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2021年秋M3に参加した話

Sugar Clovers 1stアルバム「Brand new day」特設ページ


すくろーすです。noteへの投稿は初めてになります。
もう1か月以上前の話になってしまうのですが、2021年の秋M3にオリジナル作品で初参加したことについて書いていこうと思います。

構想・サークル立ち上げ・参加申し込みまで
私はかなり長いこと音楽・DTMをやってきたのですが、そのほとんどが二次創作等で占められており、自分のオリジナル作品として胸を張って出せるものが無いということが悩みでした。昨年の秋M3で初めて会場を訪れ、かつコンピレーションアルバムに1曲オリジナルで参加させていただいたことをきっかけに、今年はM3に自分の作品を出すぞと決意し、個人的な目標にしていました。

アルバムの構想もその時から考えていて、「歌もの中心」「自分の音楽性の幅を出し切る」「ごった煮」というコンセプトを決めていました。曲を作る時もジャンルや方向性で被りが無いようにと考えていました。

M3の申し込みにあたってサークル名を考える必要があり、ものすごく悩んだ結果「Sugar Clovers」に決定。サークルロゴとM3カタログに載せるサークルカットはめかおんさんに制作して頂きました!素敵なサークルロゴ、今後もずっと使わせていただきます!

楽曲制作
スペースも無事当選し、いよいよ楽曲制作です。曲を作ると言っても一人ではできません。歌物を作るには当然ボーカリストさんの協力が必要ですし、私の場合は作詞が出来ないということも壁になっていました。
そこで、以前からお世話になっていた作詞家VTuberのMegRiさん(星乃めぐりさん)に依頼をすることにしました。私自身がサークル初参加で実績もない状態だったので、若干の後ろめたさや申し訳なさを感じながらのお願いだったのですが、快く引き受けて下さりました!しかも4曲も!!MegRiさんのご協力が最初になければ、アルバム制作が早い段階で頓挫してしまう可能性もあったと思うので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです!!
ボーカリストさんも皆さん快く引き受けて下さり、Somelさんはボーカルのみならず作詞も追加で引き受けて下ったりと、本当に沢山の方々の協力のお陰で作品を完成できたと思っています。この度は本当にありがとうございました…!

ここからは各曲ごとの簡単な解説や、制作時の面白エピソードを書いていきます。

1 felt
2曲目がボーカル始まりなので、アルバム頭に何か導入が必要と思い作った曲。導入という位置づけですが、曲単体としても聴けるように、派手すぎない範囲で展開作ることを意識していました。
カホンは生録で、ドラマーのつゆぽんさんからの頂き物です。めちゃくちゃ良い音が鳴ります。つゆぽんさんが家に遊びに来た時には椅子代わりになってます。

2 Brand new day
アルバムの表題曲で、一番最初に制作を始めたのもこの曲でした。自分にとって最初の作品で、その最初の曲は明るい曲が良いなと考えながら作曲。作詞家のMegRiさんに作詞を依頼する前から「Brand new day」というフレーズが浮かんでいて、それが曲のタイトルかつアルバムタイトルになるという体で作詞をして頂きました。明るさの中にもお洒落感のある歌詞が本当にイメージ通りで…!本当に素晴らしいです!
ボーカルは前々からお世話になっていたOrcaさんにお願いしました。曲を渡してからわずか数日で完璧なテイクが来ました。早すぎる。伸びやかな歌声が曲にマッチしていて最高です!
アコーディオンも自分にない歌心が欲しいと思って以前からお世話になっていたNO.1Pにお願いしました。曲を渡してからわずか数日で完璧なテイクが来ました。だから早えよ。ありがとうございます。

「Brand new dayする」(意味:いつの間にか朝日が昇っていること)という謎語彙を生み出したNO.1Pまじで許さん。徹夜した時は積極的に使っていこうと思います。

