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【須田亜香里さんの軌跡】◆M29 アイドルとしての品格


 2019(平成31)年1月9日,48グループに激震が走りました。

 NGT48のメンバー・山口真帆さんが,showroomとツイッターで、「先月、公演が終わり帰宅時に男性2人に襲われました。暴行罪で逮捕されましたがもう釈放されてしまいました」と公表し,さらに,NGT48のメンバーが,男性らに山口さんのプライバシーに属する情報を教えて事件の手引きをした,と訴えました。

 後になされたNGT運営の公式発表によれば,次の事実が確認されたとのことです。

 「(平成30年)12月、ファンを名乗る男2名が山口真帆の自宅玄関に押しかけ、顔を押さえこむなどの暴行の容疑で逮捕されました。」
 「そのほかに、実行犯ではありませんが、この事件に関与していたファンの男1名も運営側で確認されました」
 「メンバーの関連性においては、メンバーの1名が、男から道で声をかけられ、山口真帆の自宅は知らないものの、推測出来るような帰宅時間を伝えてしまったことを確認しました。」

 ところが,残念なことに,NGT運営は,1月10日の劇場公演において,被害者である山口さんに謝罪をさせました。運営のこの処置は,多くのファンやメディアから,厳しい批判を受けました。

 その後,一方で,インターネット上などでは,この事件に関与したNGTメンバーの「犯人捜し」が行われ,複数名のメンバーの名前が上がりました。他方で,関与を疑われたメンバーは,無実であるとツイッターなどに投稿しました。

 このように,真相が判明しない混乱した状況の中で【1a】,須田さんは,1月13日から17日にかけて,「サンデージャポン」【1】,ツイッター【2】,さらには「ドデスカ!」【3】で,この事件に関する自身の見解を連続して発言しました。

 なお,須田さんは,「事件以前の問題に疑問を持っている」【2】,「連絡先を交換したという憶測も飛び交っているけれど,そこは憶測なので信じたくない」【3】,というコメントに表れているとおり,TV番組のコメンテーターとしての責任感から,コメントした時点では憶測の域を出ない情報を考慮せずに,意見を述べています。

(1)帰宅時間を教えたメンバーについて

 もともと,須田さんは,スキャンダルによりファンが悲しむことを嫌うアイドルでした。それは,須田さんが,プライベートでお兄さんと2人で歩くときでも,無言で,離れて歩くようにするほどでした。【3b】

 このような考えに基づいて,須田さんは,サンデージャポンでは,「メンバーがアイドルとしての品格をちゃんと保ってさえいれば、ファンの方との距離感で帰宅時間を教えることはあり得なかった」と,帰宅時間を教えたメンバーを厳しく批判しました。

 その上で,「いつになるかわからないけど、関わったメンバーは自分の気持でアイドルを続けるのか、もしかしたら卒業の道を選ぶのかな、そこは自分の気持なのかな」と,そのメンバーに対し,NGTからの進退を自分の意志で明らかにするよう求めました。(以上【1】)

 さらに,須田さんは,ドデスカ!でも「アイドルとしてファンの人に教えていいことと悪いことがある。(アイドルとしての)品格を保てるかどうかは自己判断になる。それは運営がどうこうじゃなく、自分で判断できるようにならなくてはならないので、教えちゃった子がいるというのはちょっと注意不足だったのではないかと思います」と,帰宅時間を教えたメンバーを,再度,厳しく批判しました。【3】

 なお,このような不適切な行動をしたメンバーについては,当然,事件に関与していたことを世間に明らかにした上での解雇・グループからの卒業という処遇も考えられますが,この点について,須田さんは,ツイッターでは「私は加害者側に関わってしまったメンバーだとしても表立った謝罪や解雇は避けたほうがいいのではないか。というのが個人的な意見。 大きな過ちでも一生表立って非難を受けるのは10.20代の女の子には酷だと思う。」と述べ,「表だった」謝罪や解雇については,そのメンバーが,生涯にわたり制裁を受け続けることを心配して否定的な意見を述べました。【2】【2a】

(2)上記(1)以外のメンバーについて

 須田さんは,憶測に基づくコメントをしないというスタンスなので,17日のドデスカ!出演までは,帰宅時間を教えたとされるメンバー以外のメンバーについては,何らコメントしていませんでした。【1】~【3】

 しかし,27日に生出演したサンデージャポンでは,「ファンと交際していたNGTメンバーがいる」との一部の報道について「そんなメンバーがいると信じたくない」と前置きした上で,「万が一本当だったら、そのメンバーを許したくない。もしファンと交際したいという感情が湧いた時点でアイドルじゃなくていいし、やめるべき」と厳しく批判しました。その上で「全てのファンを平等に愛せないアイドルは、アイドル失格。」と,長年実行してきた信念を語りました。【4】

(3)NGT運営について

 須田さんは,17日のサンデージャポンでは「私は運営だけが悪いとは現状は思いたくない。もちろん運営が悪いところもあったと思う」と述べるにとどまりました【1】。一番悪いのは暴行を加えた男性ですし,帰宅時間を教えたメンバーにも非はありますから,このコメントは,ある意味,当然の発言です。

