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マレーシア人とは誰を指すのか

なんだか難しそうなタイトルを付けてしまいましたが、マレーシアに住んでいて疑問に思ったことを調べてみたいと思います。

歴史学者でも人類学者でもない、ただのバックパッカー、もしくはただの主婦です。
ズブの素人なのでその辺ご承知おきください。

マレーシア人とは?

イメージはこんな感じでしょうか。

ガイドブックなどのマレーシアの紹介文には、大抵このように書かれています。

マレーシアはマレー系、中華系、インド系からなる他民族、他宗教国家です。
国民の6割がイスラム教徒です。

その通り、マレー系、中華系、インド系が暮らす国なんです。

中華系、インド系とはいえ、中国人、インド人ではありません。
立派なマレーシア人です。
単一民族の私たちにはなかなか理解しにくいところがありますが、彼らの国はマレーシア以外ありません。

19世紀以降、イギリスによるマレーシア発展の働き手として中国やインドから移民を受け入れました。
彼らの子孫が現在マレーシアで暮らす、チャイニーズマレーやインディアンマレーなのです。

じゃあマレー系って誰を指すの?
オランアスリ(先住民)のこと?

うちのオーナーに聞いたところ、意外な返答がありました。
「オランアスリは山にいるわよ。また裸足で暮らしてるわ。
マレー系はインドネシアから来た人たちのこと」

え?インドネシア??

つまりは、マレーシアはインドネシアから来たマレー系、中国から来た中華系、インドから来たインド系で成り立ってます。ってことですよね??

おかしくないですか?
他の国から来た人たちが、マレーシアという国を作ってるんです。
もう何百年も前からなので今更ですが、じゃあ元々マレーシアに住んでた先住民はどうしちゃったのよ?
なんでマレーシアという国の紹介に出てこないの?
そもそも先住民ってどんな人たちなの?

そんな訳で、半島のオランアスリを調べてみようと思います。

オランアスリとは?

Orang Asli、オランは人、アスリは元々の、つまり「先住民」のことを言います。
マレーシア政府は大きく3つに分けているようです。
分けてると言っても、彼らが分けているのではなくマレーシア政府が分けてるだけですけどね。

⚫︎セマン
⚫︎セノイ
⚫︎プロトマレー

言語ももちろん違います。
マレー語系の言語を持つ民族と、クメール系の言語をもつ民族がいます。

また、宗教はマレーシア政府のイスラム化が進められる中で改宗するものもあるが、元々は民族独自でイスラム教徒なわけではないようです。

ちなみに、オランアスリが住む一帯は、イスラム教徒以外の勧誘が禁止されているのだとか。
なんだかいらやしいですね。

サバ州とサラワク州はオランアスリを守るため自治権を持っています。
マレーシア政府の手が届かないことも多くあるのですが、村ごとお金でつって改宗を勧めることもあるようですよ。

セマン

セマンに分類される種族は、マレーシアのケダ州、ペラ州、ババン州に多く暮らしており、下記の民族になります。

⚫︎バテク族
⚫︎ラノ族
⚫︎ジャハイ族
⚫︎マニ族
⚫︎ケンシュー族
⚫︎キンタック族
⚫︎メンドリック族

ルーツはアフリカで、なんと3世紀より前からこの土地に住んでいたようです。
狩猟民族なのだそうですよ。

セノイ

セノイ族、または地域によって民族呼称がセマイ族、プレ族、テミアル族などと呼ばれることがあるようです。
多くが農耕民族ですが、放牧や狩猟を行う人たちもいるようです。
ルーツは同じくアフリカです。

プロトマレー

現在のマレー人、インドネシア人の祖先にあたるのが、このプロトマレー。
元はアフリカ系だが、アジア大陸南部から移ってきたとされている。
農耕民族のようですが、農耕技術にたけているという書き方をされています。これに加え、海洋学、漁業の知識も併せ持っていたようですよ。

