シャード法手工業において発生しうる労働災害について

前提など

時系列:パッチ6.4後
うちの子:暁の英雄本人か英雄知人のどっちかくらいの世界線
ネタバレ範囲:技術について言及されているメイン・サブおよびクラス・ジョブクエスト、並びに世界設定資料集1,2巻

本文

始めに
昨今のエオルゼアの職人並びにエオルゼアのみならず諸外国に赴き、活動をしている各種職人(クラフター・ギャザラー)ギルドで認可受けた、いわゆる職人型の冒険者のほとんどがシャード法による活動用具の製作をしている。今回はそのシャード法での製作活動において、主に個人製作中に発生した労働災害の事例並びにその仕組みについて紹介したい。
今、未知に挑む同輩たち、そして未来の後輩冒険者諸君の他、急な増産や災害への対応として、冒険者ギルドにリーヴ発注をお考えの都市・町村在住の皆様方も参考としてお目通しいただきたい。

シャード法概論
具体的な事故例と対策の前に、改めてシャード法とは何か、というのを振り返りたい。
シャード法とは工業燃料・触媒使用に適したクリスタル片、シャードを用いて行う生産技法のことである。金属精錬における灰吹き法など、物質反応法と比較すると、加工する物体の特性や反応自体に直接作用するため、加工の均等性と時間効率が特に優れている。そのため、環境エーテル総量と結晶化しやすい環境に恵まれたエオルゼア諸国では産業においては一般的な手法となっている。(ただし、家庭単位では都市国家全体の技術普及レベルや文化によりまちまちではある)
しかし、利点は欠点ともいえる。というのも、エーテル操作を伴うため、対象物全体そして即時に加工影響が発生するため、物理反応法よりも加工中のやり直し、また失敗見込みが出た際の取返しが難しい。特に危険な失敗をした場合に、同じ目標で物理反応法での加工をした場合よりも即時対応が難しく、大きな事故になりやすいのだ。
次項よりいよいよ筆者が起こしてしまった事故や各団体で聞き取り、掲載許可を得た事故例について紹介していく。

労働災害例
1.調理中にスキレットが爆発し加工物の飛散を浴びる
発生団体 :エオルゼア同盟 連合輜重隊
事故起因物:防衛拠点内 糧食加工場の調理台及びスキレット
災害の種類:高・低温物との接触
被災人数 :けが 2名
発生要因
 もの:シャードのエーテル濃度
 人 :戦闘状態後の心的疲労
 管理:シャード検品およびスキレット点検の不足
発生状況
 解放戦争初期、エオルゼア同盟軍のバエサルの長城侵攻後の拠点展開直後に発生したものである。
発生日、長城に残存していた帝国軍の自動魔導兵器との交戦が拠点付近にあり、輜重隊も資材保護など対応に当たった。その後、定常任務である昼食準備の指令が下ったため担当者がシャード法による調理を開始した。
主食の調理において成形・加熱遷移中の調理品が爆発。使用していたスキレットが破損、内容物が飛散し、作業者と作業補助者の計2名がやけどを負った。
原因
a)作業者の心的疲労:シャード法は魔術と比べ軽微ながら操エーテル作業を伴い、精神集中を必要とする。作業者が疲労であると制御誤りを発生させてしまう。
b)加工使用に不適なシャード:実施加工に対し、エーテル量が過剰なシャードはその分加工反応も過剰となってしまい、制御不能な反応を起こしてしまう。
c)シャード・スキレット点検の不足
使用されていたシャードおよびスキレットについて拠点運搬前および拠点到着直後点検されていたが、使用前点検は行われていなかった。調査したところ、軍事行動に伴う攻撃・回復魔法の行使および敵兵器破壊によって拠点全域に星極性よりのエーテル活性がおこり、シャードの状態が変化していることが分かった。
対策
事故発生後、拠点においては次の対策が取られた。
a対策)部隊編成および対応手順変更:非常対応と定常対応の負荷対策の為、事故発生前よりもさらに細かな班分けと対応隊列を設定された。
b・c対策)
戦闘後の環境確認:エーテル確認器を輜重隊および救護隊に手配。使用物品の特性変化の確認を実施した。
絶霊素材による資材保護:エーテル変質を遮蔽する作用のある帆布にて資材の保護を実施した。