 しかし,ツイッターでは,「曖昧な運営側の言葉は多くの人を混乱させているのは事実。」【2】と述べ,NGT運営の説明不足を指摘しました。

 さらに,須田さんは,ドデスカ!では,被害者である山口さんが最初に謝罪したことについては「誰がどう見ても被害者が言うのはおかしいというのは私も同感」と運営の対応のまずさを指摘しました。そのうえで,「一から十まで運営批判になっているのは心苦しい。今は関係ない子まで疑われてすごく傷ついている子が多い状態。とにかく発表されるまで待っていてほしいです」と,メンバーの中の犯人捜しが行われている状況を憂慮して,運営による調査を促す発言をしました。【3】

 アイドルが運営を批判するのは,会社で部下が上司を批判するようなものです(力関係でいえば,部下が上司を批判すれば,人事や昇給などで報復されるリスクがあるのと同様,アイドルが運営を批判すれば,運営から干されて報復される可能性があります)。したがって,このような運営批判をテレビやインターネットで世間に公表するには,かなりの勇気が必要だったのではないでしょうか?

(4)NGT山口さんについて

 須田さんは,ツイッターで,「もちろん被害者側のメンバーは一生分の恐怖を背負ったと思う。でもそれについて本人以外の人がどれだけ親身になったつもりでも寄り添ってあげきれないことだから、それがまた悔しく申し訳ないです。」, 「どのメンバーも初めは平等に夢を持って目指したアイドルという場所が、一生分の傷を負って去る場所になってほしくないです。 アイドルはファンと夢を見られる素晴らしい職業だって私は分かっているから。そうあり続けて欲しい。」 とツイートしました【2】

 さらに,ドデスカ!では,前記の通り,「誰がどう見ても被害者が言うのはおかしいというのは私も同感」と,不適切な運営の対応により傷ついたであろう山口さんの心情を心配する発言をしています。【3】

 ここに記載したのは,須田さん個人の意見ですから,この意見に対して異論をお持ちの方は,当然,いらっしゃるでしょう。
 けれども,須田さんは,アイドル人生でスキャンダルを起こしたことが一度もなく,常にファンを喜ばせようと努力し続けてきたアイドルです。そのような立場から,須田さんは,「アイドルには品格が必要だ」と主張して,関与が判明しているメンバーと失態を繰り返したNGT運営を批判し,被害者である山口さんの心情に寄り添おうとしたのです。

「◆M30 A no way idol」に続く

<ソースノート>
【1】TBS系列・1月13日放送(VTR出演)
【1a】新潟県の地方紙・新潟日報が「(NGT運営が)山口さんの向かいの部屋を加害者が借りていたことを明らかにし,防犯体制の甘さを認めた」事実を報道したのは,須田さんのコメントよりも一週間以上後の1月23日でした。
【2】1月13日投稿
【2a】このツイートは,「加害者に配慮しすぎ」と批判されました。
しかし,須田さんは「表だった」処分が適切ではないと言っているだけで,何も処分しなくていいとは言っていません。
加えて,不祥事でアイドルグループを除名になれば家族や親戚、知人、さらに,学生であれば学校の教師や同級生、先輩、後輩に知られます。アイドルとして失格でも,一人の女性としての人生全てを奪ってよいものなのでしょうか。
ちなみに,他のアイドルグループで,ファンと個人的な関わりを持ったメンバーを処分するにあたり,
「該当メンバー名は今後の人生に大きく影響するものと考え発表しないことについてはご理解賜りますようお願い申し上げます。
弊社運営スタッフには西金沢少女団を運営する以前にアイドルグループの運営に携わった者がおります。
そのグループを除名になったメンバーの多くがその後学校を辞めたりしたのを見てきました。」
という理由でメンバーの除名処分と氏名の公表を見送った例があります。
→「大変残念なご報告」https://ameblo.jp/nk-pjt/entry-12437148586.html

このように,須田さんの意見は,甘いものかも知れませんが,少なくとも,それなりに考え抜かれたものであるように思います。
【3】メ~テレ・1月17日放送
【3b】須田さんの2016年3月17日のツイートより。
https://twitter.com/dasuwaikaa/status/710427624468688896
須田さんのこのような姿勢は,「SKE48須田亜香里が「ノースキャンダル」を貫く理由 」(東スポweb・2019年02月11日 )でも報道されています。
https://www.tokyo-sports.co.jp/blogwrighter-note/2965/
【4】TBS系列・1月27日放送(生出演)。
なお,この番組では,爆笑問題・太田さんから「指原さんはどうなのか」と質問されたのに対し,須田さんは,「もう終わったことなので・・」と答えるにとどまりました。指原さんは,この放送の時点でアイドルからの卒業が確定していたので,指原さんの件は,まさに「終わったこと」であり,須田さんの回答は当然の発言です。加えて,指原さんは,スキャンダルの結果,AKBから,当時結成されたばかりで知名度の低かったHKTへの「移籍」を命じられるという処分を受けていることは忘れてはならないでしょう。

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