【世界初のオーディオ専用導体、アコースティックリバイブ製の電源ケーブル導入のお話】
初投稿記事は、HEAVYミュージックと親和性が高いオーディオの世界との統合を目指している最中で出会った、本当に優れた逸品を紹介したいと思います。音楽や音楽制作に興味がある方、オーディオファンの方、作品を良くしたい方などを対象に、刺さる内容や情報が少しでもあれば幸いです。
作品の裏側を知れば作品やサウンドが一味も二味も違った角度で見えてくるのではないかなと、少しでもそんな楽しみにつながるようなものが届けられたら嬉しいです。
初回はいきなりド真ん中の機材、取り扱い注意のメジャー過ぎる機材であり、マニアックな対象でもある電源ケーブルというお題です。
得意なジャンルではありますが、電源ケーブルに関して語るのはこれが最初で最後にするくらいの勢いで書き尽くしてみることにします。
10代から関わっているエクストリームミュージックに携わり20年近く時間が経ちましたが、この電源ケーブルというカテゴリーに新境地と言える大きな変革が昨年ありました。
高いレベルで期待に応えられるモノは実は少ない。
っていうのは大人になればなるほど痛感してくるものです。とりわけ音楽や音になんかに対しては僕は求めるものが強い傾向にある人間だと自覚があるので、どうしても期待を持つ姿勢から入ってしまうし、その分ガッカリすることもしばしばあるということです。
期待に何度も裏切られながらも前に進んでいくしかないのですが、そんな期待に真っ向から応えてくれるものが長年大ファンの「アコースティックリバイブ」(通称:アコリバ)の作品の数々だったりします。
アコリバはやっぱりいつも独創的で、音に良く効く凄いものを作ってるなと感服してしまいます。僕の制作にかなり取り入れて来たのでいつも助かっています。
音楽に従事している人たちは例外なく、電気の流れ、音声データの流れに関わることになるわけですが、電源ケーブルは機材が本来持っている性能を発揮させるための生命線となるので、重要なカテゴリーとして捉えています。
例えばマイクプリアンプやモニターなどのスタジオ機材を増やした際は、どんな電源ケーブルで鳴らし切ってやるかセットで考えるくらい大事なものです。
その日1日のレコーディングをハッピーに終えるようにするにはそれなりに準備も必要ですし、録音するという行為をする以上は録音物に対して、素材に対して良い結果を叩き出す必要があります。
そんな結果を担保するものとして強力な能力を持っているのが今回紹介したいアコリバ製の電源ケーブルです。各種詳しいレビューは一番最後にまとめました。発売中のサウンド&レコーディング・マガジンのレビューの補足的な感じで読んで頂けたら幸いです。
その前にアコリバ製の電源ケーブルや作品たちに関してはちょっとしたストーリーが自分の中にあるのですが、紹介させてください。始まりは2011年頃に遡ります。
市販の電源ケーブルのほとんどが2m程のものが多く、自分が使いたい長さは半分くらいで良いのになって思っていて、連絡してみたのが始まりだったのですが、なんと希望の長さに仕上げて頂きました。丁寧に対応してもらえてなんて最高なメーカーなんだと感動したものでした。
その後FIREWIREケーブル(懐かしい・・・)やUSBケーブルなんかも好みのサイズにして頂いたりしました。
今はアコリバ製のDIGILINK(これも長さを整えてもらいました)をメインで使用していますが、Drumレコーディングの時はその当時のUSBケーブル(音声と電気信号が二股になっている特殊なケーブルです)を今でも気に入って使用しています。
ケーブルの長さは音質にも大きく関わってくるところなので、このちょっとのことが凄く大事で、それを諦める必要がないって選択肢ができることは本当にありがたいことです。
こだわりたい方は是非直接連絡してみると良いと思います。気になるものがあったらデモ機の手配までして頂けます。
2013年オーディオ業界では衝撃的な大事件が起きました。
そんなこんなで気を良くしていた矢先に、お気に入りの電源ケーブルで主に使用している導体の生産が終了し、それまで高く評価されていた導体材料が一斉に枯渇に向かうとのニュースが出ました。
PCOCC-Aというオーディオケーブルの導体素材として音質的に優位性の高いものとして非常に有名で、各社この導体を最高グレードとして位置付け、各製品に採用されているほど強力な導体素材でした。
興味ある方は詳しい技術説明を調べてみてほしいのですが、実際の音質の評価としては、豪胆無比、圧倒的、暴力的な音のエネルギー、かつ繊細な描写表現も持ち合わせているといった質感を得られます。
特に重心の低さ、腰の据わったブレない中低域が特徴で、他では代替がきかない個性的なサウンドを有していました。
自分のエクストリームなスタイルの音楽制作にはこれ以上のものは無いと確信していましたし、長らくこれをずっと採用していました。
