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犬の嗅覚は1000倍だって・・・冗談でしょ

たまには、真面目な本職の話を

お題に入る前に、まず皆さんの誤解のもとから、ほぐします。

獣医師は、農学部獣医学科若しくは獣医学部で動物の病態と公衆衛生について勉強と研究をして、農水省の試験を受けて免許を得ます。公衆衛生と薬事については厚労省、その他は農水省管轄です。

医師は人と一部動物の病態について勉強と研究をして、厚労省の管轄です。

人を含む動物の生態について勉強と研究をするのは、文科省管轄の理学部生物学科です。

お互い重なる処を持ちながら、それぞれの分野を持っています。

ところが、素人さんだけじゃなく、それらの中に居る人間が、大いなる勘違いをして、他の分野に口出ししてしまう事が侭、あります。

これが今回のお題。

獣医さんでも、「犬の嗅覚は1000倍あるから、消臭剤だの消毒剤は無臭にしなさい」と指導するし実践している人が居ます。

アホです。動物の生態について勉強したわけじゃ無い、ただの門前の小僧の耳学問で知ったかぶりをしています。自分に置き換えればすぐにわかる勘違いをしています。

まず、前提として、この世の中は、多種多様な匂いに満ちあふれています。

違う地域、他人の家に入ると、なんか変な臭いを感じませんか?それは、そこだけがくさいんじゃ無いです、自分の中で、自分の口臭、体臭や自分の家の臭いが鼻に常に入っている事に対し、無意識にそれを無臭と条件付けているんです。だから、普段と違う匂いを、様々な匂いの中から感じ取るんです。自分の口臭を24時間感じていたら、頭がおかしくなってしまいます。無臭と書かれた消臭剤にも香料は入っています。アルコールだけでもアルコール臭がするでしょう?でも不快に感じないのは、無臭と思い込む香料のおかげです。

そして本題。あなたの家のワンちゃんは、24時間鼻を動かして貴方や家の匂いを感じていますか?顔をしかめて悲鳴をあげていますか?

犬も人と同様に、飼い主や飼い主が良い匂いと感じるものは、無臭若しくは良い匂いとして自分に無意識の条件付けをしています。だから一緒に生活できるんです。

1000倍の嗅覚は、それを求められた時に発揮する能力であって、普段から1000倍感じている訳じゃ無い筈。ただし、ここまでいくと動物の生態すなわち理学部の領域に入ります、研究も実験も獣医科ではしてません

そう思えば、お題の言葉をしたり顔で獣医師が使うのは間違いだとおわかりでしょう。

嗅覚については、獣医師は専門外でよくわかりませんが、生活に必要な情報の取捨選択をしていると思います。これが正しい答えです。

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