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ミツバチ14.天敵

「こんなことになるのもハチミツが大好きなせいだ。」byくまのプーさん


プーさんがこんなことを言っていますが、ミツバチにとってはとんだ迷惑ですね。ミツバチの天敵といえばクマ、ヒト、スズメバチ、ダニがあげられます。今回はその天敵について、お話ししましょう。

クマ

クマが木登りをしてハチの巣をこわし、ハチミツを食べるシーンは映像にも残されているのでご存知の方も多いと思います。くまのプーさんも、家のつぼにいくつもハチミツをストックしていますよね。

ミツバチの天敵なことには変わりはありませんが、クマの本当の狙いはハチミツではありません。ハチの幼虫や蛹(さなぎ)といったハチノコが狙いなのです。ハチノコにはタンパク質や脂質が豊富に含まれているので、冬眠に備えるクマにとっては良い栄養源になるのです。もちろん、ハチミツも一緒にそこにあれば食べます。

スズメバチ

春、ミツバチの巣箱の周辺にオオスズメバチの女王が偵察に来ています。どうしてかというと、ミツバチの巣の場所を把握してどこかその近くに自分たちの巣を構え、秋口に総攻撃を仕掛けるためです。ミツバチと違ってスズメバチの仲間は肉食なので、ミツバチを自分たちで食べたり、幼虫に食べさせたりするのです。オオスズメバチ、キイロスズメバチ、コガタスズメバチなどです。

オオスズメバチ

8月から10月、スズメバチの集団が襲来!あんなにたくさんのオオスズメバチを一度に見ることはそれまでにありませんでした。キイロスズメバチはミツバチをサッと一匹捕まえて飛び去っていきますが、オオスズメバチはそんなになまやさしいものではありません。ミツバチを次々と噛んで殺し、噛んで殺しを繰り返し、みるみるミツバチの死骸の山がいくつも出来上がっていくのです。網で捕まえても、網をかじって出ようとします。巣箱の巣門も強いあごで噛んで壊し、侵入するのです。そしてミツバチの幼虫もさらっていきます。

実はスズメバチはアジアにしか生息していません。そのためか、東洋のミツバチはスズメバチを四方八方からとりついて大きな球状のかたまりを作り、筋肉を震わせて熱を出し、内部の温度を47度まで上げます。ミツバチはギリギリ耐えられる温度ですが、スズメバチは死んでしまいます。それを”熱殺蜂球”といいます。しかし、セイヨウミツバチにはそのような技がありません。必死に闘ってやっと何匹かやっつける程度なのです。

ミツバチヘギイタダニ

20世紀以降、ミツバチの主な天敵はダニとなりました。ミツバチヘギイタダニのメスは楕円形で褐色、肉眼でもミツバチについているのがわかります。かつては体液を吸うと言われてきましたが、実はミツバチを食べるのだそうです。

ミツバチヘギイタダニ

ミツバチの子供たちのいる巣房に入って卵を産みます。ミツバチが成虫になって出てくる時に一緒に出て他の巣房に侵入し、爆発的に増えます。ミツバチを食べるだけでなく、ウイルスも媒介します。中でも”チヂレバネウイルス”に感染したミツバチの子は、チリチリに縮れた翅をして生まれてきます。発達も不十分で白っぽく変色しています。

自然の摂理では理論上は、宿主が滅びれば自身も滅びるため、バランスをとって共生していくようになるはずですが、養蜂場では薬剤など何かしらの対策を取るしかなく、頭を悩ませています。

ヒト

2000年代になって、”CCD蜂群崩壊症候群”と呼ばれる現象が多く起こりました。商業用のミツバチの成虫が巣からいなくなり、すっかりコロニーがなくなってしまう現象です。当時「北半球のミツバチが消えた!」などというニュースを目にした時、頭からサーッと血の気が引いた覚えがあります。

原因究明は困難を極めています。ダニ?薬剤?農薬?電磁波?ストレス?仮説はキリがなく出てきますが、いずれにしろ”ヒト”が絡んでいることは間違い無いでしょう。ある農薬は使用を禁止するなど、手探りで対策は進められています。

以上、今回はミツバチの主な天敵についてお話ししました。ミツバチ大好き、ハチミツ大好き。いろんな敵に負けずに頑張れ〜!

参考文献:ミツバチのダニ防除 東繁彦著


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