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小さな矛盾

RICOH GR IIIx , 絞り優先AE f5.6 , 1/1250sec , -0.3EV , ISO100(オート)

日差しの強くなってきた初夏、大きなコンサートホール脇の長い階段を黙々と上っていく人を見かけたので遠くから1枚撮らせて頂きました。

ズームレンズを持っていたらもっと寄りたくなったかもしれないし、レンズ交換ができたなら28mmぐらいの広角で撮ってみたいと思ったかもしれないのですが、今使っているカメラはRICOH GRⅢx。40mmの単焦点なのでそのまま撮るしかありません。でも、一眼資産もレンズ資産も全て手放した現在は、それを楽しんでいます。

2年近く撮り続けていてようやく自分の目が40mmになってきたかなと感じています。

さて、この写真を見て、被写体になっている人の国籍がわかるでしょうか。モノクロームということもあって、「華奢な体格だな」「髪は長くないな」ということは分かるかもしれません。でも国籍はどうでしょうか。

なぜこんな問いを立ててみたかというと、最近ネットで「ヨーロッパに行くとアジア人差別が酷い。『ニイハオ』と声を掛けられる、蔑視だ、不愉快だ」という論調を複数見かけたのですね。

私も30年近く前、ヨーロッパで「ニイハオ」と挨拶されたことがあります。わたしは迂闊にも「私は中国人ではない」という応答をしてしまいました。「では韓国人か?」とも問われたので「いや違う。日本人だ」と答えました。

その時の自分のを考えると愉快な気持ちではなかったのですね。でも、それは自分の中のアジア人蔑視だったのではないかと反省しています。違う国籍と誤認されたから不愉快だったのではなく、中国人と間違えられたから嫌だったのではないか、韓国人と間違えられたからではなかったからではないか、と思っているからです。

別に自分の「国籍」を問われるような公的な場面ではなかったので、「中国では『ニイハオ』といいますね、私が住んでいる国では『こんにちは』っていいますよ」でよかったのではないかと。

だから、前述した「ニイハオ」と言われたのは差別だ、というのは、そもそも中国語話者(中国国籍かどうかはわからない)に対する蔑視感情が根底にあるのではないかと考えるのです。

もし、その人が北欧に行ったとして、フィンランド人に間違えられたら、ノルウェー人に間違えられたら、スウェーデン人に間違えられたら怒るでしょうか。もしかしたら、帰国後、自慢気に話をしたりするのではないかと。

そんなところに小さな矛盾を感じてしまいました。

テレビの報道番組の定点観測を趣味とする写真好き。酢豚にもピザにもパイナップルを許容します。

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