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生成AIが拓く未来:適応か?死か?経営者としてどう向き合うか

24時間365日休まずに、文句も言わずに働く優秀なアシスタントがいたら?
欲しいものがなんでも出てくる「四次元ポケット」を手に入れたら……?

夢物語だと思うでしょうか。そんな都合のいいものが手に入るわけないだろうと、信じないでしょうか。

実は、その「夢みたいに都合のいいもの」が登場しました。

ChatGPT、Midjourney、RVC、Adept……。

これらは「生成AI」と呼ばれ、今や1日に100以上のこの「生成AI」を組み込んだ新しいツールが生まれています。

生成AIとは、人工知能の一種であり、ディープラーニングや機械学習の技術を用いて新しいデータやコンテンツを自動的に生成することができるシステムです。生成AIは、与えられた入力情報から予測や創造的な生成を行い、文章、画像、音声などの多様な形式のデータを生成することができます。

代表的な例としては、OpenAIが開発したGPT(Generative Pre-trained Transformer)モデルがあります。GPTは大量のテキストデータを学習し、その文脈から文章を生成することができます。

2020年6月にGPT-3が発表されると、多くのメディアや技術関係者がその驚異的な能力や応用の可能性について報道し、議論しました。これにより、GPT-3の存在やその能力について米国を中心に一般の人々も知る機会が増えました。

日本では今年に入ってから話題になり、企業も次々と生成AIを活用したサービスを展開しています。例えば旅行予約サイトじゃらんがAIチャットでのコンシェルジュサービスを始めたり、アル株式会社が集英社の「少年ジャンプ+」編集部とつくったComic Copilotという漫画づくりを手伝うサービスなど、生成AIを活用した新しいサービスが登場してきています。

生成AIはもはや一部の専門家だけでなく、誰しもが扱えるものとなりました。まさに「AIの民主化」が始まっているのです。

しかし、経営者の立場としては、この状況に危機感を抱かざるを得ません。

生成AIは、市場に大きな変化を与えます。
例えば仕事の生産性の格差を拡げていきます。仕事のできる人はさらにできるようになり、業務の多くがAIでカバーできるようになり、ホワイトカラーの仕事は今の10分の1以下で済むようになる可能性も否定できません。

その過程で、人的資本経営の価値が暴落する可能性があります。

実際、最近投資家と「どんなプレイヤーに投資したいか?」と話したとき、以下の3つを挙げていました。

①ユーザー数を抱えている会社
例)Microsoft、Google、Apple、Adobe
②生成AIビジネスの基盤を提供している会社
例)NVIDIA、OpenAI
③社長1人しかいない会社
例)無人コールセンター、無人ペイロール

注目すべきは「③社長1人しかいない会社」です。
想像してみてください。何千人、何万人も電話応対する人を雇っているコールセンターと、全てAIに電話応対を任せているコールセンター。
後者の方は人件費がかかっていないので、料金が安い。受電率は100%も夢じゃない。その上オペレーションクオリティが均質で、一定以上の品質があれば、安い方に発注しますよね。
投資家としても、利益率が高く、規模の経済が効きやすい「1人会社」に投資したいと考えるでしょう。しかし、1人会社は人件費がかかりませんし、設備投資など大きな投資を必要としなければ、投資家はお金を出させてもらえないケースもあり得ます。

つまり、人的資本の重要性が相対的に下がると、金融資本の価値も同時に相対的に下がるのです。逆に価値が高まるのが、知的資本です。

人的資本が重要な世界では、なるべく個人に依存しないよう仕組み化し属人化を抑えながら、組織全体の協力と連携によって業務を行い、成果を生み出します。
だからこそ、人材を大量に採用し育成する必要があり、企業は求職者へのアピールポイントとして「育児休暇取得率」「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」「リスキング」などに注力していく事で優秀な人材を集めやすくます。
人材こそが成長の鍵を握っており、投資すべきファクターなので、金融資本も当然そこに集中します。

一方、知的資本が重要な世界では、天才的な発想やユニークな考え方ができる少数あるいはたった1人の人間がAIをフル活用することで、成果を生み出します。人的資本はおろか、金融資本もそこまで多く必要ないのです。つまり、AIの民主化後は、天才性こそが投資すべき価値になる可能性があるのです。

米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)のジェン・スン・ファン最高経営責任者(CEO)は、「エヌビディアのビジョンは、次のアインシュタインやダ・ヴィンチのライフワークを成し遂げるための支えになること」と述べています。このスピーチを聞くと、彼は圧倒的に優れた個人の時代を予見しているように思えてきます。

現在、岸田政権が推進している成長と分配の好循環を軸とした「新しい資本主義」で今描かれているような構図とは全く異なる意味での 「新しい資本主義」の形態が現れる可能性もあります。

生成AIの登場とその進化を見るに、その新しいマーケット環境や資本主義に突入したと言えるのではないか?と考えるようになりました。
現時点では、その変化はまだ目に見えるものではありませんが、確実に世界中が新しいルールの世界に突入していると想定されます。

そして、生成AIの登場以前には戻らないということを考えると、この先何がどのように変化していくのか?
全世界中の経営者が同時に、この市場環境にどう適応し、どう舵を切るべきなのか?を経営のトップアジェンダとして考えないといけなくなったと言っても過言では有りません。

この連載を通して、経営者の目線で生成AIが巻き起こす市場の大変化を紐解いていければと考えています。

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