この導体が使用されている電源ケーブルをとにかく特別気に入っていて、一生これで良いじゃないか!ってくらいの大ファンだったので、無くなってしまうのは非常に不味いなと・・・ちょっと焦ったりして、中古市場で見つけたら極力手に入れるように、実は近年まで買い足していたくらいお気に入りでした。
旧導体PCOCC-Aのサウンドを超える難しさ
実はこのPCOCC-A枯渇ニュースの後に、代替の導体として新導体を謳ったケーブルが某社から出たりしていて、もちろん試したりしてみたのですが、これがかなりイマイチで。。。
旧導体の持つ魅力からは大きくかけ離れたサウンドの仕上がりに非常にガッカリしたことがありました。しかも引っかかってしまったのは一回や二回ではないです。。。
美味しくて気に入っていた店の味が突然以前と変わってしまったら残念ですよね。あの味が良かったのにって。全くそれです。もう再現できないのかと。
電源ケーブル一つとっても何でもかんでも良いわけでは無いと、思い知らされたわけです。
最悪なことに旧導体を凌ぐとか、上位互換的な宣伝文句だったのでタチが悪過ぎです。
そういうわけでそれからというものの新導体と謳うものに関しては、当然身構えるようになるわけです。嘘をつけと。
PCOCC-Aを超えるサウンドなんか出るわけは無いと。あれだけのものと匹敵するとか、超えるのは至難の技だろうと。旧導体に関しては思い入れもそれなりにあるわけです。
新導体って文字には期待もせず目もくれずに月日が流れていきました。
しかし時代は大きく進んでいたようです。
きちんと正しい路線を進んでいたものが存在していました。
新導体の名前は「PC-Triple C」
※旧導体と同じく新導体も超極太仕様。ケーブルの取り回しは見た目とは裏腹に、旧導体ほどガチガチに硬いわけではなく、一度ケーブルの方向の癖をつけてやるとその方向で形状を止めるようなタイプです。取り回しは旧導体より良いです。
世界初の音響に特化した新世代の導体が開発され旧導体からアップデートされているのだと。
聞けば某社が出したものとは全くの別物の導体であることが発覚。
とっくに見限っていた新導体に関してとんだ誤解を抱えていたことが明るみになったわけです。新導体と言っても色々あるので注意ですね。。。
そして晴れてアコリバ製の新導体「PC-Triple C」がどんなものなのか試聴チャレンジしてみました。
新導体に関して電気的なことや、技術的なことはさておき、自分の領域にとって大事なのは出音。出音こそ全て。
肝心の音質の結果の程ですが、、、、
かつてない透明度とエネルギーを得られた感触があります。これは見事としか言いようがない仕上がりでした。
PCOCC-A時代より更に深い低域と、群を抜いた高い解像度、広大でクリアな音像が特徴的です。ハイレゾ時代にふさわしいと言った感想が最初に出てきました。
旧導体との比較で当初心配だった、あの特徴的だった低重心で腰の据わったブレない中低域も健在で、それ以上に質感の高い超低域が印象的で全体的に完成度が高い仕上がりだったことが一番安心したポイントでした。得られる恩恵の項目が多いことが確認できました。
実は昨年このケーブルが到着した日に奇遇にも、アーティストとマスターの制作を行っている日だったのですが、試すだけ試してみようかなと・・・せっかくだしなと。。。
でも内心はちょっとダメだったらガッカリだなとか・・・、でもそんな悪いものじゃないはずだとか、期待や不安が入り混じりながら、ダメ元で!というやつで、マスター作成時にいきなり実戦投入してみました。
アーティストが視聴後に第一声で、「こっちの方がカッコ良く聴こえる」と。
結果はあっさり採用。と、こんな感じでした。
実は、本当は邪道ではあったのですが作業中に電源ケーブルを変更するのは本当はNGなんですね。バランスが大きく変わってしまうからです。意図していないようにですね。そういうのが過去あったので、途中での変更は止めようと。
でも、この時はちょっと魔が差したんでしょかね苦笑。もしくはこのケーブルだったら突破できるんじゃないかとか、期待をしてしまったんでしょうね。
見事にそんな例外を作る結果になったわけですが、期待以上に応えてくれて、無事にマスターをこの新導体のケーブルで作成して、このケーブルの音質で世の中にリリースされました。
その日を境にSTUDIO PRISONERではこの電源ケーブルがサウンドの要として支えてくれることになったわけです。
マスターデータは、その時のスタジオの環境そのものが記録されてしまいます。
比較方法は凄く簡単です。旧ケーブルと新ケーブルをPC(Mac pro)に使用し、作品のマスターデータをそれぞれ書き出すだけです。たったこれだけです。beforeデータとafterデータです。一聴瞭然です。
先ほどのアーティストの話みたいに、聴けば即座にわかります。
PCにどんなグレードの電気を流しているか、PCにどんな対策がされているのかって意味になるのですが、プロでやっている人で電源や周辺にこだわっていない人が少なくないのはそこに重要性があるからです。
