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即売会の前夜にコンピが生えた話

はじめに

こんにちは。初めてのnoteがこんなぶっ飛んだタイトルになって本当にすまないと思っている。

先日、9月11日(日)京都府総合見本市会館(京都パルスプラザ)で開催された
VOCALOID STREET(ボカスト)にて、タイトル通りの限界同人仕草をキメてしまった反省を込め、その記録を書き残すものとする。

問題の作品

なお、この限界なコンピは改めてBOOTHにて期間限定(年内)でDL頒布を行います。普通に聴きごたえのあるEPになったのでぜひお手に取ってください。
クロスフェードはこちら
https://www.nicovideo.jp/watch/sm41175023

筆者について

筆者はサークル参加の経験ゼロであり、自分をボカロPだと思い込んでいる、ごくごく一般的な合成音声キャラ「夏色花梨」のオタクである。
普段は夏色花梨の企画元であるTOKYO6 ENTERTAINMENTのクラスタに浸かっており、曲を書いたり書かなかったりしている。

どうしてこうなったのか今でも全くわからない。

全てのきっかけ

もともと、京都在住で会場が近いこと、サークルリストに知った名前(ボカロP関係、TOKYO6関係)が多かったことから、ボカストには挨拶も兼ねて参加を決めていたところである。準備が悪く入場券代わりのパンフを買っていなかったため、当日購入での参加を予定していた。

【前日21:00】まさかの売り子デビュー

そんな中、リアルの友人でもあるボカロPのMURASAKI氏より、
「直前だが設営手伝いと荷物番してくれるならサークルパスやるよ(意訳)」

と前日21時頃にメッセージが飛んできた。もとより、挨拶程度の参加で時間も余っており、サークル入場で参加できるのなら願ってもないことである。
二つ返事でOKしたところ、すべての引き金となるメッセージが返ってきた。

「配るものあったら1シリーズくらいなら置いていいよ?」

いわゆる、委託頒布である。



困った。

サークル参加の経験がないため、頒布できるようなものは持っていない。
もちろん、売り子を依頼するにあたっての決まり文句みたいなものだというのは理解していたが、せっかくの機会に何も持参できないのは悔やまれる。

そこで苦し紛れに思い付いたのが、

「既存曲をオンラインストレージにぶち込んでQRコードで配ればよくね?」
そう、ダウンロードカード形式での頒布である。


【21:30】頒布物を生やせ

このツイートの後、東京拘置所(TOKYO6のやばいオタクが集まる界隈)の同人作家諸先輩から様々なアドバイスを頂いた。

※サークル入場時間は10:30、京都市のキンコーズ四条烏丸店のある地下鉄烏丸線四条駅からパルスプラザ最寄りの竹田駅まで、かつ駅から会場までの距離を考慮すると時間的には厳しい。

そ  れ  だ

自宅徒歩1分にセブンイレブンがある。ハガキサイズで作成して簡易印刷をすれば良い。
こうして、急遽既存曲をDLカード形式にて頒布する計画が生まれた。

ただし、この時収録するのはまだ既存の自作曲のみであったのである。

限界同人仕草の時間だ

【前日22:00】DLカード制作開始、そして

取り急ぎDLカードのデザインを行わなければならない。当時はAdobe税を払っていない非国民であったので、Inkscapeでいそいそと慣れない作業を進めていく。

外堀を埋められた。

まぁ頒布物準備の道筋は見えたので何とかなるだろう。
注) 当時、サークル主も筆者もブース番号勘違いしてます

そんな中、雲行きがおかしくなってくる。


そうはならんやろ。

○通も真っ青な同人再委託案件だ。
補足しておくと、TOKYO6キャラクターを愛用するボカロPは、公式推奨の「#毎月6日はTOKYO6の日」タグをはじめ、黎明期真っ只中のコンテンツを盛り上げんと、総じて筆が早い傾向にある。
風原氏はそんなシーンを初期より駆け抜け、毎月新曲投稿を継続、24hでの動画完パケ投稿等様々な伝説を残してきたトップランナーだ。彼ならやりかねない。

それにも関わらず、初のサークル側参加、慣れないデザイン作業中で脳汁がどばどば状態だった筆者はばかになっていた。

超強力なゲスト作家の参戦決定である。嘘だろ?

