増補版 シャード法手工業において発生しうる労働災害について


※注意事項※

以下の成分が含まれます。ご注意ください。
時系列
メインクエスト パッチ6.5後
ネタバレ範囲
・技術について言及されているメイン・サブクエスト
・クラス・ジョブクエスト
・世界設定資料集1、2巻

俺設定
弊冒険者が暁の英雄本人か英雄知人のどっちかくらいの世界線

これについて
ファンフェスに持って行った(?!)物理本からあとがきない
↓の第2版みたいなやつです。事例かぶりあり、目次を活用ください
初版 シャード法手工業において発生しうる労働災害について
https://note.com/suama1207/n/nc1e39b31d58f

始めに

昨今のエオルゼアの職人並びに諸外国に赴き、活動をしている各種職人(クラフター・ギャザラー)ギルドで認可された、職人型の冒険者のほとんどがシャード法による活動用具の製作をしている。今回はそのシャード法での製作活動において、筆者が見聞きした労働災害の事例並びにその仕組みについて紹介したい。
今、未知に挑む同輩たち、未来の後輩冒険者諸君、そして急な増産や災害への対応として、冒険者ギルドにリーヴ発注をお考えの都市・町村在住の皆様方も参考としてお目通しいただきたい。 

シャード法概論

具体的な事故例と対策の前に改めてシャード法とは何か、というのを振り返りたい。
シャード法とは工業燃料・触媒使用に適したクリスタル片、シャードを用いて行う生産技法のことである。金属精錬における灰吹き法など、物質反応法と比べ加工する物体の特性や反応自体に直接作用するため、加工の均等性と時間効率が優れている。そのため、環境エーテル総量とエーテルが結晶化しやすく、シャードの産出量に恵まれたエオルゼア諸国の産業において一般的な手法となっている。(ただし、家庭単位では都市国家全体の技術普及レベルや文化によりまちまちではある)
しかし、利点は欠点ともいえる。というのも、エーテル操作を伴うため、対象物全体へ即時に加工影響が発生するため、物理反応法よりも加工中のやり直しや中段が難しい。特に危険な失敗をした場合に、同じ目標で物理反応法での加工をした場合よりも対応が難しく、大きな事故になりやすいのだ。
 
次項より筆者が各団体で聞き取り、掲載許可を得た事故や(大変恥ずかしながら)当事者として発生させてしまった労働災害と対策の事例を紹介する。

労働災害例 

1.調理中にスキレットが爆発し加工物の飛散を浴びる

発生団体 :エオルゼア同盟 連合輜重隊
事故起因物:防衛拠点内 糧食加工場の調理台及びスキレット
災害の種類:高・低温物との接触
被災人数 :けが 2名
発生要因
 もの:シャードのエーテル濃度
 人 :戦闘状態後の心的疲労
 管理:シャード検品およびスキレット点検の不足
 
発生状況
 解放戦争初期、エオルゼア同盟軍のバエサルの長城侵攻後の拠点展開直後に発生した。
発生時、長城に残存していた帝国軍の自動魔導兵器との交戦が拠点付近にあり、輜重隊も資材保護など対応に当たった。その後、定常任務である昼食準備の指令が下ったため担当者がシャード法による調理を開始した。
主食の調理において成形・加熱遷移中の調理品が爆発。使用していたスキレットが破損、内容物が飛散し、作業者と作業補助者の計2名がやけどを負った。
 
原因
a)作業者の心的疲労:シャード法は魔術と同じくエーテル操作を伴い、精神集中を必要とする。作業者が疲労であると制御誤りを発生させてしまう。
b)加工使用に不適なシャード:エーテル量が過剰なシャードはその分加工反応も過剰となってしまい、制御不能な反応を起こしてしまう。
 
c)シャード・スキレット点検の不足
使用されていたシャードとスキレットは輸送前および拠点到着直後に点検されていたが、使用前点検は行われていなかった。調査により、軍事行動に伴う攻撃・回復魔法の行使および敵兵器破壊によって拠点全域に星極性よりのエーテル活性がおこり、シャードの状態が変化していることが分かった。
 
対策
事故発生後、拠点においては次の対策が取られた。
a)部隊編成および対応手順変更:非常対応と定常対応の負荷対策のため、事故前よりも細かな班分けと対応隊列を設定された。
b) 絶霊素材による資材保護:エーテル変質を遮蔽する作用のある帆布にて資材の保護を実施した。
c)戦闘後の環境確認:エーテル確認器を輜重隊および救護隊に手配。使用物品の特性変化の確認を実施した。

