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インスピレーションをもらう言葉
「inspire」という英単語が好きです。受身形で和訳するなら、閃きが湧いてくる、刺激を受ける、想像力を掻き立てられる、アイデアが浮かんでくる、動機づけられる、奮い立たされる、感情が呼び起こされる、元気にしてくれる、などでしょうか。他にも意訳は可能です。いずれにせよ、とても前向きな状態を連想させてくれます。わたしはこれを聞くとinspireされるという言葉がいくつかあります。そしてこれからも増えていくでしょう。随時、このnoteにそれらを追加していこうと思います。(言葉だけでなく人物・詩・絵画・歌・作品も含みます)
巨人の肩の上に立っていたから
これはわたしが尊敬するニュートンが用いたとされる言葉です。いま記事を書いていて気づいたのですが、なんとWikipediaに項目がありました。何か新しい道を開くことはかっこいいけれど、わたしにはとても難しいことに感じます。そういうとき、この言葉を思い出します。過去の偉人もそのまた過去の偉人の力を借りて、素晴らしい功績を残したのだと。また、謙虚でいて効率もいい。そんな一面も表現してくれています。
Because I could not stop for Death —
He kindly stopped for me —
わたしが死のために止まれないでいれば—
死が優しくもわたしのために止まってくれた—
このダークでロマンチックな一文から始まる詩はエミリー・ディキンソンの代表作です。Apple TV『Dickinson』の第一話のタイトルにもなっています。ディキンソンはそのドラマや岩波文庫の詩集に登場する作品全部を自分なりに和訳するほど相性が合います。ここに書ききれない印象的な詩がたくさんあります。
Take up the sword again, or take up me.
さあ剣を拾うか、それとも私を拾え
シェイクスピアの『リチャード三世』のAct 1, Scene 2から引用しました。リチャード三世の生涯が興味深いです。シェイクスピアはかなり悪役として書いていますが、それもまた面白い。この台詞はリチャードが王太子の未亡人であるアン・ネヴィルへ言います。見方によっては最低にゲスだけれど、わたしは物語が膨らみます。Scene 2の二人に会話の中には素敵な言葉がたくさんあります。リチャード渾身の一言を選びました。詳細についてはありがたいことに説明してくださっているかたがいます。
悪魔の誘惑:リチャード三世 (hix05.com)
口説きの達人、リチャード三世 (ameblo.jp)
There’s rosemary, that’s for remembrance. Pray you, love, remember.
これはローズマリー、忘れないように。お願い、愛しい人、忘れないで
シェイクスピア繋がりでもう一つ。こちらは『ハムレット』のAct 4, Scene 5からです。オフィーリアが恋人と実兄を間違えて渡すと解釈されるのですが、わたしは実兄に渡すことにも意味があると勝手に捉えています。わたしがシェイクスピアを好きな理由の一つは草花を巧妙に使用しているからです。『ハムレット』はとくにそう感じる部分が多いです。オフィーリアの死を王妃が報告する場面は文学の中で最も詩的に書かれたという称賛もあります。わたしはそれが題材の絵画が一番好きとしても過言ではありません。
Tread softly because you tread on my dreams.
そっと踏んでね、あなたはわたしの夢の上を歩くのだから
イェイツの美しい詩から最終行を抜粋します。初見はフリーマン・ダイソンの自伝である『宇宙をかき乱すべきか』でした。婚約者から送られた手紙に引用されていたそうです。ダイソンの自伝も学ぶことありました。イェイツのこの詩はとても心惹かれます。目を閉じたらきらきらした情景が浮かびます。それは豪華絢爛と異なる真摯で純粋な輝きに見えます。イェイツなら『柳の庭園で』も好きです(Down by the Salley Gardens - Wikipedia)。
わたしに触れると
ひとは恐怖の叫びをあげる
この冒頭から始まる詩には擬人化された火の魅惑的な言葉が綴られています。人間は火を扱えるようになったからこそ文明を発達させたみたいな考え方があると思います(初期のヒト属による火の利用 - Wikipedia)。たしかに人間は火の利用を発見できたけれど、人間が完全に制御することはできないのだと、災害などがあるたびに痛感します。人間は自然を支配をできないし、しようと思ってもならない。傲慢にあってはならない。自然の一部として存在したい。わたしはそう考えています。
「おとぎばなしかよ」って笑ってよ
わたしはMBTIでいうなら生粋の「N」です。良く言えば未来志向で悪く言えば夢見がちです。おとぎ話が大好きです。それを茶化して笑ってほしいと歌う曲をリピートしてしまい、聞くたびに胸がときめきます。
It won't make a bit of difference where I go or how much I change outwardly; at heart I shall always be your little Anne, who will love you and Matthew and dear Green Gables more and better every day of her life.
少しも変わらないのよ、わたしがどこへ行こうとどれだけ見た目が変わろうと。心の中ではいつまでもあなたの小さなアンなの、あなたとマシューとこのグリーンゲイブルズが人生の日々でもっとずっと大好きになっていくね。
『赤毛のアン』シリーズはわたしのバイブルです。平俗な言葉を使うなら、原点にして頂点です。小説の文体や構成に関しても、ロールモデルに関してもです。アンのような素直で素朴な女の子に魅力を感じます。欠点や失敗はしばしばありますが、完璧でない部分がむしろ等身大で、それを克服していく姿に感化されます。わたしはこの台詞にアンという人物の軸が込められていると思います。定期的に頭にふと浮かびます。
ペトリコール(英: Petrichor)は、雨が降った時に、地面から上がってくる匂いを指す言葉。ギリシャ語で「石のエッセンス」を意味する。
ペトリコールという一言だけで、五感がぐっと研ぎ澄まされて、無限に想像が膨らみます。雨の音、冷たさ、普段と違う空気、複雑な匂い、喉はあんまり渇かない。どちらかといえば不快な気分のなかで、どきり心臓が跳ねる出来事が起こったり。なぜか雨の日って特別。もしくは雨の日を特別に過ごせたらすごくドラマチック。Jo Maloneからロンドンの雨の匂いが発売されたのを思い出します(“ロンドンの一日の雨の移ろい”を表現した4種の限定コレクション - Web Magazine OPENERS)。
To each their own. Whatever makes you feel beautiful, I do support.
皆それぞれ。あなたに美しさを感じさせるものがなんであれ、わたしは尊重する。
未熟な頃から尋常でないほどの目に露出されてきた人はそれなりの誘惑や苦労があって、その話題に感情的になりやすいんだろうと考えながら動画を拝見しました。わたしがなるほどと記憶したのはこの日本語版の字幕だと「美の追求は自由」となっていた台詞です。最近は様々な美容技術がより身近になっています。何事もそうであるように長所と短所が存在します。でも選択するのは自由。ただし自由には責任が伴う。だから覚悟があって自分で選択したことならば、たしかに否定する必要はないと腑に落ちました。
とりあえずここまで。