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【FFコラボ】全ての中小企業診断士及び受験生が知るべき、側島製罐という突き抜けた中小企業

※先にネタバレすると、今回は「FF9(ファイナルファンタジー9)とコラボした中小企業があってスゲーからみんな聞いてくれ!」って話です。


はじめに断っておくが、僕は中小企業診断士ではない。
それどころか、いまや中小企業診断士試験の受験生ですらない。

「中小企業経営に興味あるだけのおじさん」だ。

高校野球で例えるなら、「スカウトや選手の家族でもないけど、休日にお気に入りの選手の試合をわざわざ観に行くおじさん」みたいなもんだ。

聞くところによると、高校野球はそういったよく分からないおじさんによって支えられているらしい。

診断士の世界でも、そういう支援の形もあるよね。きっと。知らんけど。


さて、そんな僕なので、「この企業すげぇ」って思えるような中小企業をいくつか知っている。

今回は、そんな会社のなかでもぜひ皆に知ってほしい中小企業をご紹介したい。

このnoteは僕がネット上で仲のいい人達、特に中小企業診断士関連のひとたちに向けて書いている記事なので、ほかの人が読んでも面白くないと思う。

自分に残された時間は有限である
今日の自分は残りの人生でもっとも若い自分なのだ

それをムダにしちゃいけない

見ず知らずのおじさんが目をキラキラ輝かせて「聞いてよこの中小企業が凄いんだ!」っていってるだけのnoteなんて読んでるヒマはないはず。ゲラルオブヒア。

側島製罐(そばじませいかん)という会社があってだな…

さて、本題に入ろう。今回紹介したい会社は「側島製罐株式会社」
愛知県にある、お菓子などに入れる缶を作っている会社だ。

1906年創業の会社で、社員数は40名ほどの会社である。

この会社の何が凄いって、あのFF(ファイナルファンタジー)とコラボしているのだ。

「どういうこと?」ってなるだろう。僕も最初そう思った。
でもやっちゃったんだよ。

リソースが少ない中小企業にとって、外部リソースを活用するのは中小企業経営のセオリーである。診断士の試験でも模範解答とされることが多い。

にしてもFFはないだろ、相手はスクエニの看板タイトルなるぞ?

ーー想像してほしい。
中小企業診断士試験の2次試験で、「この会社のマーケティングについて助言せよ」的な問題があったとして、「助言は①日本で一番有名なRPGゲーム作ってる会社とコラボする」なんて書いて、点数もらえるだろうか?

まずもらえない。某個性的な予備校の演習でこんな回答を書こうもんなら、某個性的な予備校講師にブチ切れられる。
その日は家に帰れないと思ったほうがいい。

そんな、現実的にありえないことをやってのけてるのだ。マジでやべぇよ。。

元金融マンのアトツギ社長

ちなみにこの会社、なにもマーケティングや広報面だけが優れているわけじゃない。
そもそもこういった成果を出すためには、財務が健全である必要があったり、製造面のケイパビリティが担保されていたりしていないと成り立たない。
なにより、働く社員のモチベーションが重要である。

しかし、側島製罐はもとからエクセレントな会社ではなかった。
この会社に変革をもたらしたのは、現 代表取締役の石川 貴也さん。
元金融マンで、先代社長の体調不良をきっかけに家業に戻った方だ。

石川さんが着任した時、側島製罐の内情はこんな感じだったらしい。

これが1年でこうなった

どどんっ!

2020年4月~2021年3月でやったこと
【全体】

・事務所スタッフ全員にメアド配布
・Slack導入
・Dropbox導入
・Googleカレンダー導入
・改善提案制度導入
・図書購入補助制度導入
・資格取得制度導入
・外部セミナー受講制度の導入
・PC導入(celeron 2GB 256GBHDD→corei5 8GB 256GBSSD)
・デュアルモニター設置
・新入社員向け研修週誌導入
・会社新ロゴの策定
・会議室の新設(人事面談、web会議が出来る個室)
・MVV策定(途中)
・HP改修(2021年3月末ローンチ予定)
・QC検定(全体の25%が受験)
・電話応対トークスクリプトの作成

