ビユジサシンテ ~侵食~
作:ハリー
船に揺られるのは、旅に出てから初めてかもしれない。誰も私を知らないところに行きたくて見ず知らずの漁師さんに頼み込み乗せてもらった漁船の乗り心地は、決して良いものではなかった。観光客さえ寄りつかない小さな島【茶癒早島(チャユサトウ)】へ。
「ここからはこのボートで向かうから、これに乗りなされ」
島はすでに目の前なのに、漁師さんはなぜか港に向かわず沖でアンカーを下ろし、小型のボートで島まで渡ろうとしている。不思議に思ったが、これがこの島のルールなのだろう。乗せても