そういうレベルの記録物なので動かぬ証拠を押さえるわけです。
気がする・・・とかそういうのではなく、非常に厳格に甲乙様々な判断がついてしまう状態で比較ができてしまいます。
作品のどういう部分が変わったかわかれば、あとはモニターに使用したりその他の機材に使用しても傾向は同じになります。
そういうわけで新しいケーブルを入れる際一番わかりやすく厳格に判断できるのがPCのこの手順になります。
新しく導入したり変更を加えた際はこの手順を踏んで、改めて何処にどう使用すべきか精査していくようにします。
重複になりますが、ミキシング中での電源ケーブルの安易な変更は注意が必要です。作っている作品のバランスが変わってしまうものも存在するからです。
必ず一度作品が完成してから試してみてください。そうすることで新しいケーブルに対して前向きな発見として見出せるものが多いことでしょう。
写真の通り、カーボンが採用されているプラグ一個とっても制振効果を狙っているものだとわかります。3層構造になっていて外から入ってくるノイズもまとめて抑えにかかっています。
新導体を採用しているこのアコリバ製の電源ケーブルで特筆すべきなのは本来なら電源周りのノイズや制振対策を適宜個別で行う必要があるのですが、これ一本で凌駕する程の能力を持っていることです。
実はケーブル類はプラグが弱点になっているのは知られていることですが、このケーブルを導入する前は少しでも良くするためにプラグに制振を施したり、ケーブル自体に一工夫したり対策をやってきたのですが、そういう意味で最初からデフォルトで既に対策が済んでいると確認できました。
具体的な対策とは、ケーブルからノイズが入って来ないように防磁シートで覆うことや、制振アクセサリーなどでプラグやケーブルの微細な揺れや音声に有害な静電気を防ぐなどです。
これらの対策を施してやることによって、ターゲットとなる音声素材がより鮮明に、本来の姿を取り戻すような、場合によっては演奏の躍動感が増したりする結果をもたらしてくれるのです。
実際このケーブルを覆う素材自体にも既に相応のものを使用して静電気除去などの対策が仕込まれているとのことで、対策済みの出音です。
これらのことは全ての土台になること。
※写真は直付け使用バージョン。長さは1mで。丁寧な端末処理をして頂きました。取り付けなどの取り扱いにはご注意を。要電気工事資格。
これらのことは音源制作の全ての土台になるということです。どういう状態でゲームを始めたいのかという初期設定みたいなものなので、周期的に見直し、改善を行ってきました。
僕はこういうことが好きなので周期的に電源関係に執着する時期がやって来るタイプなんですが、一度ガツンとやればあとは土台を信じて任す。制作に集中するってことが大事ですね。
戦士で始めても魔法使いで始めてもとりあえずゲームは進行していけるので、そこまで神経質にならなくても大丈夫です。
常にノイズや振動のことを考えていたら疲れてしまいますので苦笑。
でも時折自分の土台、環境を疑ってみて改善できそうなところを探すことは大事じゃないでしょうか。
そうやって新しい装備を整えたところでまた新たな旅へと出る。新しい武器の切れ味を試してみるのはモチベーションを維持するのにも良い効果になっているかなと感じています。これらのことは作品にとっても自分にとっても軽く扱えるものではないかなと思います。
神は細部に宿る
とは良く言ったものですが、例え1ミリでも良くなるのであればそれはやる必要があると考えています。
費用対効果なんて言ってたら一向に前進できない世界があるんです。
アコースティックリバイブの作品には一本筋が通った信念があるので、違いなんて分からないでしょで済ますには非常にもったいない世界観があります。
本来音声データにはこんなに素晴らしいデータが入っていたんだと気付かされることでしょう。ただ単に引き出せていない、再生できていないだけだったということが良くわかります。録音と同じくらい再生も難しいものです。
僕は制作のスタイルを持っていて、素材の録音からミキシング、マスタリングと、音声データがどのように最後のマスターデータに落とし込まれているのか、各流れをコントロールすることに注意を払っているのですが、素材となるデータの品質が最後の最後の段階に来て皺寄せが必ず来るものだと感じています。
このように例え僅かでも良くなることに丁寧にやっていくというのは最後の最後に効いてくるもので、そこに対する重要度は非常に高いと感じています。
90パーセントくらいまでは物事は大体いくんです。そこからの1パーセントが大きいし、前進が難しい。どんなことでもそうではないでしょうか。
このモンスター級のケーブルの使いこなし場所としてはやはりPCに使用すると音響システム全体に恩恵を享受できるのでオススメです。音声の録音からモニタリング、このままマスターとして書き出してこのケーブルの恩恵を受けることができます。