2.木材製材、加工中に鋸が跳ね飛び、あたった

発生団体 :グリダニア 木工師ギルド
事故起因物:木工用のこぎり(シャード法対応)
災害の種類:エーテル反力起因の切れ、こすれ
被災人数 :けが 1名
 
発生要因
 もの:未知樹木の木材
 人 :情報収集の不足、状況共有の不足
 管理:物品名称表示がなかった
 
発生状況
俗に終末事変と呼ばれる時期に発生。エオルゼア各地に異形が発生している未曾有の状態の時期に、筆者が武器向けの木材をさる経路より取得。加工方法をギルドマスターに相談するため、原木をギルド共通の木材置き場に納めた。未知の木材が既知の木材であるローズウッド材に外観が酷似していたため、誤って他ギルド員が持ち出し加工を始めた。硬度およびエーテル反力※がローズウッド材よりはるかに高かったため、のこぎりが跳ね返され、手や腕を切るけがを負った。
※物理反応法で加工を行うと物体から反力が起こるが、シャード法では被加工物のエーテルの変調を始めるとエーテルの反力が発生する
 
原因
a)持ち込み状態の共有不足:ギルドマスターに相談と納入日は知らせていたが、ギルド員および認可冒険者へ周知が不足していた。
b)物品表示:木目や質感で材の見分けのつくいわゆるベテランの比率が増えたものの、新人や経験不足のギルド員も多く、だれにでもわかる状態で管理する必要があった
c)未知木材の特性に対する見立ての不足:外観酷似性からローズウッドの特性が近いものと筆者も予測していた。実際のところ生木を切り倒したてたものながら、伐採後、環境エーテルの影響で硬度が増進した古木系に近い性質があり、道具及び装備について高出力エーテルの操作ができる環境と技量が必要な素材であった。
 
対策
事故発生後、拠点においては次の対策が取られた。
a・b)表示札による木材名掲示
後が付きにくいとされる繊維紐で原木、製材を結び結束部へ取り付けられる材料名記名札にて管理する手順を設定した。
c)材木調査、性質の展開
木材の性質を早急に調査、「アイアンウッド」と命名し特性情報の展開を行った。

3.錬金術実施中にシャードの一括投入を行った際、錬金窯が破損した

発生団体 :ラザハン アルキミヤ製薬堂
事故起因物:旧式錬金窯
災害の種類:エーテル偏向中の加工物の接触
被災人数 :けが 1名
発生要因
 もの:なし
 人 :なし
 管理:錬金窯の確認方法の不足
 
発生状況
終末事変終息後に発生。製薬の工程でアイスシャードを大量に投入、内容物の冷却し、薬効成分の凝結を実施していた。投下後に一定時間を過ぎると薬効成分が抽出されるはずだったが、錬金窯に定常にはない振動が発生。作業者が反応を止めようとしたところ錬金窯本体と成分抽出管の接合部が破損。加工中の薬品に作業者の手に接触し、偏エーテルやけど※を負った。
※人体の一部のエーテル属性が偏り、やけどのような状態になること
 
原因
錬金窯の点検手法の不足:医療品の高需要が長らく続いたため、旧式の錬金窯も高稼働状態にあった。そのため、構造的に弱い部分に負荷が集中、疲労を起こしており破損したものとみられる。液漏れ確認、試運転などは日常的に実施されていた。構造的な点検は3カ月に1度の頻度で、巴術系の魔術での実施であった。そのため、高稼働期間を経て、残エーテルが多い状態では正確な検査の難易度がかなり高い状態であった。
 
対策
かつてガレマルドで操業されていた魔導製薬炉に対し実施されていた点検技法について、ガレアン・コミュニティと交渉。シャード法由来の土壌改質薬の提供と交換にて導入した。以降、魔法人形を用いて3カ月に1度、物理的確認の実施を対策とした。

4.製作物へ意図しない挙動の付与

発生団体:ウルダハ 彫金師ギルド
事故起因物:エレクトラム製のサークレット
災害の種類:圧迫破壊
被災人数 :なし(製品確認・展示用マネキン1体破損)
発生要因
 もの:設計仕様外の効果付与
 人 :心身休息不十分な状態での製造着手
 管理:職人の技量・資質に関する認識の不足
 
発生状況
『第七星暦宣言』直後の年末に発生。彫金師ギルド所属の職人が生産したサークレットを1ケ、ギルドマスターの検品用マネキンに設置したところ、突然サークレットが変形を開始、展示用マネキンの頭部を絞りちぎった。
 