レギュレーションの確認 is 大事。


【22:00】限界作業スペース

時を同じくして、筆者は並行してTwitterのあるスペースに参加していた。

TOKYO6界隈のボカロPの一人で、Twitterで度々作業スペースをホストしている平沢えもたろー。氏がいつも通りスペースを開いていたため、あまりの限界っぷりに筆者も駆け込んでことの顛末を説明した。

そうこうしていると、作業を控えた風原氏もスペースに参加、それに触発されたえもたろー。氏まで楽曲制作に着手してしまったのだ。
こいつら(TOKYO6ボカロP)全員戦闘民族なの忘れてたわ。

こうして、既存曲を収録して作るはずだったDLカードがどんどんコンピに姿を変えていった。なお、この時点で締切として設定したイベントの一般入場時間(12:00)に間に合う保証は全くない。どこから突っ込めばいい。

なんかどさくさに紛れて即売会前夜に別サークルでも売り子が爆誕しているようだが、見ないふりをしておこう。

【23:30】原稿完成、怒涛のコンビニプリント

作業スペースで限界コンピが産声を上げようとしている合間も作業を進め、ついに日付を跨ごうという頃、ポストカード形式のDLカード原稿が完成。

最寄りのセブンイレブンでコピー機に陣取り、ポストカード印刷をひたすらガン回しして計50部強を印刷。最初は20部にしようとしたけどスペースの各位に煽られて50部にしました。なんだかんだ20部以上はけたのでヨシ!

その間も、コンピ参加者は限界DTM活動を継続し作曲を進めていた。

これはDTM活動である。

【当日1:00】掲示物を作る

続いて、ディスプレイ用の掲示物作成にかかる。サークル主から与えられた陳列スペースはCD1枚分だったため、モックとして空のCDケースを用意、CDジャケットサイズの案内表示を作る。

フォントがだせえ。

DTP初心者なので超適当にA4サイズの台紙にジャケットサイズの20×20cmで枠を作ってテキストを埋めていく。ビジュアルなんてあったもんじゃないのでひたすら文字で埋めていく。塗り足し?んなもん知らねえ。

オリジナル×2曲+おまけ

https://twitter.com/studiobiotope/status/1568647378231754753

いつからおまけだと錯覚していた……?

このデータをpng出力し、朝会場へ向かう前に再びコンビニの印刷でA4出力を行い、現地でサークル主にはさみを借りてカットしてケースに収納する。

一方のゲスト作家の進捗

だばだばしてんじゃないわよ。


【2:00】収録曲のミックスします

無事に頒布できるアイテムが整ったので、次は中身の準備をしなければならない。限界DTMer達が作曲を進めている中、自分もコミットしていく必要がある(ない)。

当初の収録予定の楽曲として、冒頭で引用した直近9/9に公開したばかりの『クラテリス』と、夏色花梨CF支援者参加の一斉投稿企画で制作した夏色花梨のデビュー曲『レディ・トリックスター』を考えていた。

『レディ・トリックスター』は当初配信を想定しておらず、マスタリング作業が必要であった。そのうえで、4月公開の楽曲でありかねてより現在の技量をもってより良く仕上げたいと考えていたため、改めてミックスから立ち返ることにした。
もうここまでくるとだいぶ意識が朦朧としているのだが、書き出したWAVファイルを見てみると、4:45頃にはマスタリングまで終えていた模様。

【5:00】ついに納品完了者が現れる

いつの間にやら朝の光が差し込む時間になったところ、4:57に筆者宛にDMが届いた。風原氏がついに曲を完成させたのである。
チェックしたところ、ヘビーなギターサウンドと駆け巡るピアノに小春六花の透き通るボーカルが響く、疾走感あふれるロックチューンに仕上がっており、一晩でできたとは思えない圧倒的なクオリティである。

このファインプレーに沸いた限界DTMer達も自身の作業に拍車をかける。
筆者の収録曲について、2曲目は直近の『クラテリス』を検討していたものの、公開したばかりで絶賛プロモーション中の楽曲をこうした形でリリースするのは尚早かと思い直し、6月に発表した『ショーウインドウ・ガール』へ変更することにした。

この曲についてはミックスのバランスが絶妙な状態であったため、音圧調整をメインとしたマスタリング作業のみに留めておいた。

並行して、朝になったため告知の方も少しずつ動かしていく必要がある。

即売会といえばお品書きである。
CDケース用に作成した掲示を流用し、Twitter投稿用のお品書きを作成する。
一応サークル主に送っておき、告知はもう少し経ってからとする。

【6:50】まさかの参加者追加

この時間になってくると、我ら限界DTMerと違って普通に寝て普通に起きてきた人々がTLに集まり始めてくる。昨夜からやっていたスペースがまだ続いていることに驚愕する方も多い中、馴染みのボカロPも複数スペースに参加してくる。都度筆者が状況を説明する中で、また何やら様子がおかしくなってきた。


いや何を???


