CLYDE WAS HERE 前編
私は夢を見ていた。闇の中をただひたすら歩く夢を。
自分がどこに向かっているのか判らぬまま進み続けた。この世界はやけに静かだ。だんだんと自分以外誰もいない様な心持ちになっていく。一歩、歩みを進めるごとに重たい不安が背中に伸し掛かっていく。進まぬ身体と止まりたくないという思いが交差する。それがしばらくの間続いた。そして、とうとう私の真ん中から「バキッ」という音が鳴った。途端に歩みが止まり、その場に座り込んで少しの間泣いた。
どれだけの時間が経ったのだろう。泣きはらした顔