2.木材製材、加工中に鋸が跳ね飛び、あたった
発生団体 :グリダニア 木工師ギルド
事故起因物:木工用のこぎり(シャード法対応)
災害の種類:エーテル反力起因の切れ、こすれ
被災人数 :けが 1名
発生要因
 もの:未知樹木の木材
 人 :情報収集の不足、状況共有の不足
 管理:物品名称表示がなかった
発生状況
俗称として終末事変と呼ばれる期間に発生した。エオルゼア各地に異形が発生している未曾有の状態の時期に、筆者が武器向けの木材をさる経路より取得。加工方法をギルドマスターに相談するため、原木をギルド共通の木材置き場に納めた。未知の木材が既知の木材であるローズウッド材に外観が酷似していたため、誤って他ギルド員が持ち出し、加工を始めた。硬度およびエーテル反力(※物理反応法で反力が起こるように、シャード法でも加工の為、被加工物のエーテルの変調を始めると反力が発生する※)がローズウッド材よりはるかに高かったため、のこぎりが跳ね返され、手や腕を切るけがを負った。
原因
a)持ち込み状態の共有不足:ギルドマスターに相談と納入日は知らせていたが、ギルド業務を請け負っているギルド員および冒険者の加入員への周知がし切れていなかった。
b)物品表示:木目や質感で材の見分けのつくいわゆるベテランの比率が増えたものの、新人や経験不足のギルド員も多く、だれにでもわかる状態で管理する必要があった
c)未知木材の特性に対する見立ての不足:外観酷似性からローズウッドの特性が近いものと筆者も予測していた。実際のところ生木を切り倒したてたものながら、伐採後、環境エーテルの影響で硬度が増進した古木系に近い性質があり、道具及び装備について高出力エーテルの操作ができる環境と技量が必要な素材であった。
対策
事故発生後、拠点においては次の対策が取られた。
a・b対策)表示札による木材名掲示
後が付きにくいとされる繊維紐で原木、製材を結び、くくり束の上からひっかけることができる材料名記名札を駆ける管理方法を設定した。
c対策)材木調査、性質の展開
予定を前倒して木材の性質を調査、「アイアンウッド」と命名し特性情報の展開を行った。

3.錬金術実施中にシャードの一括投入を行った際、錬金窯が破損した
発生団体 :ラザハン アルキミヤ製薬堂
事故起因物:旧式錬金窯
災害の種類:エーテル偏向中の加工物の接触
被災人数 :けが 1名
発生要因
 もの:なし
 人 :なし
 管理:錬金窯の確認方法の不足
発生状況
終末事変終息後に発生。製薬の工程でアイスシャードを大量に投入、内容物の冷却し、薬効成分の凝結を実施していた。投下後に一定時間を過ぎると薬効成分が抽出されるはずだったが、錬金窯に定常にはない振動が発生。作業者が反応を止めようとしたところ錬金窯本体と成分抽出管の接合部が破損。加工中の薬品に作業者の手に接触し、偏エーテルやけど(※人体の一部のエーテル属性が偏り、やけどのような状態になること)を負った。
原因
錬金窯の状態の、確認方法の不足:医療品の高需要が長らく続いたため、旧式の錬金窯も高稼働状態にあった。そのため、構造的に弱い部分に負荷が集中、疲労を起こしており破損したものとみられる。液漏れ確認、試運転などは日常的に実施されていた。構造的な点検は3カ月に1度の頻度で、巴術系の魔術での実施であった。そのため、高稼働期間を経て、残エーテルが多い状態では正確な検査の難易度がかなり高い状態であった。
対策
かつてガレマルドで操業されていた魔導製薬炉に対し実施されていた点検技法について、ガレアン・コミュニティと交渉。シャード法由来の土壌改質薬の提供と交換にて導入した。以降、物理的確認を魔法人形を用いて3カ月に1度実施とした。

おわりに
製造という行為には危険も伴う。もちろん、物質反応法であっても同じことではあるが、シャード法は変化が早急であるがゆえに危険も大きいことを、改めて念頭に置いていただきたい。これらの事例が安全かつ便利な生活の一助となれば幸いである。

グリダニア冒険者ギルドおよびエオルゼア都市国家職人ギルド所属
トシュシュ・トシュ

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