アラフォー上海留学日記【111日目】
6/16 日
朝ごはんを食べた海鮮麺屋に朝鮮語を話すおじさんがいた。海鮮麺はアホみたいにデカく、朝から食べきれる量ではない。いちごの缶ジュースが思いのほかおいしかった。鸭绿江啤酒も飲んでみたい。
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朝鮮レストランや漢方などが並ぶ通りを少し歩く。しかし今日は暑いな。
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ここらへんは京都や札幌よろしく通りの名前に数字が振られており、地理を把握しやすいので助かる。裏を返せば施政者が管理開発した街ということで、じゃあそれは誰なんだとなれば、中国東北部の歴史上、旧日本軍と考えるのが妥当だろう。
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ということで調べてみたところ、1905年の日ソ戦後、日本軍が「大和橋通り」(現・七经街)を中心に、新市街をつくったそうである。春秋戦国時代の理論にのっとり、九里四方に縦横9本の道路を敷き、3つの門をつくり、東にはお寺…というふうに。
そして、現・锦江公园に安東神社(清国で最も早く作られた神社だそうな)をおったて、そこから鴨緑江までを「京橋筋」(現・六纬路)とした。「市場通り」(現・五经街)と「大和橋通り」、「花橋筋」(現・三纬路)と「京橋筋」に囲まれたエリアには、日本人居留民団役所や小学校などがあったそうである。
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丹东の歩道は車が乗り入れて駐車スペースになっているので歩きにくいことこのうえない。車道の端っこを歩いて北東に向かう途中で、ロシア物産展があった。バルティカどっさり、ウォトカもたくさん。おしゃれなはちみつに焼き立てパンや小麦なんかも売ってる。紫の麺が気になる。スウィーティーガムみたいな風味のレモンソーダを買った。常温なのに炭酸が喉に染み入る、うまい。
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さて、そろそろ鸭绿江の方に曲がろう。真正面に空が開け、海に向かう道みたいな光景。この先に北朝鮮があるとはね。川から風が吹いてくる。この風は北朝鮮からきているのかと思うと、川の向こうが身近に感じられた。
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鸭绿江に降りてみる。キッズがカニをとって遊んでおり、のどかのひとこと。ダイバーは川の向こうとこっちを行ったりきたりしている警備隊のようだ。
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川沿いの公園は電動車いすシニアの憩いの場。二胡などの演奏を聞きに、みんな集まっている。今日は暑いので、中国名物腹出しおじさんもたくさん発生していた。
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2号码头から観光船に乗った。小红书情報では、1号より2号から乗ったほうが人民の姿を見られると聞いたからだ。船の中で双眼鏡を10元でレンタルしてみたが、双眼鏡よりスマホのズームのほうがよかった。建物のなかの人見えた?とおばさんに聞かれたが、双眼鏡じゃぜんぜん見えなかったよ。
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せっかくなので、甲板で親に動画通話をかけた。父の日だし、父に北朝鮮を見せてあげようと思ったのだが、動画通話に出た母は友達の家に遊びにきているという。結果、はじめましての母の友達にまで北朝鮮を見せることになってしまった。
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さて、これから何をしようか。暑いので徒歩ではなくバスにのりたい。山の上にある抗美援朝纪念馆にでも行ってみるかとWeChatから予約しようとしたものの、パスポートが必要なパターンだった。パスポート、ホテルに置いてきちゃったよ。残念。
気を取り直して老街にでも行こう。バス停にはハングル表記。行き先が違うボロボロのバスを見送り、十数分待つが、バスがぜんぜんこない。隣にいたおばちゃんに、バスぜんぜん来ないじゃないのウンタラカンタラと話しかけられて、ウンタラカンタラが聞き取れなかったので、ですね、私ももうずっと長い時間待ってますと答えてお茶を濁した。
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老街は完全にテーマパークだった。各地の名産屋台が集まっているだけ。丹东名物と書かれた炒米叉子なる麺を食べてみた。なんと、めちゃくちゃうまいではないか。細めのマカロニくらいありそうな権太麺。炒められた表面がところどころ香ばしく、たしかな歯ごたえがたまらん。テーマパークだとナメてかかってすまなかった。
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キウイのドリンクを見かけたので買ってみる。てっきり生搾りかと思ったのだが、おじさん、めっちゃシロップ入れてる。案の定おいしくなかった。シロップの味しかしないうえに、でかいイクラみたいな、噛むとプチッと弾けてなかからどろっとした甘いものがでてくる物体が受け入れがたく、申し訳ないが即ゴミ箱へ。
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お土産売り場は軍事アイテムモチーフの酒とか、トンチキな物がたくさん売っていた。このあいだ北朝鮮レストランで1本75元だった大同江啤酒が15元で売られている。Tに報告すると、ぐぬぬ…と返事がきた。私も同じ気持ちだ。人参酒をひとつ購入。
