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どうも、ゆるラクゴプロデューサーのイエモトです。
毎週、落研出身の二人でゆるい落語みたいなショートストーリーを作って遊ぶPodcast番組を配信しています。

一年前は「人生はマラソンだ」に意を唱えるゆるラクゴを作っていました。信じられないくらいやることが無いときに聴いてください!

突如、妻がどーーーーーしても食べたい物がある!と言ってきまして。

何かと聞くと、「シュクメルリ」だと。

しゅく…める…り…?

はて。
シュークリームの派生品だろうか。マカロンにおけるトゥンカロンみたいな。それとも、ヨーロッパでクリスマスに食べるパンみたいなケーキがそんな名前だったか。とりあえずめでたい日に食べそうな響きだし。もしくは、歴史から突如として姿を消したシュメール人が唯一残した痕跡とされる伝統的な製法で作られたでんぷんの団子とかか。シュメール展か何かでもやっていて、コンセプトカフェでもオープンしているのか。

そんなあらゆる可能性を探りながら、少し調べてみると、どうやらジョージアの郷土料理らしい。

ジョージア大使が上手いことを言うくらいには話題らしい。

なるほど、シュクメルリとは、鶏肉をガーリックの効いたホワイトソースとチーズで煮込んだジョージアの郷土料理なのか。まぁ、ほぼ正解でしたね。
ちなみにさっきのクリスマスとかに食べるパンみたいなケーキは、調べたらシュトーレンでした。

松屋で「シュクメルリ定食」が発売したとのことで、それを妻が見たのでしょう。よくよく思い返してみたら、昔東京に住んでいたときにそんなものを松屋で食べていたような。当時の私はそういう新しいものをシャットアウトする思想が強めだったので、たぶん普通に牛めしとかを食べたと思われます。何年も前なのにここまで再販を喜ぶとは、きっと相当に美味しかったのでしょう。これは私も食べねば!ということで、今日の仕事終わりにわざわざ二人で待ち合わせして松屋に行って来ました。

松屋に行くためだけに、いつもより仕事を早く終わらせ、待ち合わせ時間に間に合いそうとひと息ついのもつかの間、松屋公式Xから非情なアナウンスが。
まずい、このままだとただ松屋で牛めしを食べるためだけに仕事を早く終わらせたことになってしまう!何より、わざわざシュクメルリだけのために出かける準備をし、身なりを整え、今日の朝から、いや一週間くらい前から楽しみにしていた妻の、落胆しながらただ松屋の味噌汁をすする顔なんて見てられない!などと、どきどきしながら店舗に到着。

あった!
シュクメルリが普通にあった!良かった!

夕飯時であることと、雪まつりシーズンで海外の観光客が多めだったタイミングが重なり、一時は席を離れて座ることになりそうになったものの、これはさすがに一緒に食べねば意味がないと、敏腕店長の如く店舗全体を視野に入れ、テーブル席が空くやいなや席を確保することに成功。(まぁ、その後全然混まなくて、別にのんびり待っててもテーブル席に座れたのですが。)

これがシュクメルリだ!

少しだけ待って、待望のシュクメルリとご対面。
調べた通り、鶏肉がたっぷりと入ったホワイトソース。そこに挿し込むニンニクの香り。アクセントにさつまいもが入っているのは、日本独自のアレンジらしい。そして、ダイエットをしたら殺されるのかと思わせるほどの大量の各種チーズ。
え、なにこれ、食欲しかそそられないんですけど。

旅館の御膳を思わせるかのような固形燃料でグツグツ熱せられた土鍋に、アザが残らなければ多少の火傷くらいは覚悟させられつつ、いざ、実食。

あれ?美味しい。
いや、この「あれ?」は味に対する「あれ?」ではなく、「案外熱くない」という温度に対する「あれ?」なのですが、美味しさが先に来たので味の感想を挿入してしまいました。
そりゃあ美味しい。鶏もも肉とチーズとホワイトソースとさつまいもと大量のニンニクなんて、日本人が大好きな組み合わせですからね。ただ、そこで驚いたのが、火傷するほどは熱くないと感じたこと。ソースは明らかに煮たっているものの、特に具材はちょうどホクホクになっているくらいで、むしろ少し物足りないくらい。
なんだ、見掛け倒しじゃないか。妻も「火傷するかも」なんて心配そうにしていたのは、多少の思い出補正みたいなものか。なんだなんだ、ちょっと覚悟して損したわーーー。

と、そう思えていた頃の私は、幸せ者でした。
確かに食べ始めたくらいだと、たぶん鍋が完全に温まりきっていないのか普通に食べられるくらいの熱さでした。問題は、この固形燃料が全然燃え尽きないということ。勢いよくずーっと燃えている。今から燃え始めます!みたいな顔でずーーーっと燃え続けているのです。だいたいの熱々の食べ物って、時間が経てば少しずつ冷めていくじゃないですか?だから、私がひとくち食べた時にその冷めていく予測も加味して前述の「あれ?」が来たのですが、シュクメルリに関しては、なんならどんどんソースが熱くなっていく一方で、いつのまにか鍋から直でソースを飲むことすら出来なくなってくるわけです。気づけば手遅れみたいな。こういう地獄の拷問だってあるのではと思わされながら、一旦顔を上げてみると。

そこには、必死にシュクメルリのソースを付属のご飯にかけている妻の姿が!

そうか、その手があった!一度、この地獄の風呂みたいな土鍋からソースを逃して冷ましてから食べればいいのか!さすがはシュクメルリ経験者!

ということで、神に背いて白米を汚す行為に手を染めるのですが、もうね、これがまた美味しいのなんの。どこまで日本人のことを知り尽くしたメニューなんだと思わされるこのコンビネーション。ソースを冷ませるし、しかも米に合いすぎるなんて。もう脱帽ですね。
気づいたら完食していました。ご馳走様でした。

というわけで、舌の全焼と引き換えに、最高の定食に出会ったのでした。

ちょっと品切れが続く店舗もありそうではありますが、機会があれば皆様もぜひ。

では、また。

毎週土曜17時配信のPodcast【「#ゆるラクゴ」のつくかた】もしよろしければ、フォローと評価なんぞしていただけると大喜びします🙇

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