楠井まりか『ファンタジーらぶ』トラックメイクについて

今年デビューした大好きな秋田を勝手に推しに推すアイドル楠井まりかちゃんのファーストシングル『ファンタジーらぶ』の作曲させてもらいました。
このトラックメイクについて解説したいと思います。
CDが通販で買えます。



とりあえず、動画を見て聞いてみてください。

■イメージを考える

まりかちゃんをプローデュースと作詞をしているeid-oathのれとらちゃんからBPM130くらいでかわいい感じでという注文もあってキラキラテクノポップだなって決めて作りはじめました。

テクノポップっていうとPerfumeとかきゃりーぱみゅぱみゅとかのいわゆる中田ヤスタカサウンドのイメージが強いけどスタイリッシュでカッコいいのとも原宿系のかわいいっていうのもとちょっと違うなぁって感じで言い方がうまく表現できないけどもうちょっとノーマルで可愛い感じをイメージしました。
CNAのし~なちゃんでも少し話したけどオリジナル曲制作前にまりかちゃんとも何回か会ったことがあったのでこの人がステージで歌うときのことを想像してどういうのがいいだろうか悩んで作りました。

結局、音的には元気ロケッツとかのハウス系とperfumeとかのテクノポップの中間くらいで作り始めました。あとは当時、GELのコウさんとアニメ「とらドラ」の話をしてたので堀江由衣のバニラソルトとかも参考にしました。


自分は普段こういう曲を作っているわけないので作る前に何度か繰り返し聞いて音のイメージを固めていきました。特にバニラソルトはAメロとかをベースの打ち込み方とかを参考にしたので聞く人が聞けばこれを参考にしたんだなってわかるような作りになってるかと思います。

ここからはDTMとかやってる人向けな話になります。
実際の曲を形に行く手順は以下のような感じです。

使用しているDAWはACID Proシリーズです。

■リズムトラック

自分はよくリズムトラックから作ることが多いです。特にこういうジャンルでいくって決めてるときはリズムがそのジャンルを形成することが多いからです。
基本サンプル素材の切り貼りでループを作っていく形です。
クラブミュージック作ってる人はご存知のVengenceシリーズのサンプルから使用しています。

画像1

画像は基本のリズム1小節分です。
キックを並べて2拍目4拍目にはスネア、ハイハットはループサンプルを使用していてそれとはべつにクローズハットを16分でならしています。4つ打ちでは基本的なリズムですね。展開の変わり目のフィルインではパパーンていうキメのハンドクラップを入れてます。
タムとかのフィルインは落ちサビ強調するためにその前の所にだけでつかっています。

■ベースラインとコードとメロディー

ベースラインを作るのと同時にコードのルートも決まっていくのであとはスケールにあったコードも打ち込んでいきます。自分の場合は曲のイントロのフレーズかサビから作る事が多いです。そしてサビにつながるようにBメロ、Aメロと曲の流れとは逆に作っていく事が多いです。
サビとイントロがコードを同じにしがちです。この曲もイントロ&間奏とサビはコードが一緒なんですができるだけイメージが変わるようなフレーズとピアノなどはコードをサビではアルペジオでイントロと間奏では全音符に変えたりしてます。それだけでも印象が変わると思います。

コードとスケールの話は自分もうまく説明できないのでとりあえずその曲のキーでつかえる7つの音だけ(Cメジャーならドレミファソラシ)だけで作曲しとけば大丈夫みたいなルールだと思っておけばいいと思います。最初はメジャーとマイナーだけの3和音だけで作っていくことが多いです。(※ファンタジーらぶはイントロ&サビとAメロBメロで調が変わってるので実際はこれに当てはまらない)
自分の場合は既存の曲にコードが似がちですがそれを気にすると永遠に完成しないので作ってるときに後からあの曲と一緒だとかなったら一部のコードを1音たして7thやadd9または1音へらして変化つけたりしています。

このタイミングでボーカルメロディーも同時進行で考えていきます。同じ箇所をなんどもループ再生して鼻歌とかで歌って考えたのを打ち込んでいい感じのメロディーができるまでひたすら繰り返しです。

