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中国、世界遺産の「蘇州園林」を訪ねる

「蘇州夜曲」でも有名な江蘇省蘇州市は、上海から車で1時間ちょっとの場所に位置します。

中国には「上有天堂,下有苏杭」(天には極楽があり地には蘇州・杭州がある)という諺があるほど、美しいといわれている場所なんですよ。

そんな蘇州には世界遺産登録された園林があります。

園林は中国のいたるところにありますが、蘇州園林の特徴は、「私邸園林」であるということ。

つまり、個人宅の園林で自分や家族のために作ったものなのです。

蘇州の園林は、複数の園林を併せて世界遺産登録されています。
と言う訳で、世界遺産オタクの私としては全て周るしかありません。

蘇州で暮らした時に、新生児だった長男を連れて園林をまわってみました。

中国の茶文化

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園林から逸れるのですが、中国には欠かせない文化。
ご存知、中国茶は小さい器で飲みます。
茶法もあり、洗茶のお湯で器を温めたあと、おしゃべりしたり、ひまわりの種などをつまみながら何十杯も飲むんですよ。

「茶不道」という言葉があります。

これは赤?朱色?なんていう時に、「大差ないよ」とか「変わらないよ」という意味で使われます。

お茶が文化や生活に深く関わっている気がしませんか。

園林を訪れたら、ぜひ茶館にも足を運んでみてくださいね。

園林はいくつあるの?

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※写真は水の都蘇州の山糖街

1997年と2000年の二度に分かれて登録されています。

1997年登録
拙政園、留園、網師園、環秀山荘、
2000年登録                            滄浪亭、滄浪亭、獅子林、芸圃、耦園、退思園

蘇州古典園林は、明や清の時代に建設されたものが多くあります。

先ほど私邸園林に触れましたが、地元の名士により作られたもので、個人の趣味が色濃く反映しているものが多いのです。

ちなみに、中国の多くの園林は、皇帝所有の庭園であり「皇家園林」と呼びます。

水の都、蘇州の庭園は豊かな水を利用し、池を配置した素朴な美しさを特徴としているものが多くあるんですよ。

上海の豫園はツアーなどによく組み込まれていますが、江南私家園林が総称として中国国内では一般的なのだそうです。

蘇州古典園林のうち、明代の拙政園清代の留園は中国四大名園の二つに数えられる園林でもあり、この2つに元代の獅子林宋代の滄浪亭、4つの異なった時代に作られた庭園は「蘇州四大園林」と呼ばれています。

拙政園

役人の職を辞した王献臣が故郷の蘇州に戻って建造した園林です。
造られたのは1500年頃とされており、500年以上の歴史がある園林なんですよ。

蘇州の観光と言えば誰もが訪れるのがこの拙政園ですが、蘇州古典園林の中で最も広いことでも有名です。
その広さ、約5万平方メートル。
そんな広さピンと来ませんが、ニュースになる位の最大級のショッピングモールくらいだと思ってください。
一周見て歩くだけでも1時間以上かかります。

その7割は池や堀なのですが、その周りに建物や回廊、橋などがあり、木々や花も楽しめます。
太湖から発掘した奇石が有名ですよ。この池は、夏になると蓮子が美しく咲き誇り、絶景なんです。

「香洲」と名のついた船に見立てた建物も見逃せません。
庭園を見渡せる場所に茶屋があり、お茶を飲みながら園林を楽しむのが何よりの醍醐味です。
ただ、割と混み合うのでまったり〜まではできないかも知れませんが。

園林は東園、中園、西園の3つの庭園と住宅部があります。

以前は当日窓口でチケットを買って入れたのですが、2019年4月より、事前に時間指定入場券の事前購入が必須となったようです。
サイトには当日券の表記もあるのですが、人数規制をしている場合、売り切れの可能性もあるでしょう。
こちらはネットで購入となります。
ただし、中国の電話番号が必要となるので、日本からの事前購入は難しいかも知れません。

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州园林旅游网」拙政園

獅子林

蘇州旧市街近くにあり、ここも外せない観光ルートです。

禅寺の高僧のために、もともとは「禅林」として造られたものでした。「禅林」の禅とは、大乗仏教の一派の「禅宗」を指し、禅宗寺院を指します。

獅子林の名前の由来は2通りあります。

1つ目は天如禅師という高僧が修行した場所、浙江省西天目山獅子岩からとった説。

2つ目は園内にある多数の石の形がライオン(獅子)のように見えるからという説。

園林に入ると2つ目の説に納得してしまいますが、太湖石の築山には怪石がゴロゴロ、いや、きちんと考えて造られていますが、獅子林=石の印象しか残らない程、特徴のある園林です。

