「起業の教科書」トーマツベンチャーサポート

「起業の教科書」トーマツベンチャーサポート で読んだことをメモ。


1起業前後にまず決めること

○会社を構成するに不可欠な4つの要素

 WHY なぜその事業を行うのか

 HOW どうやってそのプロダクト・サービスを提供するのか

 WHAT どんなプロダクト・サービスを提供するのか

 WHO 誰に提供するのか

経営チームに4つの要素の偏りができてはいけない。

○3つのタイプの起業家

①「WHY」が強いビジョナリー型

 例)スティーブ・ジョブズ

 現実のビジネスとのバランスを考えられるメンバーが必要。

②「WHAT」が強い技術者型、「HOW」が強いアナリスト型

 例)「SABAR」右田社長

 WHYやWHOが抜け落ちることが多い。

③顧客視点が強いデザイナー・営業型

 顧客の理解が深く、ある程度成長させることができる。一方、WHYが抜け落ちることが多い。


起業家に最も大事なのは「ビジョン」を持つこと。ビジョンは、周囲を巻き込み、仲間を作る力となる。


○たとえば

例えば、将来起業を考えており、大学卒業後コンサル会社に勤める大学3年生はどうすればよいだろう。コンサルで「HOW」は鍛えられる。常に思考する努力によって「WHY」も鍛えられる。「WHAT」は、どんなプロダクト・サービスを提供するかによる。今からできる分野を鍛え、選択肢を広げる(ITなど)。「WHO」は難しそうだ。長期インターンや、アルバイト、自分で何かビジネスをするなど、「売る」経験を学生時代にしておくのが良いだろう。


2成長を目指すチームのつくり方

仲間集めは「ビジョン」が求心力になる。

初めは近い人から 知人→起業家仲間→知人の紹介→HP→SNS など。

○共感を呼ぶために

「SelfーUsーNow」を含んだストーリーを話すと良い。

・Self 起業家自身のストーリーとして起業の経緯、思いを語る

・Us 採用したい人材に、同じ目標を目指す私たちのストーリーを語る

・Now 今しかない、今一緒に取り組もうと、現在進行形のストーリーを語る


創業期ベンチャーが人を採用する際に重要なことは、「ビジョン」「スキル」「カルチャー」を確認すること。

メンバーが10人を超えてくるとビジョンが浸透しにくくなる。これを解決するために「明文化」する。


3ファイナンスの基本を知る

○創業時にかかる資金

300万円以内で起業した起業家が半数(アンケート結果)

・会社の登記にかかる費用 30万円

・オフィスを借りる費用 1月に数万〜数十万円

・オフィスに設置する備品(机、ロッカー) 数万〜数十万円

・名刺、ロゴ、ホームページ制作費など諸費用 数万〜数十万円

○資金調達

・補助金・助成金

 審査は厳しい。日本経済にどれだけメリットがあるのか、証明する必要がある。また、どのような政策に基づいた補助金なのか見極め、採択する必要がある。

・デットファイナンス(銀行からの借入など)

 確実に返済してもらえるかが貸出の基準。

・エクイティファイナンス(株の発行など)

 会社の成長性が高いかどうかが投資の基準。

・クラウドファンディング

 いかにビジョン、プロダクトの共感を呼べるか。

○資本政策(どの株主にいつ何%の株を割り当てるか)

議決権の割合

・議決権の3分の2以上

 会社に対する決定的な支配権(定款の変更や合併など会社の重要事項を決めるなど)

・議決権の過半数

 会社の通常の決議に対して決定権(取締役を選任できるなど)

・議決権の3分の1以上

 重要な決議に対する拒否権


4PRとプレゼンで認知度を高める

PRは非常に重要。創業期のメンバーに広報担当者がいることも多い。

PRの目的は伝えるだけではなく、「記憶に残す」こと。どんなビジョンを掲げ、社会をどのように変えたいか、までPRする。


○具体的なアプローチ方法

①知人(起業家)に紹介してもらう

②イベントや交流会に参加する

③プレスリリースの届け方を工夫する(5W1Hを漏らさず書くなど)

④ブログやSNSで情報発信する

⑤編集担当者に直接コンタクトを取る

 相手のことを考えることが大事。「自社に興味がありそうな編集者か調べる」「競合と比較した上でプレゼンする」「メディアを通して社会を変えたいというイノベーション・ジャーナリズムと自社のビジョンが呼応するか調べる」など


5大企業との提携で成長を加速

近年、エグジット戦略はIPOだけではない。大企業との提携(買収)を最終目標にすることもある。

○大企業との提携メリット

 人材、ノウハウ、資金など大企業が持つリソースは大きい。しかし、創業期のベンチャーにとって最も大きいのは信用度

提携の目標と役割分担を詳細に決めることが重要。


番外編 アイリスオーヤマ大山社長から学ぶこと

○人と同じことはしない

「ユーザーイン」の考え方。生活者の目線に立って生活に必要とされているもの、不足しているもの、不満と思われているものを探し出す。「全く新しい需要(いわゆるシーズ)」を生み出す。

○身の丈にあった努力

自分の能力に応じた山を次々に登る。あまり高すぎる志を持たなければ、熱は継続できる。仕事はかける時間と付加価値が比例する。

○新商品を生み出すという強い思い

尖っていた商品を丸めないよう、駅伝方式で開発するのではなく、プレゼン会を開く。失敗した人は部署移動だが、再び敗者復活の舞台を用意し、リベンジさせる。

○東京でビジネスをするという落とし穴

東京はマーケットが大きいため、1万人に1人しか買わなくてもビジネスは成立する。しかし、そこに甘える企業は弱い。地方で創業するように、自分で新たな市場、新たな製品をつくり育て上げる気概がなければならない。

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