3 よくばりFairytale
歯が溶けそうなレベルの甘さや可愛さ+本格的なジャズサウンド みたいな曲をずっと作りたいと思っていて、その頭でピアノ触ってたらBメロが最初に降りてきました。そこを起点にワンコーラス書く頃には、この曲のボーカルはまるもこさんに頼みたいと考えていて、まるもこさん前提で曲を書いてました。頂いたボーカルは本当にイメージ通りで、かつ目まぐるしく変わる曲調にも関わらず表現を沢山入れて下さって、まるもこさんに頼んで本当に良かったなと思いました!
作詞はMegRiさんにお願いしました。歌詞の内容はもちろん、歌詞を歌った時の音の響きとしても可愛く聞こえるような言葉選びがされていて、本当にすごいと思いました。語尾の「の」が可愛い。
Bメロとかメロディ自体が風変りで、作詞もリズム面を委ねるような頼み方をしてしまったのですが、それにも関わらず完璧にメロにはまった言葉を出してくださって、本当に感謝です…!
管楽器はバリトンサックス除いて全部生録で、お盆に実家に帰省した時に丸4日かけて収録しました。帰省中部屋に閉じこもりっぱなしで、「今トランペットの高音調子良いから!!!もう少し待って!!!」って夕食遅らせたり、挙句の果てには実家の食器棚からお椀を拝借してトランペットのミュート代わりに使ったり、両親からは呆れた目で見られていた気がします。本当すまん。

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管録音する時に使った譜面の一部です

ドラムはつゆぽんさんにお願いしました。曲頭の時代感のあるフィルとか、Aメロのバディリッチっぽい感じとか、本当ニヤニヤしてしまうポイントが沢山です!この曲で鳴ってるスプラッシュシンバルは神保彰とウィルリーのサイン入りらしいです。そんなものを演奏に使ってよいのか。額に入れて飾っとくやつじゃないのかそれ。

4 Rapid Traverse
今年の頭ごろに、私とSomelさん、つゆぽんさんの3人で星乃めぐりさんオリジナル曲「シルエットガール」の演奏動画を作ったことがありまして、それをきっかけにM3でもこのメンバーで何か作りたいねって話していて出来た曲です。
前後の曲のラフが固まった後に動き始めて、それを踏まえ何となくクールな路線で行きたいということが話し合いで決定。Somelさんにラフをいくつか出して頂いたうちの1曲を作りこんでいって完成した曲です。クレジット上は私とSomelさんの共作編曲という形ですが、実際には作曲は9割Somelさん(Cメロだけ私がちょっと書いたりした)編曲は主に私が担当したという形です。随所に入っているコントラバスなんかはSomelさんのデモから着想得た音だったりします!
ドラムはもちろんつゆぽんさんです。スネアが打ち込みっぽい音ですが、全部生音でサンプル重ねたりもしていません。スネアの上にドラムヘッド裏返して乗せたり、鎖乗せたりヤバいことやってました。天才すぎる。

作詞・ボーカルもSomelさんです。A・Bメロの無機質感と、サビの感情的な表現の対比がものすごく良いです。透明感のある歌声も曲のサウンドにすごくマッチしていて、制作中何度もガッツポーズしてました。
この曲は制作初期段階から「早送り」というワードがテーマになっていて、曲が完成した後でも制作陣の間では「早送り」という呼称で呼ばれています。

5 午後2時、カーテンの向こう側
メッセージ性先行で書いた曲。歌詞が乗る前から景色やメッセージが明確に見えていたので、MegRiさんにお渡しした作詞のオーダーシートがこの曲だけ細かく描写したのを覚えています。それを凄く良い感じに拾って頂き、かつ世界観を広げて下さって、日常のふとしたタイミングで歌詞が浮かんでくるくらい歌詞がお気に入りの曲になりました。MegRiさんから歌詞頂いて初見の時まじで涙止まらなかったです。
ボーカルは去年のM3でもお世話になった楠あかりさんにお願いしました。明るさと切なさのどちらにも振り切っていない微妙な感情の表現が本当に上手くて、曲の良さをすごく引き出して下さっています!本当にありがとうございます!
曲に関しては、リズム面でちょっと攻めたことをやってみようと試行錯誤してました。5連符、7連符、11連符あたりで構成されてます。管楽器も生録で、柔らかい音にするためにトランペットにはバケットミュートをつけたり、トロンボーンはベルにバスタオルを巻きつけて録ったりしてます。
あとは、メトロノームにマイクを立てて録ったり、エレキギターにシールドを挿さずに生音をマイクで録ったり、面白いことが出来たなと思ってます。

