朱殷の狭間 ~鳴澤朱音~
作:ハリー
1 目の前が眩しいほど明るくなり、世界が暗転した。私はなにをしていたんだっけ……私という身体はあるのに感触がない。手を動かしているはずなのに動いていない。心と身体が別々になったような不思議な感覚だったけれど、徐々に手も、足も、腕も思い通りに動かせるようになっていった。身体が動くことに少しだけ安堵した後周囲を見渡す余裕ができた。物体が何もなく、私の周り、空間、すべてが赤色に染まっていた。
「……夢?」
私が知っている世界の中で一番可能性が高い予想を言葉に出してみる