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DAWどれがいいのか問題2024

こんにちわ、スです。
これから音楽制作とかやってみたいがDAWいっぱいありすぎてどれがいいのかイマイチわからん問題について、個人的な所感を書いておきたいと思います。
なにかの参考になればうれしいです。

これまで様々なDAWをコレクション(?)してきて、実際に使った上で思うのは、正直何を使ってもできることに大差ないってのが結論ではあります。
ただそれでは身も蓋もないので、今回はふたつの観点から選び方を考えてみます。

歌もの系か踊れる系か

まずはどういう音楽を作りたいかが道具の選定に最も影響が出るんじゃないかなと思っています。
それは曲の構成の考え方と音作りの考え方が根本的に違うから。

もちろん、明確に分けられるものではないのはその通りとして、歌詞を伝えたいのか、音を気持ちよく感じてほしいのか、っていう曲の根幹部分が違うのでそれらへのアプローチにやりやすいやりにくいなどの差が出ます。
繰り返しになりますが、片方を選んだらもう片方は作れないとかそういうものではありません。あくまでゴールまでの距離が近いのはどっち?というものです。

クルマに例えるなら、「日々の足として使いたい」というコンセプトで選ぶときに、スポーツカーやトラックはどれだけクルマとして性能が高くてもその性能は全く発揮されないどころか足かせにすらなります。

一方、クルマとしての性能は見劣りするけど軽自動車は小回りできて燃費も良くてコンセプト的にピッタリだったりします。

何でもできる全部入りが一見ベストに思えますが、用途が定まっているのならそれに向いているもののほうがベストな選択と言えます。

話を戻すと、歌ものは基本的に1曲の中でその物語が完結しますが、踊る系(IDMなど脳内で踊る系も含む)はとにかくループです。曲の展開と言われるものはどちらにもありますが根っこの部分が違うと僕は思ってます。

そして、歌ものは主役がズバリ歌です。その他のパートは歌を引き立たせるための材料です。この考え方はオーケストラや吹奏楽でもそうだと思います。主役の旋律があってそれをまわりが補う関係ですね。

一方、踊る系はビートがメインであって曲としての起承転結のようなストーリーよりは気持ちいい音を気持ちいいタイミングで延々鳴らしたい。

この、曲という単位での考え方の違いがDAWを選ぶ際のポイントになるんじゃないかと思っています。

歌ものを作りたい人におすすめのDAW

歌ものを作る上で大事な要素は録音とアレンジです。歌や楽器を録音し、起承転結の編曲を行うというのが主な作業になるかと思います。
その際、いにしえの機材であるMTR(マルチトラックレコーダー)のコンセプトを祖とするCUBASE、Logic Pro、Digital Performer、Studio Oneなどの王道DAWがおすすめになります。

これらは各パートが録音されたトラックを重ねて曲を構築するというスタンダードな制作スタイルをベースにしてます。
それぞれのDAWで機能的な差別化は当然あるんですが、このカテゴリで言えばそこまで圧倒的に優劣がつく要素はないんじゃないかなと個人的には思います。

では何を基準に選ぶかとなると、使っているパソコンのOSとユーザーの数(情報量)と価格ですね。

MacユーザーはなんだかんだでLogic Proがベストかなと思います。価格、情報量ともに申し分ないです。アップデートにかかる費用も今のところないので、買ったら追加料金なしで使い続けられます。(将来はどうなるかわかりませんが)

WindowsユーザーはやはりCubaseを選んでおけば安泰な気がします。僕的にはStudio Oneのほうが動作も軽いし使いやすいと思っていますが、未だに世の中の情報量はCubaseのほうが豊富な印象です。少し前までCubaseはSteinberg keyというUSBドングルが必要だったので、その頃であれば迷わずStudio Oneを推すところですが、ver12から廃止になったのでそうなるとやっぱCubase強しかなぁと。

迷う場合はデモ版で最終的な判断をしてみてください。

踊る系を作りたい人におすすめのDAW

こちらはAbleton Live、Bitwig Studio、FLstudio、Reasonがおすすめになります。

クラブ系で汎用性が高いのはAbleton Live、ドラムマシンのシーケンス(RolandのTR-Rec方式とか)を軸に組み上げたい場合はFLstudio、モジュラーシンセ的な考え方が好きであればBitwig Studio、Reasonです。
ここらへんは結構尖った機能をもつDAWが並びますので、作りたいジャンルによって選び方も変わってきます。

