見出し画像

鹿の角で雑貨を作る①鹿角のしくみ

「鹿の角を拾ったけど飾っておくだけじゃもったいない気がする…」「家にある鹿角で、自分でも何か作れないかな」という話を聞くたびに「輪切りにしてボタンとか作れますよ!」とお話していたのですが、いや、ざっくりすぎるだろう…一回ちゃんとまとめてみよう。と思いました。
何回かに分けてボタンやビーズなど、簡単なものの作り方をまとめていきます。

私自身、独学で始めたので人によってやり方や使う道具も違うかと思いますが、何かご参考になればと思います。

この記事では切ったり削ったりする前に、鹿角の形や「内部どうなってんの?」ついてお話します。

ニホンジカの角と個体差

狩猟や仕事の拠点が本州なので、ニホンジカの話がメインになります。

画像1

ニホンジカはオスに角が生え、メスには角が生えません。雄鹿は1歳から角が生え出します。

角は毎年生え変わり、毎年新しい角が生えます。年齢を重ねるごとに大きな角が生えるようになり、枝分かれも増えていきます。

画像2

両方同時ではないと思いますが、ぽろっとおちます。


自然にぬけ落ちた角は「落ち角」と呼ばれ、角の根元がでこぼこしているのが特徴です。

画像3

こんな感じで1歳は角は生えるが枝分かれが無く(「一段角」と呼ばれます)、2歳は二又(二段角)にと増えていき、4歳を超えた四段角から枝分かれは増えなくなります。
枝分かれが増えなくなっても角自体は年々立派になっていくそうです。

枝分かれの数が同じでも、太さ・長さの比率・ねじれ具合や表面の模様などなど、けっこう個体差が出ます。

画像4

先端ちょっと切っちゃってますが、枝分かれが短く、細めな角。

画像5

これも切ってしまってますが、一段目が長く表面の色は少し赤みがあります。

表面の模様も凹凸がはっきりしていたり、模様はあるけどつるんとしていたりと様々です。
めったに無いですが、まっすぐ伸びずにねじれてしまっているものもあります。


画像6

角の内部

「角の内部は空洞?」とよく聞かれますが、硬いスポンジ状の芯が通っています。ヘチマスポンジみたいです。
スカスカに見えますが強度があり、薄くスライスしても崩れませんでした。

画像7

鹿角が成長する時に、この芯の部分を通って栄養が運ばれます。

●芯が細く中身のつまった角
●芯が太く中身がスカスカな角
●真っ白な角
●灰色のもやのような模様が入った角
個体によってそれぞれ中身にも個性があります。栄養状態にも左右されるのかなと思います。

今まで何十本と切ってきて「形が良く、表面の凹凸や模様がはっきりしている角は中身がつまっていて色も白く、彫刻に向いている」傾向があるなと感じます。
切ったときに中身がつまってるとニヤニヤしますね。

余談ですが、凹凸がしっかりしていて大きさもしっかりしている落ち角で、ときどき香木のようないい匂いがするものがあります。
ニヤニヤします。


ざっくり説明しましたが、雑貨作りがメインのテーマなので成分や他の種類の鹿との比較などなど、もっとつっこんだ専門的なことは置いておきます。この記事きっかけで興味を持って調べてみる方がでてきたら嬉しいです。

記載していることについて訂正箇所や追加の知識などありましたら、参考文献やURLなどを添えてメッセージをいただけたらとても助かります。
mail: suberihiyu014@gmail.com


次の記事は「角の輪切りボタンの作り方」です。とてもシンプル。
使用する道具や切り方のコツなどもご紹介します。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?