【創作小説】剣と盾の怪奇録「亀と作家」
旭が弥命の家に住み始めて、一週間ほど経った頃。
夢を見た。
家の前に、ガラス細工の小さな亀が置かれている。透き通る、緑色の甲羅が綺麗だ。旭が手に取ると、足の一本が折れていた。折れた足が、傍らに転がっている。
「可哀そうに」
折れた足を拾うと、急に場面が変わった。知らない建物。工房、アトリエ、そんなものだろうか。ガラス戸の向こうに、作業場のようなものが見える。棚には、様々な種類のガラス細工やアクセサリーが置いてあった。動物、花。皆、よく出来ている。旭が惹かれて少し見ていると、気