【人事総務経理】
・新入社員向け提出資料作成(誓約書、反社対応関係)
・採用3人(+2人採用中now)
・税理士変更
・クラウド会計(MFクラウド)導入
・有給取得管理表作成
・受発注管理表作成
・1on1導入(3カ月に1回)
・労働者名簿作成
・就労規則改訂(途中)

【営業部門】
・見積の自動計算ツール導入
・見積書統一様式作成
・原価計算にかかる利益率基準の設定
・営業実績の目標導入
・営業会議用各自AP入力フォーマット導入
・副業人材2名導入
・新商品開発✖4(うち2つは頓挫)
DtoC通販サイトの運用開始
・パンフレットの改訂
・名刺の改訂
・商品写真の撮り直し
・伊丹との定例会議のWeb化

【製造部門】
・生産予定表の導入
・生産予定のガントチャート作成
・生産指示書の導入(Spreadsheet)
・仕様書の統合、洗い替え
・現場作業道具セットの導入
・仕様書ボックスの設置
・現場作業者配置図の導入
・朝礼の導入
・他社見学制度の導入
・生産ラインの名称設定及びパネルの設置

【広報】
・ウェブメディア掲載3回(+1回近日掲載予定)
・新聞掲載1回
・セミナー講演1回(副業人材)
・Twitter(2020年10月~)フォロワー2350人増
・instagram(2021年3月~)フォロワー60人


(おまけ)
・読書83冊
・外部研修25件参加
・自己研鑽用オンラインサロン2件参加

側島製罐株式会社 石川貴也さんのnoteより抜粋

側島製罐には精神と時の部屋があるのか?
およそ1年でできることじゃない。

M&Aとかで経営者や役員陣が総とっかえしたとかならまだ分かるのよ。
そうじゃなく、アトツギが家業に戻って1年だからね。。

これはマジでやばい。

2年目以降もいろんな変革を起こしてるんだけど、去年は自己申告型報酬制度を取り入れたりと、イマドキのスタートアップのような経営をしている。

そんな側島製罐、もともとはBtoB領域が100%だったのだが、近年はtoCに力を入れている。

背景にはBtoBの市場縮小や海外製造業の進出などがあるという。ここ20年で年商が3分の1になったそうだ。
同様の課題を抱える製造業は多いのではないだろうか。

とはいえ、BtoBが100%だった会社を変えるなんて容易じゃない。
想像を絶する苦労があったんじゃないだろうか。
そんななか、エンドユーザーからの認知を獲得するために手を尽くして結実したものの1つが、FFコラボなんだろう。

経営者の仕事は誇りを与えること

石川さんのnoteをいくつか拝読したが、そのなかで感じたことが1つある。
それは、「経営者の仕事は社員に誇りを与えること」ということだ。

ーーこれは大手企業やキラキラ系スタートアップで働いているとなかなか分かりづらいかもしれない。

なんだかんだ、そういう会社は僕らに承認装置を用意してくれている。定量・定性評価の人事制度だったり、月間MVPだったり。
もっとカジュアルなところでは、Slackのスタンプだってそうだ。

会社や経営陣が「俺たちは社会にインパクトを与えようとしているんだ!!」と声高に叫ぶことも多いだろう。

それに対して胃もたれのような感覚を覚えるのは社員あるあるなんだが、自分たちのプライドを支えてくれる部分は大きいと思う。

実はこんな環境は稀で、多くの中小企業は社長を含め、自分たちのやっていることの価値を認知できないことも多い。

でも、何年も何年も製造現場で働きつづけ、モヤモヤを個人の努力でなんとかやりくりし続けて、自分なりの誠意を貫いてきたような社員もいる。
優劣では計り切れない、その人達の生き様みたいなものもあるはず。

そこにスポットライトをあてて、社員一人ひとりの人生を肯定するのも、会社が存在する理由だと思う。

FFコラボも、社員の自己肯定感を上げるという点で大きく寄与しているだろう。
だってめっちゃ自慢できるじゃん「俺の会社、FFとコラボしたんだぜ!」って。

とりあえず知ってほしかった

仮に僕が診断士だったとして、この会社に何ができるか。
まったく思いつかない。
ただ、こんな面白い会社があるってことを紹介してみたいと思った。

繰り返すが、この記事は僕が「聞いてよこの中小企業が凄いんだ!」っていってるだけのnoteである。
それでも、こんな中小企業があるってことを知ってもらえたなら、とても嬉しい。


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