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今すぐ変えられる家庭での取り組み。

東フランスの小さな村からこんにちは。

外国語・継承語としての日本語を教える、すーです。


前回の更新から、かなり日が空いてしまいましたが、すっかり緑の美しい初夏になりました。暑い日には近くの森や小川で自然を満喫しています。大阪にいた頃には考えられなかったのんびりした生活です。

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前回は、「継承語教育は家庭から」というお話をしました。

それでは、家庭で継承語を育む親は、どのよう取り組みをすればいいのでしょうか?

まずは、日本で育つ子どもの日本語習得を前提にしないことを念頭に置くこと。

日本で生まれ育ち、日本語を自然習得した親にとって、海外で育つ我が子がどのように日本語を習得していくのかが想像できないのは当然のことです。だけど、ちょっと想像力を働かせてみれば、すぐに理解できると思います。

まず、日本にいれば、四六時中、日本語に囲まれているため、意識するしないに関わらず、常に日本語を目に、耳にします。

かたや、海外にいると、一歩家の外に出ると、当然のことながら現地の言葉ばかり。我が家の場合はフランス語です。

次に、子どもが「日本」を肌で感じるのは親からだけ、ということ。親の日本語が子どもの日本語の規範になる、ということです。

この2点をしっかり意識して、

我が子が日本で生まれ育つ子どもたちと同じように日本語を習得することは不可能だと自覚して、

\ いかに日本語環境を豊かに整えていくか /

が重要です。

物的にも、人的にも、日本語環境を親が意識して作っていくことが必要なのです。


物的には、たとえば、日本語の本を家に置く、CDやDVDで日本語を耳にする時間を作る、日本独自のもので子どもが好きそうなものを見つける(我が家の場合、影響が大きかったものは、ワンワン・アンパンマン・ドラえもんなどのキャラクターもの、新幹線、妖怪)、伝統行事を家庭に取り入れる、もう少しお勉強的なものとしては、日本の通信教材を定期購読する、などです。

人的には、周りに日本人コミュニティがあれば、そこに所属して、活用するのがいいと思います。コロナ禍以降はオンラインのコミュニティも増えているので、そこで日本語を使った楽しい経験を重ねる。もちろん日本のご親戚やご友人と、コミュニケーションツールを使って定期的に交流するのもいいでしょう。


このように、日本語を使う楽しい機会、日本に好意的な印象をもたせる環境づくりを親が意識して作っていかないと、海外に育つ子どもにとって、

日本・日本語が遠く、馴染みのないもの

になるのは、残念ながら、当然のことです。


そして、もう一つ。

\親が自分自身の日本語を豊かにすること/

ここを疎かにする人が多いと感じます。


先ほども書いた通り、

子どもにとって、規範となるのは親が使う日本語

なのです。

親が話す日本語の中に、現地語を使っていたら、子どもにとってはそれが「ふつうの日本語」になってしまうのです。

その点を親御さんはしっかり心に留めておきましょう。


というわけで、今日のポイント、「今すぐ変えられる家庭での取り組み」とは、

・物的にも人的にも、日本語環境を整える

・親の日本語を豊かにするよう、意識する

の2点でした。

親の努力が子どもの継承日本語の発達に直結しています。

頑張りましょう!

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