環境と、祭りのこと

【ポラリスの町】
地図上には存在しておらず、行き方の詳細は不明。「こぐまの尻尾を追いかけろ」という言葉が手がかりらしい。町の住人たちは多種族多様で、それぞれの文化を尊重しあいながら日々を営んでいる。
曰く「呼ばれたなら誰でも行ける」そう。

温暖期と寒冷期が周期的におとずれる気候。
二期の変わりめの頃には、何かと降りやすくなる。雨や雪はもとより、星や花も。

【幻燈祭】
一年が半分ほど過ぎた後の新月の日から一週間、ひらかれている祭り。
期間中、夜になると青白い光がふわふわと町中をただよう。これは「幻燈」と呼ばれ、狭間に亡くなった人々のまぼろしを見ることができるという。
どういう所以で幻燈が現れるのか明らかになっていないが、「まぼろしでもいいからもう一度あの人に」と、切なる思いでポラリスを探す者が後を絶たない理由である。ただし、町まで辿りつける者は決して多くはない。

住人たちが思い思いに屋台を出したり、楽奏や曲芸の旅一座(彼らは呼ばれているらしい)が訪れたりしてにぎやか。
とりわけ評判なのはコル・カロリ砂糖菓子店の金平灯である。砂糖菓子に似た小さな発光体で、この光が幻燈と混ざりあうと、溜め息が出るほど美しい。幻燈祭の時期の夜に散歩をするなら必須の域なので、期間中の菓子店は日中臨時休業で金平灯製作に追われることもしばしば。


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