どの民族もルートや時代は違えど、アフリカから渡り歩いてきてるということでした。

オランアスリの中でも1番人口や分布が広いのがプロトマレー。
そして、マレー系やインドネシアの祖先。
であれば、マレー人とはプロトマレーのことなんじゃないのか?と個人的には思ってしまいます。

現在のオランアスリ

マレーシアは自然が豊かです。
私もそう思ってました。

高速を使わず道路を走ると一面のパームツリーが広がります。
ここも?ここも?また?ってくらいパームツリーだらけです。
マレーシアはインドネシアに次ぐ、天然ゴムの輸出国。

正直走っていても全く面白くなく、吐き気がしそうです。

開発が進む中、オランアスリの居住区は奪われていきます。

半年のオランアスリに会ったことがないので、現状は分かりません。

ただ、マレーシア発展の裏で、生活がしにくくなっているのは想像がつきます。

オランアスリの参考

プミプトラ制度

マレー語を第一言語とするプミプトラ制度が敷かれ、マレーシア人はマレー語やマレー史が必修となりました。
マレー系を優遇する制度です。

銀行の金利が違うなど、民族によって待遇がことなるのですが、半島のオランアスリは対象の民族となっているそうです。

条件としてムスリムでないとらなりませんが、オランアスリに関しては宗教は問われないのだそうですよ。

チャイニーズマレー

少し蛇足ですが、チャイニーズマレーの町に住んでいるので、この町で驚いたこと。

主に錫の発掘で大量に受け入れたため、錫のとれる西海岸イボーを中心として華人が多く暮らしています。
この辺りでは、マレー系、インド系、中華系とハッキリ分かれるので、日本人は大抵華人と間違えられ、中国語で話しかけられます。

よく分からないと伝えると、
「客家語できるか?福建語はできるか?」てな具合。
それでも分からないと答えると、
「マレー語は?英語は?」
なんと、英語が最後でした。
別に彼らが英語が喋れない訳ではありません。
英語を使う人があまりいないのです。

日常生活が中国語で間に合うため、英語が片言の人も多い地域もあるんです。

携帯料金の支払いに行った時のこと、
長らく待たされ考え事をしていたので、
順番が来た時に思わずマレー語で「支払い」と言ってしまいました。すると、

「.........................ごめん。普段中国語しか使わないから一瞬分からなかったわ」

でもね、マレーシアだし、マレー語できないんだよーっていう華人だって私よりはるかにできるはずなんです。
ましてや、私より若い年齢の店員は、学校でマレー語は必須なはず。

そのくらい、普段使わないってことなんでしょうね。
これには驚きました。

サバ州のチャイニーズマレーシアンは同種族との会話のみ中国語、もしくは客家語、広東語を使います。
観光場所に行くと、
「何語がいいですか?」と聞くところもあります。

それ以外の人とは?基本英語です。
もちろんマレー語も出来ます。

店の店員も、こちからが英語で聞けば英語、マレー語で聞けばマレー語、中国語で聞けば中国語で返してくれるんです。

マレーシアのボルネオ島

サラワク州とサバ州は独自の自治権を持っています。

どこにでも書いてあるし、私も何度となく書きました。

ボルネオ島の自然保護、先住民を守るため

言葉では理解していましたが、半島を見るとこの自治権の大切さを改めて感じました。

とは言え、ボルネオの政治や実際の問題は、私なんぞが知らないところにゴロゴロしているのでしょうけど。

サバとサラワクが自治権を守り続けることを祈ります。

民族意識

8/31のムルデカ(独立記念日」と、9/16のマレーシアディにちなんで、我が子の学校では民族衣装を着て登校するという日がありました。

我が家は日本人なので浴衣です。

インターナショナル校なので、各国の民族衣装をきた子ども達がゾロゾロと登校していました。
が、セカンダリーの長男の甚平はサイズアウト。
着ていくの嫌だなぁーというので、制服登校となりました。
クラス全員、制服だったそうです。

年齢はもちろんあるので、無理に着なくてもいいかなとは思うのですが、
サバの子達は、何歳でも絶対着ていくよな、とふと思いました。

自分達のtraditionalに誇りを持っていると感じています。



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