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老街のまわりを少しうろうろしてみる。路上で朝鮮タバコを買った。ひとつ10元。普通のお店に「大同江冷面! 到货!」「朝鲜米酒到货!!」と貼ってあり、北朝鮮の商品が頻繁に入ってきていることがわかる。
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いったんホテルに戻って休もう。暑さでバテバテ。H1路線はバスのアナウンスも朝鮮語ありだった。少し休んで玉流平壤冷面に向かうが、まさかのお休み。
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第二候補であった妈妈冷面へ。具としてのっているタラの干物みたいなのがうまい。カラシがうまい。ぜんぶ混ぜて食べるのよ、お酢と辣醤おいとくね、と親切なオモニ。目当ての店はやってなかったが、やさしいオモニの店に入れてよかった。
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どこからきたのと聞かれ、日本ですと答えると、日本語で「ありがとう、ございます」と言ってくれた。オモニは朝鮮からきた朝鮮族だそう。マッコリは自家製。買いたいけど飲みきれる量じゃないからあきらめた。カムサハムニダオモニ〜アニョハセヨ!と挨拶して店を出ようとしたら、シェシェと言いかけたオモニがあっ間違えたという顔をしたので、顔を見合わせ、2人でありがとうございます!と言って笑い合った。
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月亮夜市に向かうバスの車窓から、桃色成人という看板が見えた。そういえば、この街ではアダルトグッズの店をちらほら見かける。KTVもにぎやかだったし、やっぱり国境地帯には昔からそういう需要があるよなと感じた。
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月亮夜市はとんでもない盛り上がりだ。食べもの屋台がズラリと並び人山人海。烧烤の屋台が多く、とある新聞記事では「“万物皆可烤”(すべてのものは皆焼ける=ここで焼けないものはない)と称するに足る」と紹介されていた。
気になったのが油条包麻糍。油条(揚げパン)に砂糖を加えたもちをのせ、ごまとさらに砂糖を加えたカロリー爆弾。
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食べもの屋台のエリアを越えて川のほうに行くと、さらにカオスな世界が広がっていた。
大音量でCDの視聴ができる海賊版CD屋から始まり、暗い公園にギラギラと光を放つ輪投げ、射的、UFOキャッチャー、鉄道状の乗り物、ビョンビョン跳ねる遊具。子供たちの夢の国と、爆音集団ダンスがクロスオーバーし、その境界線では、ペダルをこぐとシャボン玉が吹き出る遊具ではしゃぐキッズが、ネオンを表面に写し込んだ無数の泡で辺り一面を異界に仕立て上げている。
変な祭りに来たようなきぶんだ。祭りというのは年に何回かの祭祀だからこそ日常の枷を外して特別な行事となりうるのに、ここでは毎日これが行われているのか。すげえ。
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この光景をつまみに飲むべく、ビールを買いに食べものエリアに。海鮮焼きの店を覗くと、サナギのようなものを見つけた。おお、動いている。生きてるんだ。前にサナギ?のスープを飲んだことがあるが、こんなに大きくなかったぞ。
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露店の裏で営業していた便利店でハルビンビールを買ったら、なんと4元だった。スークァイ(4元)と言われたものの、シー(10)がスー(4)になまる人が多いからてっきり10元かと思ったのに、ほんとうに4元だったとは。そんなに安いの!?と言ったら、美女、満足した?とお店のおばちゃんが笑っていた。
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月亮岛を川越しに眺める。丹东側から約200メートル、北朝鮮の新义州市側からは約600メートルという場所にある小さい島だが、辺境旅行の重点地区に指定されており、投資の金がどんどん入っているようである。月亮岛の有名な庭園は日本人の原田廉氏が設計したそうな(新聞調べ)。
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ビールを飲んで満足し、ホテルに戻る。フロントにおばちゃんおじさん軍団が大量にいてなかなかエレベーターに乗れない。そういや、昨日もこれくらいの時間に軍団がかけつけていたな。ツアー客御用達の宿なのかもしれない。
疲れたので早めにシャワーを浴びるも、水温がぬるい。水圧も、水圧という概念がない世界で作られたシャワーですか?というくらい弱い。先ほどの軍団が一気にシャワーを使っていると見た。タイミングが悪かった。まあ、冬じゃなくてよかった。というか、東北の冬にこんな脆弱なシャワーで大丈夫なんだろうか。
寝付く直前に、そういや明日の飛行機は手荷物持ち込みだったことを思い出した。沈阳南站で買ったスヌーピーマグカップ白酒も、今日買った人参酒も持って帰れないじゃん。
あわててスヌーピーの白酒を開ける。朝鮮人参とクコの実が入っていた。アルコール度数43度、胃が熱くなるのがわかる。半分も飲みきれなかった。
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