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中国はヤバくなりゆく国なのか

はてなのこんなエントリがTwitterで注目を集めていました。

中国(上海)に住んでいたが、コロナ禍を経験して「この国やばくね?」と感じたことを理由に帰国した、とのことです。

何がどう「やばい」のかについて、筆者は外国との関係性や人々の態度を挙げています。

なのに、ここ数年で「なんかやばい空気」が膨らんできて、それに耐えられなくなってきた。

ご存知の通り、中国って怪レいミッキーやドラえもん作ったりするじゃん。あれってもちろんアウトだけど、コロナ前は「他国のいいところを取り入れよう」みたいな姿勢がかなりあったんだよ。

なのにそういうのもマジで減った。他国をリスペクトするどころか、とにかく他国を下げて自分の国を上げるようになった。中国を批判されたらなりふり構わず反論する大きな赤ちゃんみたいな大人が増えた。

上掲記事より

今日はこのエントリについて考察してみます。

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たしかに近年では、中国は謙虚な姿勢をなくし、我が国こそが一番であるという態度を隠さなくなっています。そして、一般の人もそれを内面化しているように感じることも、たしかに増えてきているかもしれません。

ただこういった傾向は、コロナ前から見られたものではあります。

もともと中国においては非常に能力主義的というか、「弱いやつは強い奴に何をされても仕方がない」という意識が人々に強く内面化されています。

「謙虚」だったころの中国、そして中国人は、おそらくは自らを先進国の人々に比べて自らの国を「弱いやつ」として定義していました。だからこそ他国から学び、いいところを取り入れなければならない——というよりは、極端に言えば「弱い自国は他国にひざまづくしかない」という自虐じみた意識が内面化されていたのだと思います。

ところが周知のように、いまの中国は経済発展を成し遂げ、「強いやつ」「強い国」に成り上がりました。そうなれば「今度は自分たちが偉そうにする番だ」ではないですが、中国に学びそのやり方を取り入れるのでは他国のほうではないか、むしろなぜまだ世界は優れた我が国のことを尊敬しないのだ、という意識が優勢になってきます。

こうした中国、そして中国の人々の振る舞いは、おそらくはGDPで日本を追い越した2010年代くらいから顕著になっていきました。僕は2010年代半ばに中国に来ましたが、その期間だけをみても人々がみるみるうちに「自信」をつけ、また他国をくさすようなことが増えてきた実感があります(ちなみに「相手をサゲて相対的に自分をアゲる」というのも、中国人がもともと好む手法です)。

ただ、たしかにこうした価値観や振る舞いがコロナでブーストしていった部分はあるかと思います。曲がりなりにも重症者数・死者数を世界でも類を見ないほど低水準に抑え込んだ中国のコロナ対策は、「優れた我が国」を各国にアピールする格好の機会となりました。そこで行われた「我が国スゴい」プロパガンダが、国そして人々の振る舞いに影響している部分は大いにあるでしょう。

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もうひとつ、上のエントリの作者は最初に文章を発表した後の追記として、面白いことを書いています。

独裁国家怖いなっていうのは違うかな。むしろ俺は中国が独裁国家じゃなくなったらリミッター外れてさらにやばいことになると思う。

上掲記事より

これは、まさに僕が日々感じていることと同じです。

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