原因
当時、翌年始に予定されていたナナモ女王陛下、年始謁見に備えた繁忙期を迎え、正装装飾であるサークレットの需要が急増していた。対応していた、強疲労下にあった職人が製造中に繁忙期に対しての強い怨恨を込めて地金とり(台座金属を大まかな形に加工する工程)に当たったため、害を与える魔術を呪具に込めた相当の状況が整ってしまい、完成品に装着者に危害を加える効果が付与されてしまった。
また、当該職人はもともと装飾品への繊細な効果付与を得意としており、ここまでの効果が発生したと思われる。
 
対策
a)繁忙期の契約職人数追加
シャードを伴った材料取り扱い工程で、予定外の効果を付与しないよう、心身共に充足した状態で職人が業務を行えるよう期間職人を追加し、負荷を減らした。
b)工程細分化と担当変更
付与練度が高い職人については装飾品類仕上げ、または武器製作依頼に割り振りを変更した。当該職人に関しては、特に呪術士ギルドより熱烈な※要望があり、呪術士ギルドの呪具と儀礼品注文の専属担当となった。
※もはやラブコールと称してもよい熱量だったらしい 

5.魔術触媒による爆発及び小火

発生団体:オールドシャーレアン・シャーレアン魔法大学
事故起因物:魔具念珠活用例のある宝石(複数)の粉体
災害の種類:爆発
被災人数 :けが 4名
発生要因
 もの:相反属性の宝石
 人 : 緊急時の防御術使用者の補助員確保忘れ
 管理: なし
 
発生状況
終末事変後に発生。発生団体機関において、加工法問わず発生する宝石の研磨後の宝石粉について、魔術起点利用が可能な宝石種の再利用研究がおこなわれていた。宝石粉を導エーテル性のある接着剤で凝固するため、両手呪具の念珠程度が作成できる量の宝石粉を用意し、成形を開始したところエーテル性爆発が発生、爆破余波により周囲の紙資料に引火、小火が発生した。
 
原因
事故後調査及び研究チームへの聞き取りによると、各地の魔法具・戦闘職業向け装飾具を取り扱う工房よりランダムにサンプルを取得していたため、多種多様な宝石粉が入り乱れている状態だった。相反する属性を帯びやすい宝石に関しては回数を重ね、分別していたが試料中に若干量残っていた。粉体であるために反応性が格段にあがり、通常加工や以前の試料大きさでは観察できなかった反応が発生した。
 
対策
宝石粉の分別について、粒径の違いと比重違いによる2種のふるい分けを行っていたが、さらに微弱な属性エーテルによる誘導判別技術を開発、再発防止対策として導入した。

参考事例

最後に、参考事例として魔法を使用した労働環境における特殊労働災害の例を紹介する。特殊器物を扱うことも多いシャード法手工業の現場でも類似構造の災害がある…かもしれない。
 
参考事例)使役魔法生物の制御喪失
発生団体:リムサ・ロミンサ メルヴァン税関公社
事故起因物:検査貨物中の古代アラグの遺物
災害の種類 業務停止
被災人数:ヒト0人 カーバンクル1体
発生要因
 もの:アラグ帝国時代につくられた器物
 人 :なし
 管理:なし
 
発生状況
公社敷地内にある巴術師ギルド調練場兼湾岸貨物の詳細検分エリアにおいて、巴術による荷物検査――検知指令を組み込んだ魔紋により活性化させたカーバンクルによる嗅ぎ分けを実施した際、突然カーバンクルが命令を放棄、その場で仰向けの姿勢になり、衆生目の生物が酔っぱらったかのような振る舞いを行い、術者の命令を無視し続けたため業務が停止した。
 
原因
検査対象の荷物はクガネからのもので、詳細不明の骨とう品について、バルデシオン委員会に調査を依頼した品だった。公社で現物確認をしたところアラグ帝国調の意匠の物品だった。委員会の了承を得、聖コイナク財団に応援を要請し調査。古の召喚士の使役獣をかく乱するもの…ではなく、カーバンクルを愛玩動物的に運用するための物品であることが発覚した。
 
対策
ここまで突出した変た…自己趣味的な物品も早々ないがごくまれにあるケースとして公社と関係各位に共有のみ実施した。

おわりに

製造という行為には危険も伴う。もちろん、物質反応法であっても同じことではあるが、シャード法は変化が早急であるがゆえに危険も大きいことを、改めて念頭に置いていただきたい。これらの事例が安全かつ便利な生活の一助となれば幸いである。
 
グリダニア冒険者ギルドならびに
エオルゼア都市国家職人ギルド所属
トシュシュ・トシュ

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