情報量が一気に増えるので、作品が輝きます。マスター音源に即座に効くってことです。
マスター音源のプリントにまんま反映されるので作品の音楽情報をより良く届けることに大きく前進できたと感じています。
自分みたいに旧導体PCOCC-Aから前進できないでいた方や、新導体PC-Triple Cってどんなもんだろうって思っている方は少なくないと思います。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
※写真はアコリバ製の旧導体の電源ケーブルたち。勿論今でも現役です。
余談
PC-Triple C/EXという更に上位に当たる導体も開発済みで、既に市販で存在しているとの情報があります。
問題は開発コストが莫大にかかるらしいので、値段見てびっくりですが。。。興味ある方は調べて見てください。
知らなかった方が良い世界の扉が開かれてしまうかもしれませんが。。。
機会があったら試してみたいものです。
ケーブルの世界はほんと奥が深いものですね。
そんなケーブル作りに情熱をかけているアコリバの力を借りて、これからも二人三脚で作品を作っていくので、今後とも是非作品をチェックてしてみて下さい。
オーディオの世界の力に着目
電源ケーブルは土台、初期設定と言いましたが、これはマスターの制作に従事している人間としての領分でできることの一つであって、音源制作においては大事にしていることは多岐に渡ってあります。一側面からは語れず、複雑で多面的です。
今回の記事の話は僕の領分の中では、電気やケーブル、ノイズや振動のカテゴリーは文字通り細か過ぎて人の気配もグンと減っていきそうなお題ではありましたが、それでも6、7番目くらいに細かな部類の話です。
更に突っ込んだ領域としてはコンセントに関して(これは細かい)、屋内配線やアースに関して(うーん・・・)、分電盤に関して(んー・・・)、屋外の引き込み幹線に関して(・・・)、電線に関して()、最後の砦の電柱の柱上トランス手前くらいまで飛躍させた、臨場感のある情報を今後提供できそうです。
電線とか完全に言葉を失いますね。
いつか電柱をmy new gear...なんて派手にやらかしてみたいものです。
近い将来このお題でいかせてもらいます。
オーディオの世界の力をHEAVYミュージックの制作とどう統合していけるかをテーマに、未知数ではありますが今後非常に楽しみで期待をしている自分がいます。
この手のジャンルに興味がある方や、既に先に進んでいる方いましたら是非ともつながっていけたら嬉しいです。
険しい道のりになるのは避けられなさそうなので、代償はそれなりに大きそうですが苦笑、作品に還元されるものも計り知れないので、引き続き作品のためにも探求していきます。
今回の電源ケーブルの話の段階でも、音源制作において重要度としては非常に大きいということが少しでも分かって頂けたら良いなと思います。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
続報、楽しみにしてて下さい。
レビュー2製品。
ただのコスパモデルかと思いきや、良い意味でかなりの肩透かしを食らったのがこのケーブルです。
低域の再生能力や質感の描写は上位モデルと変わらず秀逸で、解像度がこのケーブルもかなり高いです。同じ新導体採用だからでしょうか。
とてもコスパモデルとは思えないくらい強力な分解能で実在感のある澄みきった音像を得られます。音の飛び方が速いのが印象的で、ピュアで生々しい質感は特筆すべき点です。
音像の広がりは今回記事で紹介した上位モデルよりややコンパクトになりますが、それ以上に描写力が圧倒的に勝っているので一度これを聴くと元に戻す気がなくなりました。
モニター環境を一気に整えてくれて即戦力になるような独特な能力を持ったケーブルで、導入を強くオススメできます。
即座にSTUDIO PRISONERのLynxのモニターコントローラーに採用しました。本当に素晴らしいので今後も増やしていきたいケーブルです。
この電源タップからMacをはじめコンバーター、モニターコントローラー、サブウーファーを含めたモニターの中枢になる各機材に供給して視聴してみました。
高解像度で圧倒的な明快さがあります。
今まで聴いたことのないような瞬発力があって、ダイナミクスにびっくりするほど表現力がありました。
特に音の飛び出し方が独特な感触を持っていて、鳴るというより空間から浮き出てくるような実在感があって、これは他では味わえない音楽体験となりました。
低域はこれまで聴いたことがないくらい深く知覚でき、額縁の広がりも秀逸で、ただの膨張とは違い、粗さが無くなり完全にコントロールされているような世界観です。
電源タップの影響をこれでもかと思い知らされました。
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