6 Scent of Wind
インスト曲。アルバムの中で自分のルーツに一番近い音楽だと思います。ワールドミュージック感を出しつつ、特定の国籍に寄せずに無国籍にすることを意識しました。
マリンバをフィーチャーしているのは、この曲を書く前日にマリンバのめっちゃ良い演奏を聴いたのがもろに影響しています。マリンバ使った曲書きてーー!!!みたいな。あとはスティーブライヒも意識してました。
ベース、ティンホイッスル、パンデイロ、タンボリン、カシシ、手拍子あたりが生録です。カシシはもともと一つ持っていたのに加えて、この曲のために同じメーカーのサイズ違いを浅草の打楽器専門店まで買いに行ったりしてます。

7 アンフォルメル
タイトル先行で書き始めた曲です。あとはこの曲書いてるあたりでギターを新調したので、それを活かした曲を書きたいなとも思ってました。シンセとか足す案もありましたが、結果的にギターベースドラムのみのシンプルな構成になりました。私の曲で鍵盤入っていないのは恐らくこれが初めてです。
ボーカルはあかつき姉さんにお願いしました!ネット上で聴ける限りでは、あかつきさんがここまで激しい表現をしている曲は無かったのですが、逆にこういう路線を歌ったらどうなるんだろう、絶対はまると思うんだよな…って感じでお願いしたら、もうバチバチに曲に合った表現をして下さって…!しびれる表現が随所にあるので必聴です…!
作詞のSomelさんは文学的な印象の歌詞を書く方なんですが、それがアンフォルメルという硬めのテーマにすごくはまっています。2Aとか言葉選びから韻の踏み方まで完璧すぎる。
ドラムはつゆぽんさんです!つゆぽんさんは今回3曲ドラムを担当して下さってるのですが、全部方向性が違うにも関わらず音作りから向き合ってくださるので本当神です。BFDで打ち込んだデモを渡したら、そこからスネアの機種特定されて、しかもそのスネアを実機購入してレコーディングするという…もう何というか怖いです。マジで足向けて寝れません。

ギターソロで1音半チョーキングやってたら爪剥がれました。痛いのでもうやりたくないです。

8 orion
バラードが1曲は欲しいなと思って、表題曲の次くらいに書き始めた曲です。ピアノを触っていたらイントロのフレーズが降りて来て、それをモチーフにして切ない方向に書き進めることに。デモ製作段階で付けていた仮タイトルはWinterでした。弦の対旋律をゴリゴリ書いていくのが楽しかった曲です。
作詞はMegRiさんです。あまり具体的にはせず抽象的にしたいというオーダーを出していて、にも関わらず本当に胸が苦しくなるくらい切ない歌詞を作って頂きました…!タイトルを全部小文字にするというのもMegRiさんの提案で、結果的に収録曲のタイトルが日本語と英語、大文字小文字入り混じった状態になり、当初のコンセプトの「ごった煮」を体現していて良いなと感じています。
ボーカルはSomelさんです。この曲は音域がかなり広くて歌うのに技術が要るのですが、これを歌いこなせそうな方で真っ先に思い当たったのがSomelさんでした。どの音域でも魅力的に歌い上げて下さり、地声とファルセットの使い分け方も本当に素敵です。
アレンジ面では、一番最後の和音が気に入っています。ハーフディミニッシュという不安定な和音で、曲の最後にはあまり使われない音なのですが、インスピレーションに任せて音置いてたらこうなってました。

