ガンディーに関するいくつかのメモ

ガンディーの極端な禁欲主義は、自らの性的衝動に負けた結果父親の死に目に会えなかったことが原因だという説があるそうだ。「真理の実現には、全き無私が必要です」とまで断言している。「自分の一挙一動を完全に真理の実現にささげつくしている人は、子をもうけたり、家庭生活をいとなむといった利己的な目的に充てる時間をもつことはできません」ブラフマチャリヤの戒律である。

ところが、ガンディーは結婚し、家庭まで設けている。近親者に極端な禁欲を強いて反発を買うこともあったとのことだ。既婚者の扱いについて、ガンディーは以下のように断っている。「夫婦が互いを兄や妹と考えることができれば、彼らはいっさいのしがらみから解放されて、人類に奉仕することができます」。
こうした確固たる観念の成立に必要な時間を思えば、家庭が出来ていたって何ら不思議ではない。家庭があるからブラフマチャリヤをあきらめるのではなく、なお立志してブラフマチャリヤを貫こうとする姿勢に彼の天才性がある。ガンディーは36歳の時、結婚生活を保ちながら一切の性的交渉を絶ったらしい。

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最近ブッダの真理の言葉を読んで、二十六章のバラモンに関するいくらかの章句を眺めながら、彼が目指していたのはバラモンのあるべき姿だったのだろうかと思ったが、調べてみると彼の出身カーストは第三階級のヴァイシャだった。「獄中からの手紙」解説によれば、ヒンドゥー教では出家遊行している人間はカーストの出自にかかわらず尊敬を集めるそうだ。

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