小春六花を中心に爽やかなサウンドの楽曲を手掛けるYori氏がリミット6時間を切ったタイミングで参加を表明した。

どうやら手持ちの弾があるため急いで仕上げて参加する模様。この時点で筆者の思考回路はとうに焼き切れていたので、TOKYO6キャラクターであれば来るもの拒まずのスタンスとなっていた。

いざ即売会へ

【当日8:00】出陣準備、お品書き公開

そうこうしているうちに8:00となり、筆者は肝心の即売会へ出かける準備をする時間となった。シャワーを浴びて朝食を取り、名刺とモック用のCDケース、そして大事な大事な頒布物を準備する。

その合間に、参加者が増えて色々おかしくなったお品書きを更新し、再びサークル主に送ったところ、先方にて宣伝していただけた。

その流れで自身でもお品書きを公開、冒頭のツイートを発信し、いざ会場のパルスプラザへと向かうこととした。もちろん、モックの印刷をコンビニで行うことも忘れず。

【9:30】ジャケットが生えた

お前は何を言っているんだ(画像略)

TOKYO6のオンリーイベント等を企画・運営する染宮ねいろ氏から唐突にジャケットデザインが飛んできた。氏はこの一連の限界同人仕草に巻き込まれ、某本屋の売り子として前日夜に召喚され新幹線を取った猛者であるが、その道中でこのロゴデザインを生やしてきたのである。もう関係者全員限界なんだよなぁ。
既に出先であり、かつWAVファイルでの格納を予定しておりタグ付けや埋め込みができないため、おまけとして画像をストレージに格納する。
※なおこのジャケットはBOOTH頒布に伴いより洗練されたデザインにリフレッシュしていただいた。圧倒的感謝。

【10:30】サークル入場開始、なぜ今増える

いよいよサークル入場開始時間となった。現地でMURASAKI氏と合流してパスを受け取り、検温を済ませて入場。ボカロ以外にも東方系等複数ジャンルの即売会が集合しての大規模なイベントであったため、だだっ広い展示場の中で自スペースを探し当て、設営にかかる。

その中でも、限界スペースではまだ制作が続いていたようだが、ここで新たな乱入者が現れた。

おい誰だ教えた奴は。

ちょうど別件で新曲を完成させたらしい夏色花梨を愛用するLio氏がどこからか聞きつけて参加を表明。こちとら設営中やぞ???あと1時間半しかないぞ???

応じる筆者も筆者である。
こちらの指定した形式で調整し直していただいた後、11:27頃にDMにてデータが届いていた。現地も設営が山場を迎えていたため、後ほど準備する。

【11:30】ま た ふ え た

一般入場、イベント開始まで30分を切った。周囲のサークルに挨拶等を行いつつ最終準備を進めていたところ、筆者に1件のDMが届く。

お疲れ様です!ボカストのコンピできましたので音源送ります!

えっちょっと待って?????

竹原ひろ(しずまゆず)氏から参加表明より先に完全新曲が飛んできた。主催者が収録内容を把握していないコンピって何だ?いやそもそも、

コ ン ピ を 主 催 し た 覚 え は な い


そして、ここでトラブルが発生。
筆者のスマートフォンのテザリングがうまく動作せず、PCのネット接続が不安定になってしまった。このままでは届いた曲を格納できない。

急遽、筆者はまだ続いている限界スペースに入り業務連絡を発信。各参加者にストレージの編集権を与えて直接アップロードしてもらう方法に切り替えた。ほんとに最後まで限界してんなこいつら。

【11:45】限界コンピ、出揃う

最初から最後まで限界の中、ついにこの男に動きが。

限界スペースを12時間以上ホストしつつ制作していた平沢えもたろー。氏がついに曲を完成させた。これで無事参加者全員が出揃った。

ブースも設営が完了。ルカと化したサークル主とともに開会を待つ。
右下に燦然と輝く限界の緑。名刺も置かせていただいて感謝。


【12:00】一般入場開始、コンピ頒布

こうして、ついに限界じみたコンピが無事頒布されたのである。

おかげさまで、Twitterでこの限界みたいな告知を見て来場してくださった方やフォロワーの方、サークル主の知人等沢山の方に手に取っていただけた。

こんな限界な悪ノリに付き合っていただいた参加者各位(乱入してきたのはそっちだぞ?)や、スペース等で見守っていただいた皆様に改めて感謝します。


一部の方から「なんか急に生えたやつください」って言われた時は笑いそうになったが。


お試しセット改め「TOKYO6限界仕草コンピ」

そんなとんでもない経緯で生まれたコンピと限界な楽曲たちををもっと多くの人々に聴いていただけるように、10月6日(木)0時より、年内いっぱいを目途にBOOTHにてオンライン頒布する。前述のとおりジャケットも一新し、コンピとしての様相を保った作品に昇華されている(はず)。

https://studiobiotope.booth.pm/items/4164265

もともと、DLカード方式では自身のオリジナル曲2曲のみを考えていたため頒布価格を200円に設定していたのだが、収録曲数がぶっ壊れてしまったため、BOOTHではアルバム単位1000円に改定することとした。
(予めご了承ください)


おまけ

俺は悪くない。


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