中間管理職の悩みと落語界のハラスメント問題

どうも、ゆるラクゴプロデューサーのイエモトです。
毎週ゆるい落語みたいなショートストーリーを作るPodcastを配信しています。

最新話、お時間よろしければご拝聴下さい!


このところ、ずっとパワハラだなんだの話題が世間を賑わせていますよね。
野球界でも芸能界でも演劇界でも自衛隊界?でも、、あらゆるところで問題が露呈して、当事者が謝罪したりとか活動自粛したりとか裁判したりとか。
松本人志さんの問題も、論点がだんだんとそっちの方にシフトしていっていますね。

落語の世界も、最近ニュースになっていました。

落語家の吉原馬雀(元三遊亭天歌)さんが元師匠に対して「行き過ぎた指導」がパワハラに当たるとして訴えたという内容。裁判所は、これをパワハラと認め、元師匠側に80万円の支払いを命じる判決が先日なされたとのことでした。

この問題は馬雀さんが正式に破門となった数年前あたりから週刊誌やネットの記事に取り上げられ業界をざわつかせていました。
昨年から吉原朝馬さん門下に移り、落語家として再スタートすることができているとのことなので、そこがまず本当に良かったですよね。

正直、個人的には、師匠としてメリットの薄い移籍を受け入れ、さらに弟子のYouTubeチャンネルにも出演し、ハラスメント問題についても語る朝馬さんの漢気やお人柄に完全に惚れました。ご興味のある方はぜひ観てみて下さい。


ハラスメントが急に発生しているのか、というとそうではなく、元々あったハラスメントが問題として浮き彫りになり始めているというのが正しいのでしょう。先人の有難いお言葉「当たり前じゃねぇからな」が、時代を象徴しているというところでしょうか。

一般社会でも「働き方改革」の動きが大きめのターニングポイントになっているのは私の肌感覚でも認識しております。特に、私が前職を転職するかしないかくらいの2018年頃に「36協定」が改訂され、残業時間に規制が入ったあたりから、上層部の社員の働き方への関心が高まったことを感じました。ただ、その当時は、中小企業においては「もうすぐ規制入るから今から点検してこう!」みたいなタイミングだったため、形だけとりあえずという程度のものだったのと同時に、上層部がひとまず新人まわりへのフォローを求めた結果、中間管理職的なポジションになっていた我々がむちゃくちゃ苦労するという構造になってしまっていたのを書きながら思い出してきました。
今まで上司から指導されて来たことを、いざ自分が上司になったときにそのままやろうとしたら部下から上層部に内通が入って改善命令されるとか。
それアナタが私に散々やれって言ってたことですけど!ということでも、部下の声の方が影響力があるので、ノウハウ0の状態で手探りで改善してみるんだけど、結局自分がやるのが早いかーってどんどん自分に残業付けないで仕事して、、みたいなことになってました。うわ、鮮明に思い出してきました。だから転職したのかも。
今年から「2024年問題」なんて騒がれてますが、運送業界の中間管理職の方々はさぞ胃を痛めることになるのではないかなと心配しております。

とまぁ、そこらへんのタイミングを契機に、労働時間だけじゃなくて、ハラスメントみたいなことも顕在化することが増えたような印象です。
告発をすることは、まずめちゃくちゃ大事。冷静に考えてこれっておかしくないですか?みたいなことを新人や外部から来た人が指摘することがとにかく大事。
しかし、先ほどの例でいくと、中間管理職的なポジションの人も物凄く大変なのを理解しないといけないんじゃないかなと。決して悪役にしてはいけないと思うんです。

師匠を中間管理職とするのはおこがましいですし、そもそも暴力は何があっても悪ですが、特に伝統芸能の師弟関係のあり方みたいなところは、変わっていかないといけないとはいえ、どう変えたらいいのかノウハウが無いわけです。だって自分の師匠が全てでそう教わってきてしまったんですから。
そこで責められるべきは、その構造を作ってしまっている落語界そのものであり、各師匠ごとに任せてしまっている落語の協会がよろしくない。まぁその協会も落語家さんがまわしているので、外部から有識者を呼んでこない限りはどうしようもないとは思いますが。

「落語家なんてどうしようもないやつが頼み込んでなるもんなんだから、弟子に人権はない」

ただ、某落語家さんのこの言葉だけはとにかくいただけないですし、これに対してどの落語家さんも直接反論したりしないことに驚いてはいます。
あー、落語家さんって、結局そういう考えが根底にある人ばかりなんだなぁ、時代に取り残されて滅んでいく芸能なんだなぁと思われても仕方ないですよね。
そもそも師弟制度は伝統芸能だから成り立っていて、伝統芸能ならば「どうしようもないやつ」だけに担わせるのはいかがなもんなんでしょうか?
そもそも人権が無いとされて落語が上手くなるもんなんでしょうか?
落語からイノベーションがぜんぜん生まれてこないのはそんな業界だからでは?
などなど、思うところがたくさん出てきますが、そんな落語界のしがらみが嫌だけど落語自体は好きだからこそ、私は「ゆるラクゴ」ってことにしてこっそり新しい何かを作り続けて行きたいのだなぁと想いを強くしたのでした。

では、また。

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