好きなアーティストがいて、その人が使ってるソフトがわかる場合はそれと同じものを選ぶっていうのも大いにアリです。
印象としては海外の人はやたらめったらにFLstudioユーザーが多い印象を受けます。

確かに白紙の状態から4つ打ちのビートを最も早く作れるのはFLstudioです。これはハードウェアのリズムマシンを使ったことある人ならなおさら考え方的にもとっつきやすいと思います。
これはFLstudioの最大の特徴でもあると思うんですけど、他のDAWと根本の制作思想が異なる部分でもあると思っていて、いわゆるDAWから移行すると面食らいます。

Bitwig StudioはAbleton Liveの開発者が独立して開発されただけあって、ベースはAbleton Liveの思想を持ちつつDAW全体をモジュラーシンセ化しちゃいました的な感じです。どういうことかというと、普通トラックにはシンセとかのプラグインを挿して、音の変化はそのシンセのパラメーターを動かしたり、インサートエフェクトで変化させたりして音作りをすると思うんですけど、Bitwig Studioはシンセのあらゆる要素(LFOとかエンベロープとかフィルターとか)をどこにでも挿してMIDIであろうがオーディオであろうがトラック全体をシンセサイズさせることができたり、そもそもそういう要素を組み合わせて内部でモジュラーシンセを組めたりします。
例えるならAbleton LiveにKiloheartsのPhase Plantの機能を統合させたようなイメージです。

Reasonも思想的にはそれに近いですが、もっとハードウェア的な操作感を求めてる感じですかね。Bitwig Studioは機能的にモジュラーシンセを統合し、Reasonはアウトボードを積み上げたラックの配線からガチで再現させ信号の流れを物理的に繋いでいくスタイルでこちらも我が道を行く独自スタイルです。

あ、そうそう、ひとつ大事な要素として忘れてはいけないのが、FLstudioとReasonはプラグインとしても機能します。どういうことかというと、単体のDAWソフトとして使えるのはもちろんとして、他のDAWのプラグインとして挿すことができます。
たとえばFLstudioはリズムマシンの思想をもったDAWと言いましたが、そのまんまリズムマシンプラグインとして使えます。Reasonもラックに機材をいろいろ組んだそのラック自体を音源プラグインとして他のDAWで使えるということです。

これは他のDAWとはひと味違った特徴で、それだけ尖った機能と思想があるということですね。

最後にAbleton Liveの特徴ですが、これはやっぱりクリップランチャーとループシーケンスに強いところじゃないでしょうか。クリップランチャーとは、クリップと呼ばれるループフレーズの入った箱を並べて個別に鳴らしたり、一括で鳴らしたりできる機能です。最近他のDAWでも似たような機能が採用されており完全な独自機能ではありませんが、いわゆる音の抜き差しをリアルタイムで演奏できるのがそもそもの特徴だったのでそこはやはり本家本元の威厳を感じます。

ちなみに、かなりニッチですが、tracker方式という数値入力で打ち込みができてジャングルやドラムンベース、エレクトロニカ界隈で使われることの多いイメージのシーケンスソフトでRenoiseというDAWがあります。これはもう独特すぎてわかってて使う人以外がなんとなく手を出すものではないですが一応触れておきます。

ただし、わかってて使う分には極めて戦闘力が高くて、縦に流れる文字の並びから生み出すサウンドはやはり独特の空気というか、これだから生まれたであろう偶発フレーズなども生まれたりとなにせユニークです。もしそういう系のジャンルが好きなひとはRenoiseやtrackerでいろいろ検索してみてください。

まとめ

歌ものなどを作りたいひとでMacユーザーはLogic ProWindowsユーザーはCubaseがおすすめ。
ダンスミュージック系を作りたいひとはMac、Windows問わず、DJ的な発想ならAbleton Live、Bitwig Studioハードウェア的な操作感ならFLstudio、Reasonモジュラーシンセ的なアプローチならBitwig Studioが適してると思います。
今回はソフトウェアでの制作をメインに語りましたが、機会があればハードウェア、DAWLESS編も書いてみようと思います。

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