今年良かったジャズアルバム振り返り

この記事はなまおじさん(@namaozi)主催の「楽曲オタク Advent Calendar 2021」16日目の記事です。

なまおじさんのアドベントカレンダーのツイートを見かけまして、誰でも参加OKとのことだったので私も参加してみることにしました!
普段私が聴いているのはジャズが中心で、フュージョンというよりはコンテンポラリージャズと呼ばれる分野を好んで聴いています。その中でも今年特に印象に残って、何度も繰り返し聴いたなーというアルバムを紹介していきたいと思います!

Live At Royal Albert Hall / Snarky Puppy

もはや知らない人はいないであろう、大所帯バンドSnarky Puppyから、昨年のロンドン公演のライブ盤がリリースされました。
最近の曲だけじゃなくてかなり初期の曲(Intelligent DesignとかAlmaとか)も取り上げているのが嬉しいです。Snarky Puppyはスタジオレコーディングも出してますが、やはりライブ盤の方がドライブ感がマシマシで好きです。ライブ盤の方が熱くなるのはよくあることなんですけど、この大所帯でフュージョン的にならずにジャズ的な熱さを出せるって冷静に考えると凄まじいです。
5曲目のBobby Sparksのオルガンがマジで素晴らしくて何度も聴いてます。ゴスペルライクな節回しも良いし、何より展開が完璧すぎる。

Tree Falls / Taylor Eigsti

ピアニストTaylor Eigstiの、個人名義では10年ぶりくらいの新譜。最近だとKendrick Scottの作品とかで聴く機会が多かったが、久々の新譜は蓋を開けてみるとオーケストラを取り入れたり、ボーカル曲もあり、ソロピアノもありと良い意味でごった煮という感じ。ファンタジックな雰囲気も相まってか、1曲目や5曲目なんかはラージアンサンブルの領域に片足を突っ込んでいるように感じます。ピアニストという枠にとらわれない音楽性の広さを感じました。
2曲目のスタンダード曲が印象に残りました。ボーカルのCasey Abramsはジャズボーカリストというよりはポップスの人みたいだけど、全然それを感じさせない。このアルバムが持っている世界観やサウンド感にすごくマッチしている気がしました。こういうシンプルなの弾いてるTaylor Eigstiも、逆にフレーズ一つひとつの美しさがダイレクトに感じられて好きです。

What Comes Next / Peter Bernstein

ニューヨークのギタリストPeter Bernsteinの新譜(正確にはリリース去年ですが、私は今年になってから聴いたので取り上げます)
Peter Bernsteinはどちらかというとストレートアヘッド寄りの堅実な印象があって、このアルバムでもそのスタイルはかなり踏襲されているけれど、それに対してピアニストのSullivan Fortnerが起爆剤になるようなプレイを仕掛けて、今風のサウンドに引っ張っていく感じがして好きでした。Sullivan Fortnerの演奏で他に聴いたことがあるのはRoy Hargroveの作品くらいですが、すごく印象の良いピアノだったので色々深堀りしてみたいなと思いました。

Live / Ari Hoenig & Gael Horellou Quartet

フランスのサックス奏者Gael Horellouと、言わずと知れたドラマーAri Hoenigのライブ盤。とにかく激熱の一言に尽きる。
このアルバムを聴いたのは完全にAri Hoenig目当てで、インタープレイ的というか、ソリストとほとんど同じ土俵に立って一緒になって歌うみたいな、めちゃくちゃに気持ちいいドラミングです。Ari Hoenigに似ているドラマーだけは何故か思い当たらないってくらい個性的です。このアルバムはAri Hoenigの他の作品と比べてテクニカルな側面が凄く尖っているわけではないけど、逆に言うと身構えずに熱い演奏を堪能できる良いアルバムだと思います。私の場合はこういう演奏の方が、気が付いたら何度も再生している率は高いです。1曲目みたいなキメばっかりの曲で、ここまで歌心のあるドラミングをできるのがマジで凄まじいです。もちろん他のメンバーの演奏も素晴らしく、サックスも新しい中にハードバップへのリスペクトを強く感じる演奏で良いです。ストレートに熱いジャズを聴きたいなら本当におすすめのアルバムです。


Northwestern / Arne Torvik

ノルウェーのピアニストArne Torvikのトリオ作品。このアルバムを聴くまでは知らなったピアニストですが、個人的に2021年ベストのピアノトリオ作品です。
いわゆる北欧ジャズ的なサウンドですが、その中でもノルウェーのジャズは独特の雰囲気がある気がします。この作品も冷たさと温もりが同居した、不思議な感覚があります。歌心に溢れた丁寧な演をするピアニストで、ドラムやベースもその歌心を共有しながら、三位一体感のある演奏を聴かせてくれます。こういう空気感みたいなものを押し出した作品は沢山あるんですけど、単なるアンビエント的な作品に留まるのではなくてインタープレイでしっかりと魅せてくれるのが良くて、何度でも聴けます。
もともとノルウェー出身のミュージシャンを好きになる割合はかなり多かったのですが(Lage LundとかEspen Bergとか)、このトリオがきっかけでノルウェージャズが好きということを改めて認識し、2021年はノルウェーのジャズを深堀りする年になったと思います。

Wako / Live in Oslo (Live)

ノルウェーのジャズを色々と探していた時にこのバンドに出会い、虜になってしまいました。フリージャズが主体にある音楽性で、最初に聴いたのは2018年リリースのUrolige sinnだったのですが、とにかくインタープレイの質の高さというか、プレイヤー全員のアンテナの張り方、空気の緊張感が尋常じゃない。攻めたことをやりながらも、推進力が無くならずに展開していくのが心地いいです。ベーシストが緩急しっかりしていて凄く良いプレイをしているんだと思う。盛り上がった場面でもとっ散らからずに、ベーシストがサウンドを引き締めてくれる感じがします。今年リリースのLive in Osloではゲストミュージシャンも多数交えてまた違う音楽性が見られるというか、サウンドクリエーション的な部分での先進性も凄まじくて、今後ずっと追いたいバンドの一つになりました。

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