【須田亜香里さんの軌跡】◆M35 新聞記者・須田亜香里
「新聞記者も務める現役アイドルは?」と聞かれたら,「えっ,アイドルに新聞記者が務まるの? 今までそんな人いたかなあ?」と反応する人は多いのではないでしょうか。
須田亜香里さんは,2019年,中日新聞から,パラリンピック東京大会を取材する特約記者に任命されました。最初の仕事は,車いすマラソンとトライアスロンの土田和歌子選手との対談でした。この対談は,2020年1月1日の中日新聞に掲載されました。【1】
その後,東京パラリンピックは,コロナ禍のため1年延期されましたが,須田さんは特約記者のまま,2021年を迎えます。パワーリフティングの大堂秀樹選手との対談(2021年1月1日掲載)や,走り幅跳びの前川楓選手との対談(2021年7月24日掲載)という大きな仕事を無事に終えました。特に前川選手との対談では,女性同士,髪の色やネイルといったファッションの話にも花が咲き,須田さんと前川選手は意気投合したようです。
さて,2021年8月に迎えた東京パラリンピックの期間中,須田さんは,「てくてくパラリンピック」という表題で,記事を連載しました。「生き方 無限の可能性」では,開会式で感じた人間の可能性の大きさを語り,「圧巻 まるでジョーダン」では,カナダの車いすバスケットボールの選手を間近で見た強い印象を語りました。また,「新聞記者「希望届けたい」」では,北海道新聞の記者でパラアスリートという永瀬充記者を取材。永瀬記者の思いを文字にして伝えました。そして,「おしゃれも 競技も 全力」では,おしゃれも競技も手を抜かない女子アスリートの強さと美しさを語りました。
須田さんの視線は,競技に参加する選手だけに届いていたのではありませんでした。「優しさあふれる花束を」では,表彰式に使われる花束を作るボランティアの人々の声を読者に届けました。この記事の冒頭「表彰式でメダリストに贈られる花束「ビクトリーブーケ」には,優しさが込められている。」という一文は,掲載された当日の中日新聞朝刊の一面で「中日新聞」という題字のすぐ左の「言の葉」という欄にも掲載されました。
そして,最後の記事「伝える 記者の使命」では,読者の五感を自分が担うという決意で特約記者の仕事に挑んだことを明かし,「伝える」ことの重みを語りました。須田さんは,記者の仕事を通じて多くの人々と出会い,自らを成長させたことでしょう。
こうした須田さんの懸命の奮闘振りは,中日新聞の読者や,プロの新聞記者の皆さんにも伝わったようです。須田さんは,2021年10月6日,中日新聞本社で,同新聞初の「特別表彰」を受けました。【2】
ところで,この時期,SKE48には大きな転機が訪れました。
初期の頃からSKE48を引っ張ってきた松井珠理奈さん,高柳明音さんが,2021年春,相次いでグループを卒業しました。須田さんは,頼りにしていた2人の卒業に不安を抱きながらも,グループの中心メンバーのひとりとして,全力を尽くしたのです。
(◆M36に続く)
<ソースノート>
本文で紹介した中日新聞の記事のほか,
【1】https://static.chunichi.co.jp/chunichi/archives/ee/feature/new_year_interview/2020a.html
【2】https://mobile.twitter.com/dasuwaikaa/status/1445636166753996800