1人で生後3か月の首の座っていない新生児をベビーカーで連れて行ってしまったのでさぁ大変。とてもじゃないですがベビーカーを押して歩けるような場所ではなく、子どもを抱いてベビーカーを片手に歩きました。

見事な太湖石は一見の価値がありますよ。

大変だった記憶しかなく、獅子林自体の記憶はあいまいでしたが、素晴らしい漏窓や回廊もあります。

個人的に私が一番好きな「滄浪亭」を参考に造られたという獅子林には、漏窓や回廊も素晴らしく、扇亭から庭園を眺めるのがおすすめです。

獅子林

拙政園と獅子林の距離はわずか600mなので、歩いていくことができます。途中に蘇州博物館や蘇州民俗博物館もあります。時間がミニマムな場合は併せて観光することも可能です。ただし、各園林を見て周るのに時間がかかる上夕方には閉まってしまうので、開園に合わせて出るといいですよ。

留園

規模の大きな園林で、総面積は約3万㎡と言われています。さて、どのくらいか・・・・大阪のハルカスの総面積が28000㎡でした。

北、東、西、中央の4区画あり、中央部分が元々の寒碧山荘でした。他の3区画は盛康により拡張された箇所にあたります。

これら4つの区画は異なった特色を持ち、曲廊を利用して全園林と各区画をつなぎ合わせているのです。

留園の主要建物のひとつ、「明瑟楼」では中国民族音楽の演奏に出会いました。

それぞれ形の違う花窓や蓮池など見所がたくさんある園林です。

網師園

十全街という割と観光客でにぎわう一角にありながらも、民家をすり抜け、洗濯ものをかき分け入っていくような場所なんです。

「世界遺産来たぞー」というより、ちょっとおうちにお邪魔しますっといった雰囲気の園林です。

滄浪亭

網師園と背中合わせの形にあるのが滄浪亭です。

鳳凰街と十全街の交差点を曲がった先ですが、交差点から少し歩きます。

こぢんまりしていて、個人的にここの園林が一番好きでした。

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環秀山荘

世界遺産に登録された園林の中で、一番面積が大きな園林です。

なんと刺繍研究所の敷地内となっているので、その展示なども見られますが、他の園林に比べて入口が分かりにくかった記憶があります。

他の園林でも見られますが、ここは太湖石を積み重ねられて山が築かれているのが特徴です。

園林には洞門があります。これは園庭と園庭を分ける門として作られていますが、よく見かけるのが円型の洞門。ここには花瓶型の洞門があるんですよ。

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芸圃

探すのにかなり苦労した園林でした。

家からタクシーにのり「すぐそこだよ」と大通りの人民病院近くで降ろされたものの、そこから先が分からずにリキシャにのって行きました。

細い路地の住宅街を抜け、隠れ家みたいでした。

訪れる人も少なく、老人がお茶を飲みながらくつろいでいた園林内の茶館。

蘇州の旧市街は国宝となっていて建て替えなどができません。そんな昔の景観で今も生きている市民の生活が垣間見れました。

耦園

東園と呼ばれる園林の隣に位置しています。

東園には動物園があり、2007年当時、蘇蘇(スース―)と言う名のパンダがいました。暑さでうなだれていましたけど。

あまり手が入れられていない園で、臭いもすごかったですが素朴な動物園でしたよ。

耦園も他の園林に比べて素朴な印象でした。

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退思園

同里古鎮にある園林がこちら、退思園。

他の園林は蘇州の中心部に集まっていますが、この退思園は中心地から30kmほど離れます。

中国人観光客も多く訪れる有名な地で、出店も賑わっていました。

中国に降り立った3日後、一緒に来た母の希望で生後2か月3日の子どもを連れてでかけることに 笑 かわいそうに。

さすがにタクシーで行きましたけどね。

2001年に世界遺産に選ばれた園林で、池の風景が高く評価されたそうです。

任蘭生という人の造った私邸庭園で、清朝に勤めた役人でした。中央の政治から退き身を隠した場所でもあります。実際にはのちに役人に復職した人物です。

6500㎡ほどの広さで、特別広い園林ではありませんが、蘇州の中心地からこれだけ離れているだけあって、静かな場所です。

何といっても手漕ぎの船にのって景観を見られるのが最高です。

蘇州から30km、と書きましたが、日本なら30km走れば他の市町村になってしまうことが多いですよね。

この蘇州市は千葉県とほぼ同じ面積を持っています。県の大きさが市なのでかなり広いことが分かると思います。

実際蘇州に住んでいました、と言っても町内だけしか知らない程度しか行っていないんです。

園林以外にも見所はたくさんありますよ。

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