・音色
ベースはエレキベースとかではなくいわゆるシンセベースです。ゼロから音色つくってもいいのですがReFX Nexusっていうのにいい感じの音色があったのでそれにディストーションとフィルターのカットオフと調整してブリブリとしたベースラインを作りました。
シンセはオリジナルの音色を作るのも大切ですがプリセットを使いこなすのも大切だと思います。
コード系のトラックにはピアノとギターのほかにHardsync系のシンセリードも使ってます。自分はこういう曲を作るときにキックをトリガーにベースやコード系のトラックはサイドチェインコンプなどでいわゆるダッキング効果を使います。簡単に説明するとキックがなってるときに他の音は引っ込むというやつです。EDMを始め最近のクラブミュージックではよく使われている手法でこれにより独特なグルーヴが生まれます。

■シーケンスフレーズとイントロフレーズ

画像2

この曲では最初から最後まで画像にあるフレーズが永遠になり続けています。この音色がこの曲のキラキラしたイメージを印象つける重要なトラックです。

イントロフレーズはトランスとかで使われるようなスーパーソー系のシンセで考えていたのですがイメージが違うと思いちょっと懐かしいような感じの音が欲しくて最終的にはオルガン系の音色にエフェクトをかけた音にしました。

エフェクトプラグインの話になりますがSausage Fattenerというふざけた名前とソーセージに目と口がついたちょっと卑猥な形にも見えてふざけてるようだけど最強につかえるエフェクトプラグインを挿して音を太くしてます。気になった人はググってみてください。EDMトラックメーカーの人はめちゃくちゃ使ってると思います。

■効果音

FXですね。こちらもVengence等のサンプリングを利用してます。
フィルインや展開が変わった頭一発目に効果音があるだけで曲が豪華になります。自分の癖ですが展開のつなぎ目などで上昇系の効果音つかうときは4拍目をミュートにしてパーンって感じのクラップ音とかをよく入れたりしてます。

■その他、展開とか

動画でが聞けませんが2番の話。
2番はそのまま一番のコピペでもいいのですがやはり聞いてもうら場がライブがメインになることを考えるとできるだけ飽きさせないのと一番と同じノリノリな感じよりもここでじっくりまりかちゃんの歌を聞いて観てもらいたいと思ってコードやベースのリズムを全音符で鳴らして変化をつけました。リズムもキックと16部クローズハットだけにしてます。そしてBメロで前と同じノリがもどってくる仕組みです。
落ちサビもじっくり聞かせたくてベースとリズムを抜いていて、逆算してその前の間奏もベースを抜いています。
とにかく、ライブのときにまりかちゃんがどういう動きになってお客さんがどういう反応になるのかを想像して作りました。


■ボーカルレコーディング

レコーディングの前にれとらちゃんの作詞をもとにSynthesizer Vというボーカロイドみたいなもので仮歌をつくって詞と自分が作ったトラックがイメージと合うかチェックします。
そして、れとらちゃんが実際に簡単にスマホで録音で歌ってもらったものを参考にまりかちゃんのボーカルレコーディングを行いました。
ビギレコの曲は基本的に練習で使わせてもらっているCLUB GELの控室にカーテン等をつかって防音しマイクもリフレクションフィルターをつかって録っています。寒い時期に暖房とかも使えない状態で録らせてしまって苦労させてしまいました。

ボーカルを収録し終わってMIXしていたらサビを豪華にしたいと思い急遽ハモリを入れたくなりました。スケジュール的に収録するのも難しかったのですでに録ったボーカルをリズム単位で分割してACIDの機能で音程を変えてピッチ補正エフェクトなどで調整しました。

■まとめ

以上、そんな感じのながれでこの曲はできました。
自分がどうやってこういう曲を作ってるかの確認のための私用まとめになってしまいました。何を書きたくて何を伝えたかったのかよくわからない記事になりました(笑)。

サポートしてもらえるとCD等の制作費・交通費的にもモチベ的にも助かります。