北海道の鉄道のこと2

同じタイトルで書くのですが、前回の記事がすでに1年前という。

先日、日高線のバス路線転換への道筋が立つ協議の報道がなされたばかり。そしてその翌日の報道がこれ。
北海道新聞「根室線東鹿越―新得 復旧なら年9.8億円赤字 JRが試算」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/364445

※記事より転記
「試算によると、復旧後の運行費はトンネルや橋などの維持費などを含め年間10億9千万円で、同9億8千万円の赤字となる。小山副社長は、富良野―幾寅(南富良野町)間にバス、幾寅―新得間にワゴン車を使う際の経費は、年間1億1千万円になるとの試算も示した。バスは、東鹿越―新得間で走っている代替バスより1往復多い7往復と想定した。」

そもそもバスと鉄道だと前提条件が違いすぎて、道路は上中下(バスやタクシー、トラックなどの事業者+高速道路運営会社+高速道路保有会社)。JRの在来線は基本全て直営(鉄道事業+財産保有)。
道路の維持(一般道や一般のトンネル・橋梁など)については、大雑把に自動車税などの車体課税が2.6兆円。国の決算が出ているH29を見ると、治山治水対策と、道路整備の支出済金額で2.4兆円出ているようなので、おそらく大きな設備インフラ自体を目的のある財源で概ねトントンで回してるように見えます。その上で別途高速道路の資金スキームがある。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000621221.pdf
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/account/fy2017/kessan_29_10.pdf

一方で鉄道は、在来線のトンネルから橋梁、線路まで直接修繕しますから単純に比較すると収支に差が大きく出るのは明らかです。

今回の議論も、JR北海道としては廃線ありきが前提、という姿勢に相変わらず見えます。北海道知事も夕張での廃線経験がおありでしょうから、自身の経験から、鉄道がない中でもどう公共交通を維持発展させるか、という方向性なのでしょう。

でも、短絡的にミクロで路線の維持をどうするか判断をするのでなく、北海道、そして国の財源まで踏みこんで、北海道が地域全体として、やっぱり車社会を目指すのか、鉄道や公共交通を軸にして地域を作っていきたいのか、北海道と市町村とJRが結託して覚悟を決めて頑張ろう、とならないと路線維持は本当に難しいですね。1つの市町村だけで反対していても埒が明かない。

話は飛びますが、路線維持について、そもそももっと大きな脅威となるのは、WEB会議できるから出張する必要性がないから特急列車や高速道路で移動する必要がなくなるとか、あったらいいなと思うアイディアを実現されたADDressさんの定額制の住まい+移動社会という新たな移動サービスに向けた取り組みなど、全然違った切り口でのアプローチ。アイディアがあっても実現できなそうなことを具現化できている先駆者の皆さんにとても感動しました。

https://japan.cnet.com/article/35144612/

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