ここで会いたい人たちへ
生まれ育ったこの街を捨てて旅立つ。晴れの門出だ祝福だ。ついに引越し。
二十余年も住んだこの街にはたくさんの思い出が生きている。お隣さんちから漂う柔軟剤、何かあると友達と行ったカラオケ、真夜中に友達のお母さんに呼び出されて食べたカレー。友達の妹と一緒に作ったバレンタインチョコ。
うさぎになった友達の見ていた桜、おばあちゃんがからあげクンを買ってくれてたローソン、隣のばあさんとお茶した縁側、バイトの僕におばあちゃんたちが親切だった介護施設、一人で歌った公園、一人乗ったブランコ、一人泣いた河川敷、自転車で駆け巡った四季、栗の木の臭い春、駆け出したくなる夏、1週間でちょうどいい金木犀の秋、進めないくらい強い風の吹く冬。
失くした声、忘れない匂い、写真でしか覚えてない空。
全てを捨てて、素敵なひとりぼっちは旅立ちます。またいつか会った時もお元気でいてください。僕は元気でいますから。
じゃあ、またね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?