ぎ」について説明します。

まず前提として、上場有価証券とは東京証券取引所などの金融商品取引所で売買できる有価証券ということになりますが、
金融商品取引所で株式の売買をできるのは、その取引所から取引資格を与えられた証券会社などに限定されています。

そのため、投資者が金融商品取引所において上場有価証券の売買を行うためには、必ず取引資格を有する証券会社などを通じて行う必要があります。
証券会社の立場に立てば、顧客の売買の注文を金融商品取引所に取り次ぐことになります。

このような証券会社の行為を「有価証券の売買の取次ぎ」というのです。

教科書的な定義としては、
「委託者の計算で自己の名で有価証券を買い入れまたは売却すること等を引き受けること」と記載されていますが、

この定義を押さえることよりも、
東京証券取引所などの金融商品取引所で有価証券を売買できるのは、取引資格を与えられた証券会社などに限定されていること、
そのため証券会社としては顧客である投資者の注文を取り次ぐ必要があるということを押さえることが重要です。

そのほかの金融商品取引業に該当する行為については、問題演習を通じて学習してください。

外務員制度について

次に外務員制度について説明をします。
金商法では、証券会社のために株式などの有価証券の売買の取次ぎなどの一定の行為を行う者を外務員として登録しなければならいと定めています。
外務員の登録を行う先は、日本証券業協会であり、
この団体が、外務員試験を実施しています。
外務員の権限として押さえるべき点としては、
外務員には代理権があるので、外務員が行った行為は、証券会社の行為となりますが、
証券会社のために裁判上の行為を行う権限はないことを押さえましょう。

行為規制について

金融商品取引業者の行為規制については様々なものがありますので、
ひとつひとつは説明しませんが、
問題演習を通じて、どのような行為規制があるのかということを押さえましょう。

金融商品仲介業者について

次に、金融商品仲介業者について説明します。

定義

金融商品仲介業者とは、内閣総理大臣の登録を受けて、金融商品仲介業を行うものをいいます。
金融商品仲介業とは、要は、有価証券の売買の媒介などの行為を指すのですが、
ポイントしては、金融商品仲介業であると認められるためには、有価証券の売買の媒介といった行為が第一種金融商品取引業である証券会社などからの委託を受けて行われたものである必要がある点です。

所属性

金融商品仲介業者に委託を行う証券会社などを所属金融商品取引業者等といいますが、
金融商品仲介業者が金融商品仲介業で顧客に与えた損害の賠償責任については、
原則として所属金融商品取引業者等が負うことになります。
委託を行ったことの責任をとるというわけです。

行為規制

また、金融商品仲介業者は証券会社の外部委託先とはなりますが、証券会社ではありませんので、
証券会社とは異なり、顧客から金銭や有価証券を預かることはできません。

金融商品取引所について

次に、金融商品取引所について簡単に説明します。
金融商品取引所の具体例は、株式会社東京証券取引所となります。
金融商品取引所は、内閣総理大臣の免許を受けて、有価証券の売買や市場デリバティブ取引が行われる市場を開設することになります。
金融商品取引所の役割などについては、取引所定款・諸規定のところで説明します。

金融商品取引業協会について

次に、金融商品取引業協会について簡単に説明します。
金融商品取引業協会の具体例は、日本証券取引業協会となります。
日本証券取引業協会の役割などについては、協会定款・諸規定のところで説明します。

不公正取引に関する規制について

続いて、不公正取引に関する規制について説明します。
不公正取引に関する規制が定められている理由ですが、不公正な取引により投資者が損害を受けないようにするためです。
不公正取引に関する規制は様々なものがありますが、試験との関係では、内部者取引(いわゆるインサイダー取引)と相場操縦を押さえましょう。

内部者取引について

内部者取引については、どのような場合に内部者取引に該当するのかを押さえましょう。
内部者取引に該当するのは、

  1. ある会社の会社関係者に該当する者が、

  2. その会社についての重要事実を知りながら、

  3. その重要事実が公表される前に、

  4. その会社の株式などを売買する場合です。

問題演習を通じて、
どのようなものが関係者に当たるのか、
どのような事実が重要事実になるのか、
公表とはどのようなことを言うのか
ということを押さえてください。

相場操縦について

次に相場操縦ですが、金商法では、株式などの市場価格を人為的に操作しようとする行為を相場操縦して規制の対象にしております。
規制の対象となる相場操縦として、仮装取引馴れ合い取引というものがあるということを押さえてください。

情報開示に関する規制

次に、情報開示に関する規制について説明します。
情報開示に関する規制が定められている理由ですが、
株式の場合を例にとって説明すると、
投資家がある会社の株式に投資しようとする場合に、
その会社にとって都合の悪い情報が隠されていては、
投資者としては合理的な投資判断ができません。

そこで、金商法は、投資者が合理的な投資判断ができるように、
発行会社に関する情報を開示するよう義務付けています。

情報開示の対象となるものは、発行会社の事業の状況等についてのものである企業内容等開示制度と、発行会社のM&Aに関する情報に分かれます。

企業内容等開示規制について

企業内容等開示制度について押さえておくべき点は、

  • 情報の開示を行う主体が発行会社であること

  • 発行市場における開示制度である発行開示と流通市場における開示制度である流通開示があること

  • 発行開示と流通開示とで開示の内容がことなること

となります。

大量保有報告書についての制度

M&Aに関する情報については、大量保有報告書についての制度と、株式公開買い付け制度があります。
試験との関係では、大量保有報告書についての制度をまずは押さえましょう。
大量保有報告書についての制度は、いわゆる5%ルールといわれております。
数字の5がキーワードです。
すなわち、株券等保有割合という割合が%を超えた者は、営業日以内に大量保有報告書という書面を内閣総理大臣に提出しなければならないという制度となります。
試験との関係では、5パーセントルールは数字の5がキーワードであると押さえておいてください。

さいごに

以上、金商法の分野について説明しました。
この分野では各制度について浅く広く押さえることが重要となります。


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