システムアーキテクト 保険申込システムの再構築【記述式の徹底解説】(令和4年春問3)
2023/7/19 メンバーシップ開設に伴う修正
本記事ではシステムアーキテクトの午後(記述)対策として、令和4年午後1問3で出題された過去問の解説をします。
問題
過去問の問題文、出題要旨、採点講評は試験センターからダウンロード可能です。
問題文全文
出題趣旨(試験センターより)
採点講評(試験センターより)
問題特性
保険申込システムを題材にとった新システム導入の問題です。
設問1は現在の業務について、
設問2は新システムについて、
設問3は新システムの中でも実績集計機能について問われています。
メインは設問2でありどの機能が何のデータ・ステータスを処理しているかを頭に入れつつ文章や表の情報を手早く理解して回答にあたる必要があります。
解法
設問1 現在の業務とK社の保険申込システムの概要
現在の業務の範疇からの設問です。
下線①は次の「(3)保険提案書再作成業務」内にある部分です。
提案書番号と保険条件が1対1であることを示しています。
保険条件がころころ変わるのは困るので当たり前のようですが、設問文の指定にある通り「業務上の観点から」記述する必要があります。
提案書番号が使われる業務は他の部分でどこにあるかに注目して業務の説明を読み進めていくと、「(4)保険申込書作成業務」に次の記述があります。
申込書に提案書番号が記載されて、申込書と提案書が1対1であることが示されています。
設問文の指定の「業務上の観点」とは、申込書の点に触れて記述すれば良さそうです。
正答例は次の通りです。
設問2 新システムの設計
(1) 手続切替え可能な申込ステータス
申込ステータスはページ18/19の表1「新システムの機能概要」に文章の形で説明があります。
表1は文章量が多いので、どこに何の情報が書かれているかという"規則性"を理解して効率的に読む必要があります。
たとえば申込ステータスは各機能概要の最後の項目に書かれていることが多く、その箇所は7つあります。
設問では「書面手続に切り替え可能な」ステータスを問われているので、上記7つから選択します。
そこでペーパレス手続と書面手続に関する新システムへの要望の記述を確認します。
決定的な情報となるのが赤の四角で囲った部分で、「告知書の署名後は切り替えられない」という点です。
告知書への署名は申込手続業務の一環で成されるもので、以降は切り替えられないことになります。
4つ目の「告知手続」機能において告知書に署名されるので、3つ目の「申込書入力」機能より以前の申込ステータスであれば書面手続に切り替えられることが分かります。
なお、表1の読み方を先に説明したかったので7つのステータスを先に確認しましたが、要望から考えれば「告知手続」機能以降はチェック不要になるので解答の時短に繋がります。
(2) 改ざん検知が必要な機能
改ざん検知についての要望が述べられている箇所は以下の部分です。
改ざん検知を導入するのは顧客控え書類に対してであると書かれています。
さらに保存する電子書類とは、顧客が入力・自署した書類であることも書かれています。
次に表1を見て、顧客控え用の資料を保存する機能について確認します。
すると「署名完了後、顧客控え用の(書類)を作成し、保存する」という項目が書かれていることが分かります。
保存する機能に改ざん検知を考慮する必要があると考えるので、正答は上記2つの機能であることがわかります。
(3) 不備対応時間の短縮を考慮した機能
試験センターの採点講評によれば正答率に低かった設問です。確かにヒントは少なく、何を問われているのか把握しづらく、経験も問われる設問だったように思います。
下線②部分は以下です。
2つの項目を引用しましたが1つ目の項目の具体的内容が2つ目の項目に相当します。
ここでのキーワードは責任者がチェックする「書類」です。
具体的にどの書類をチェックするかは1つ目の項目にある「申込手続事後業務」に書かれていそうだと考えます。
責任者がチェックする書類とは取扱報告書に加え申込書・告知書・意向確認書とあります。
よってこれら4点に関する新システム上の取り扱いを確認します。
以上4点の書類を取り扱う機能の説明を読むと、同じ表現が繰り返し登場していることがわかります。
下線②を含む文章にも、
とあるので、画面に誤りを入力時点で表示する機能は責任者の不備対応時間を短縮する要望の実装だとわかります。
よって正答は以下の通りです。
■独りよがりに解釈しない■
実際の現場においては申込書や告知書はそれを顧客に見せる前に
上司に確認してもらうようにすればいい、と考える人もいるかもしれません。
ただ、それは問題文の業務の説明に書かれていることではないのです。
情報処理試験で記述式の問題に取り組む場合は自分の常識を当てはめる
のではなく、あくまで問題文に沿って解答にあたる必要があります。
(4) 手続きの効率化のためのユーザーインタフェース
この問題もヒントは少なく、経験が問われる設問のように思います。
まず、下線③に書かれている要望を確認します。
設問は新システムの機能名を求めていますが、下線③は特定の業務プロセスに対する機能についての要望では無さそうです。
よって、機能の中でも業務プロセスを抽象化しているようなものを探すのが良さそうです。
「ペーパレス手続メニュー」
「書類印刷」
「申込書データ連携」
「実績集計」
あたりが特定の業務プロセスによらない機能ですが、このうち、募集人による手続きが関わる機能は1.か2.ですが、2.は単なる印刷機能のことしか説明がありませんので、正解は1.「ペーパレス手続メニュー」だと分かります。
表1を参照すると、次に実施すべき作業メニューが活性化するという記載があり、募集人による手続きの円滑化に貢献する機能だと分かります。
これを制限字数にまとめて回答すればよいです。
設問3 について
解説は有料記事となります。
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総評
解答一覧
問題特性(再掲)
いかがでしたでしょうか?
ITストラテジストのキーワードである企画や成果指標などといった業務内容に経験がある方は取り組みやすかったと思います。
そうでなくとも、文章中心で情報を処理するのに自信のある方は選択してみるとよい問題だったのではないでしょうか?
今後、過去問の徹底解説記事を引き続き充実して参ります。
ではそれまで。
設問3 実績集計機能について
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