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停電でキャッシュレス社会の不便さを知る

もうタイトルでほぼどういうことが起きたかはわかると思うのですが、ともかくお付き合いください。

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最近、デフレが進むいまの中国で人気を集めている、「HotMaxx」(好特卖)というチェーンのディスカウントショップによく行きます。

店の感じとしては日本のドンキホーテに似ていて、あらゆるものが安く売っています。特にお菓子や飲み物の品揃えがよく、値段も安いので、ちょっと小腹が空いたりおやつが欲しい時はこのHotMaxxに行くことにしています。中国ではクッソ高いハーゲンダッツのアイスも、ここなら半額で買えたりします(もちろん、商品としては古くなっていたり、いろいろワケがあるのでしょうけど)。

ちょっと前まではあんまり繁盛していなかったうちの近所のHotMaxxですが、最近は時間帯によっては人がたくさん入るようになりました。特に多いのは子どもや親子連れです。不景気でも子どもに安心してお菓子をたくさん買わせられるから、人気なんだろうなと想像します。僕も子どもが大きくなったらお世話になりそうだな。

さて、その日も子どもたちの元気な声が聞こえる中を、5元くらいの明治のアイスバー(これも普通なら10元以上します)を握りしめてレジに並んでいました。前に並んでいる家族連れがカゴいっぱいのお菓子を買っていたのでなかなか列が進みませんが、楽しげな雰囲気でなんだかいいなあと思っていました。

しかしその時、突然どこからか「バン!」という音が鳴ったかと思うと、店内が真っ暗になりました。そう、停電です。多分ブレーカーが落ちたのでしょう。楽しげな雰囲気が一変し、子どもたちが怖がって泣く声と、大人たちがさらに大声でギャーギャ騒ぐ声が聞こえてきました。

雰囲気はともかく、ここで困るのが代金の支払いです。

ご存知のように、中国はキャッシュレス社会が非常に進んでいて、ほとんどの支払いがスマートフォンを使った電子決済で行われています。それは便利ではあるのですが、停電が起こってレジが死ぬと店側は会計を受け付けられなくなるというデメリットがあります。仮に店側に現金の用意があっても、客の方にスマホ以外の決済方法がなく、もちろん現金も持ち歩いていないので、詰んでしまうのです。

僕が並んでいたレジでも、店員・客ともに「……どうしよう?」と困惑する様子が薄暗い中に見えました。このままでは、誰も会計ができません。

その後、店員さんたちが停電を復旧させようと奮闘しはじめましたが、なかなか解決しません。そのうちに店内がさらに子ども泣き声と大人の怒号でうるさくなり始め、落ち着かない雰囲気になってきました。僕自身も迷いましたが、店員の動きを見るにどうも停電を解決できなさそうなので、諦めてアイスを電源の切れたアイス用のボックスの中に戻し、店を後にしました。

キャッシュレス社会もいいことばかりではないのう、と店の外を歩きながら思いました。ちなみにアイスは別の店で買いました(結局食うんかい)。

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その後、アイスを食べながら歩を進めているときに、「あれ、でも停電でも一応支払いをする方法はあるよな」と思いました。レジが止まり客側にもスマホしか決済の手段がない状態でも、まだやり方は残されていたはずなのです。

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