自分の中にある答えを探そう
高校を卒業した春休み、小さな頃からお世話になっていたクリニックの先生がわたしに聞いた。
ひろみちゃんは学校を卒業したらどうするの?
私は大学に進学することが決まっていて、一年目は寮に入る事を伝えた。
先生は続けた。
大学卒業後どうするの?
うん、大学に行くよね。
そのあと。大学卒業したあとどうするの?
これまで、大学では何をやるの?と聞かれることはあっても、大学を卒業したあとにどうするのかを聞かれたことはなかった。だけど、私の答は決まっていた。
また、家に帰ってきますよ。
ここ(両親が経営する飲食店)で働くと思います。
それは、どうして??
どうしてって、、、
お姉ちゃんもそうだったし、、、
店には人が必要だし、、、
私は言葉につまりながら答えた。
先生は優しく、でもきっぱりと言った。
自分の人生を生きろ
いいかい、ひろみちゃん。
店で働いて欲しい、というのは、お父さんやお母さんが口には出さなくても、心の望みなのかもしれないね。
でも、それはあなたの希望とは違うんじゃないの。
ご両親の期待と、自分をごちゃごちゃにしちゃいけないよ。それはご両親の期待であって、あなたの人生とは関係ないことだよ。
ちゃんと考えて。
あなたは、何をやりたいのか。
自分で考えること。
それをする4年間だよ。
そういって、先生は店から帰っていった。(先生は店のお客さんでもあった)
新しい人生の幕開け
大学卒業後、私は栃木には帰らなかった。
多分、先生としたこの会話がきっかけとなり、新しい人生の幕があがった。
それまで当たり前だと思っていた、親と同じように働くこと。
だけど、自分の視野を広げて過ごしてみたら、世界はスッゴク広かった。
親の店は、自分もやらなければいけないというポジションから、本当に困ったら栃木に帰って働けばいい。という、私の心を支えるものになった。
そして今、実家を出た18歳の年齢と同じ数以上に、栃木を離れた生活をしている。これまで親から「店で働きなよ」と言われたことは一度もないし、私も「店で働かせてください」という窮地に陥ったことは、とりあえずない。ありがたい。
自分の人生を生きる
先生は、私が20の時に急逝した。今でも心から感謝しているし、節目の度に思い出す。いろんなことを教えてくれ、そして新しい扉をあけてくれたこと。
誰かの期待にこたえようとするのではなく、自分の人生を生きるために、目を見開こう。世界はこんなにも可能性に秘めている。できることは、まだまだたくさんある。
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