9 プロローグ
私は作詞にはあまり手を出すつもりは無くて、基本的には作詞家さんにお願いしようと思っています。ただ自分にとって最初の作品を作るにあたって、決意表明でもないんですけど1曲こういうテーマの曲をどうしても書きたくて、この曲だけは自分で作詞をすることにしました。
ぼんやりと内容を考えながらコンビニに昼食を買いに行って、その帰り道に横断歩道で信号待ちをしているタイミングで突然ラスサビの歌詞が1フレーズ降ってきて、その場で「プロローグ」というタイトルが決まり、そこからは1週間くらいで歌詞を書き上げたと思います。
曲のテーマが決まった段階で、ボーカリストは夢芽さん以外考えられない状態でした。万が一夢芽さんに断られたらこの曲自体無かったことにしようと思っていた程です。夢芽さんは特に曲のメッセージの深い所まで向き合った上で表現をして下さる方なので、私から表現についての要望は一切せずにお任せする形を取りました。そうして頂いたボーカルを初めて聴いた時、自分の想像し得る範囲を超えた表現をして下さっていたので、鳥肌が止まらなかったのを覚えています。
3つ割りのリズムを活かすというアイデアこそありましたが、この曲に関しては自分の欲求に忠実に、横糸を一本ずつ編んでいくような形で作ってました。特にBメロは理屈を考えながら作るとまず出てこないような音使いになって、凄く気に入っています。

アートワーク
CDという形で作品にするとなると、曲だけでなくイラストも必要になります。そこで、繊細なタッチや色使いが好きで以前からファンだったえまさんにDMを送って依頼したところ、快く引き受けて下さりました!
イラストをお願いする段階で表題曲のBrand new dayが本歌まで出揃い、ほぼ完成形が見えていたため、その音源を参考資料として送りイラストを描いて頂きました。いくつかラフで構図を出していただいたうちの一つを元に進めて頂き、アルバムの顔となるイラストが完成しました!

タイトル有resize

光の表現とか本当に素晴らしくて、アルバムの雰囲気とも合っていて、とても良いです!
ブックレット裏側にはこの部屋の反対側の構図が描かれていて、ピアノが置いてあったりします。この部屋に住んだらすごく良い曲が書けそう。この部屋に住みたい。
CD製作が初めてでジャケット裏側やバックインレイの事が頭から抜け落ちていて、後から追加で依頼することになってしまいご迷惑をお掛けしたのですが、それにもかかわらず最高のイラストを本当にありがとうございました…!

ブックレットの内側などは私が自分で作っています。慣れないIllustratorに悪戦苦闘しながら作ってました…

当日

初参加で右も左も分からない状態で、前日に慌ててホテル近くのコンビニでポスターを印刷するなどしてましたが、無事に設営完了。机に敷く布のことも直前まで頭から抜けていて、普段ピアノのほこりカバーとして使っている布を急遽カバンに詰めて持っていき代用しました。
行きの荷物量が飛行機に乗れる限界ギリギリだったので、M3で自分が買ったCDの枚数分くらいは売れて帰りの荷物の総量が増えなければ良いなーくらいに最初は考えていました。しかしいざ会場すると予想していた何倍もの方々に手に取って頂き、午前中で全て完売となってしまいました。そこからは嬉しさと、来てくださった方にCDをお渡し出来ない申し訳なさとで感情がぐちゃぐちゃになってしまい…

ぐちゃぐちゃの感情のまま打ち上げで肉を喰らいました。マジで美味かった。情緒不安定になって、リアルではその日初対面のSomelさんの前で号泣するなどの奇行をしました。反省してます。
同じCDをM3ウェブ会場のオンライン販売にも出していたのですが、そちらも当日中に完売…!本当にありがとうございました…!!

総括
まず今回アルバムを完成出来たのは、力を貸していただいた皆さんのお陰です。本当にありがとうございました。
そして当日作品を受け取って頂いた皆さん、聴いて下さった皆さん、本当にありがとうございます。
私がこのアルバムを作ったことで、新たな人と人のつながりを作ることが出来たり、誰かが何かをするきっかけを作ることが出来たり、私の目に見える範囲だけでもそういうことが沢山起こっているのが本当に嬉しいです。音楽を続けて来て良かったという気持ちでいっぱいです。
M3には可能な限り継続的に参加したいなと思っています!次また作品を発表する機会があったら、その時は是非よろしくお願いいたします!

今回のアルバム「Brand new day」は、BoothにてCD版ダウンロード版ともに購入可能です!今回このnoteを見て興味を持ったという方がもしいましたら、こちらもよろしくお願いします!

・Booth販売ページ CD版 ダウンロード版


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